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  • 2020.06.24

[Vol.10] 栄華を極めたロシア文化と芸術 サンクト・ペテルブルク

画像: エカテリーナ宮殿写真:iStock
ピョートル1世の妃で、後の皇帝エカテリーナ1世の名を冠したエカテリーナ宮殿

画像: ビーフストロガノフ 写真:iStock
牛肉をタマネギなどと炒めて煮込むビーフストロガノフは、今や家庭料理の定番
画像: サンクト・ペテルブルク歴史地区の景色 写真:iStock
サンクト・ペテルブルク歴史地区の景色。手前は世界遺産の登録資産の一つ、世界最大規模の教会建築である聖イサアク大聖堂

ロシア西部、バルト海に面したサンクト・ペテルブルクの歴史は、1703年に皇帝ピョートル1世がこの地に要塞を築いて幕を開けた。1712年にはモスクワから首都が移され、目覚ましい発展を遂げる中、ロシアと西洋の文化が融合して生まれた独自の建築様式が評価され、36の歴史地区と建築物などが「サンクト・ペテルブルク歴史地区と関連建造物群」として世界遺産に登録された。

皇帝や貴族が残した建物の多くは圧倒的な壮麗さと重厚感を誇り見応えがあるものの、拠点となるサンクト・ペテルブルク歴史地区だけでも関連資産は40近く。時間の限られた旅人にとっては悩ましいが、その中で第一に選択したいのが「エルミタージュ美術館」として知られる「冬宮殿」だ。レオナルド・ダ・ヴィンチの作品ほか、収蔵品は約300万点。名画の数々はもちろん、皇帝の謁見の間をはじめ帝政ロシア時代の贅を尽くした空間もまた、魅力にあふれている。

併せて見逃せないのが、街中から南に約25kmの「ツァールスコエ・セロー」(皇帝の村という意味)。その要的存在である「エカテリーナ宮殿」は、ピョートル1世の妻であるエカテリーナ1世が造った宮殿。後に続くエリザヴェータやエカテリーナ2世といった女帝たちにより華麗な増改築が重ねられた。避暑地にあることで「夏宮殿」ともいわれる建物の全長は325m。100kgもの金が使われたというロココ様式の外装から始まり、豪華絢爛な大広間、文字通り琥珀(こはく)が壁を埋めつくす「琥珀の間」など、きらめく宮殿を巡れば幾度となく感嘆のため息がこぼれる。

大広間は、江戸時代に船の難破によってロシアに漂着した大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)が、紆余曲折の果てに当時の皇帝エカテリーナ2世に謁見した場でもある。彼の苦難を描いた井上 靖著「おろしや国酔夢譚(こくすいむたん)」を読んでから出かければ、より感慨は深まるだろう。

旅の間に食事を楽しむなら、サンクト・ペテルブルク歴史地区にある「ストロガノフ宮殿」内のレストランで、ぜひビーフストロガノフをご堪能あれ。料理の誕生に関しては諸説あるものの、この宮殿に住んでいたストロガノフ家が関わったという説が有力視されている。軟らかに炊かれた牛肉のおいしさをかみしめつつ、華やかなりし時代に想いをはせていただきたい。

画像: 行き方 画像: 行き方

※新型コロナウイルスの感染拡大に伴う渡航・外出制限等、事前に最新情報をご確認ください。

キヤノン単独提供番組 「世界遺産」

毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/

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