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  • 2019.09.01

[Vol.7] 紅色に染まる人跡未踏の原生林 "世界遺産の森"白神山地

画像: 白神山地の紅葉写真:アフロ
白神山地では例年、10月中旬から下旬にかけて紅葉が見頃の時期を迎える

画像: 多彩なキノコを使った鍋料理 写真:松隈直樹
地元では「さもだし」と呼ばれるナラタケをはじめ、ナメコ、クリタケなど、多彩なキノコを使った鍋料理は滋味あふれるおいしさ
画像: 暗門の滝 写真:アフロ
「暗門の滝」を間近に見るルートは、暗門川沿いの遊歩道を利用して往復2時間ほど

白神山地は青森県南西部から秋田県北西部にかけて広がる、約13万haの山岳地帯。太古から守られてきた世界最大級のブナの原生林と貴重な生態系が評価され、奈良県の「法隆寺地域の仏教建造物」、兵庫県の姫路城、鹿児島県の屋久島とともに日本初の世界遺産として1993年に登録された。林道すらない手つかずの森も残る中、周辺には複数のトレッキングコースが設けられ、初心者でも気楽に散策が楽しめる。中でも最も人気が高いのは青森県側、城下町の弘前から車で50分ほどの西目屋村を起点とするコースだ。

落ち葉が積もった道を歩き出せば、吹く風のすがすがしさはもちろん、ふかふかとした地面に心地よさを覚えるだろう。厚いブナの葉は腐食しにくく、地中で層を成すからだ。その層は雨や雪解け水をため、長い歳月をかけて腐葉土になる。川とともに流れた養分は、天然記念物クマゲラほかニホンザルやニホンカモシカなどの餌となる植物を育み、田畑を潤して人の暮らしも支えてきたという。

真っすぐに伸びるブナの木々をよく見ると枝が片側に寄り、互いの邪魔をしないように成長しているのも興味深い……。自由に歩くだけでも気分はリフレッシュされるが、専任のガイドと一緒ならそこかしこで森の神秘に気付けるため、より感慨は深まるはずだ。茂みに潜むわずか数センチの幼木も、教えられなければ見逃すに違いない。成木になるまで50~100年以上かかり、生き抜くのはごくわずかと聞けば、熱い想いが込み上げる。

西目屋村を起点とする白神散策の魅力は、他にも多数。紅葉に彩られる秋には、キノコを探すツアーもある。名勝地として知られる「暗門の滝」を目指す川沿いのルートは、爽快な景色も待ち受ける。散策の拠点となる施設「アクアグリーンビレッジANMON」では、温泉に漬かり疲れを癒やせるのもうれしい。

世界遺産登録に当たっては、山の伏流水が注ぐ日本海の生態系も考慮されたという背景もお忘れなきよう。冬が近づくにつれて脂がのるヒラメなど、海の幸もまた白神山地の恵み。山を下りて弘前の街に戻った後、地元産の山海の美味に舌鼓を打つのも、世界遺産に触れるひとときとなるだろう。

画像: 行き方 画像: 行き方

キヤノン単独提供番組 「世界遺産」

毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/

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