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トップ > ヒットのピント [Vol.2] カラー > P2
(Illustration:shoko terata)
最近、量販店に行くと、キッチン回りの小型家電売り場に、赤い炊飯器や赤い電子レンジが並んでいる。誘目性が高い赤を店頭に置くのは売るための手法の一つだが、それ以外にも理由はある。赤はリンゴに象徴されるように、実が熟した"食べ時"を示す色。人間にとって最も好ましく見える色なのだ。黄色と黒の組み合わせも誘目性が高く、踏み切りの遮断機や標識に使われているが、人が欲しいと思う色は、生きていくために必要な"食物"を連想させる赤の方なのだろう。人はなぜ色に魅力を感じるか。こうした心理を学ぶことも、カラーマーケティングには欠かせない。
モノづくりの現場では機能→形→色というプロセスで企画が行われるが、店頭で商品を選ぶ消費者には、色→形→機能の順に情報が伝わっている。色を見ることによって、安心したりワクワクしたりと、心の満足を得ているのである。いかにして消費者の心の満足をデザインするのか――。それを考えるのが、カラーマーケティングの難しさであり、面白さでもある。