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  • 2022.03.01

富士山の圧倒的な一瞬を狙って 写真家 橋向真さん


© Hashimuki Makoto

雲や光に彩られた、ひと味もふた味も違う富士山に出合いたい

© Hashimuki Makoto

"とにかく凄い富士山撮る人"として、インスタグラムなどのSNSを舞台に活躍する橋向 真さん。2021年にツイッターに投稿した笠雲を被った富士山の写真が「神々しい」とバズったことで、一躍時の人となった。

普段はパン工場に勤務し、休日などを利用して富士山に向かう。写真の技術は独学で磨いてきた。写真の現像作業もスマートフォンに転送して行う。

「本格的に写真を始めようとカメラを買ったのが9年前。操作を覚えるために1年間毎日カメラを触り続け、使い方や感覚を体に染み込ませました」

当初は長野の自然を中心に撮影していたが、富士山が2013年に世界遺産に登録されたのをきっかけに、「自分が撮った富士山をSNSを通じて世界に発信したい」と撮り始めた。

「静岡県出身ということもあり、富士山はあまりにも身近で、被写体として意識したことがありませんでした。でもカメラを向けたら、イメージが全く違った。多彩な雲、朝や夕暮れの光の色……。心の底から震える富士山の姿に気付かされました」

1枚目の写真も、富士山が織りなす自然の神秘を捉えた一枚だ。

「空一面で渦を巻いているのは、吊るし雲。台風の後だったので、ものすごいスピードで雲がうごめいていました。静謐(せいひつ)な富士山に、躍動感のある雲が加わり、見たことのない表情になる。僕にとって雲は欠かせない要素です」

感動で手が震える瞬間に出合うため、ライブカメラやGPVと呼ばれる高解像度の天気予報を随時チェックしている。2枚目は、春の富士山に天の川が降り注ぐ瞬間を捉えた一枚。

「天の川を撮るには、街の灯りを遮ってくれる雲海が必要なので、そのタイミングを狙って撮影に出ました。これまでの経験と勘、緻密な計算、そして運が合わさって撮れた、奇跡の瞬間です」

美しい茶畑が印象的な3枚目の作品は、よく見ると防霜(ぼうそう)ファンの電線が張り巡らされている。

「以前は有名な撮影スポットでしたが、電線が張られてから近代的なものがあるからと避けられるようになったそうです。ですが、この電線がある富士山と茶畑こそ現代の富士山であり、この景色の素晴らしさは変わりません」

富士山なら雪をかぶった冬、天の川なら夏など、既存の"作法"にはとらわれない。富士山は有名な被写体だからこそ、新しい目線で切り取っていく。スマートフォンで見たときにインパクトのある縦構図を多用するのも、自由に富士山を表現する橋向さんならではだ。

「時代の流れを感じながら、ひと味もふた味も違う富士山の表情を、これからも捉えて発信していきたいですね」

  • 写真:橋向真さん

    橋向真(はしむき まこと)
    1977年、静岡県生まれ。地元の静岡を拠点に富士山写真家として活動し、SNSを使い世界に向けて富士山の魅力を発信。雑誌『デジタルカメラマガジン』や書籍『色と構図で風景をアートに変える四季の風景写真術』、写真集『神気 新・富士山景』(インプレス)など著書多数。企業広告、カレンダーなどにも幅広く作品を提供している。

  • 主な撮影機材

    • 写真:EOS R *RF24-105mm F4 L IS USM装着時

      EOS R * RF24-105mm F4 L IS USM装着時

    • 写真:EOS R5 *RF24-105mm F4 L IS USM装着時

      EOS R5 * RF24-105mm F4 L IS USM装着時

    • 写真:RF24-105mm F4 L IS USM

      RF24-105mm F4 L IS USM

    EOS 製品情報

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