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トップ > シゴトの哲学 [Vol.24] 俳優 市川実日子さん

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  • シゴトの哲学
  • 2022.09.01

[Vol.24] 市川実日子さん(俳優)

新しいことを始める怖さは、挑戦したいからこそ感じる気持ち

写真:市川実日子さん

映画やドラマなど、さまざまな作品で凛とした輝きを放つ市川実日子さん。その独特の透明感は、モデルとして活躍していた10代のころから変わらない。

「14歳のとき、姉がモデルを務めていた雑誌『オリーブ』から誘われたことがモデルを始めたきっかけですが、最初は怖くて、やってみようとは思えませんでした。でもスタジオに行ってみたら、スタイリストや写真家の方など、ものづくりに関わる大人たちがかっこよくて、また会いたいと思ったんです」

その後16歳で『オリーブ』の専属モデルになり、本格的に仕事をスタートする。

「当時は人見知りで、カメラを向けられると眉間にシワが寄ってしまうほど(笑)。でもスタッフの方たちはそんな私を受け入れてくれて、大事に育ててくれました。すてきな大人との出会いが、私の原点です」

モデルとして活躍するうち、市川さんの存在感は映画監督の目にも留まり、出演依頼が舞い込むように。

「『お芝居なんてできない!』と、お断りしていました。モデルの仕事がしたかったからです。映画は観るもので、出るなんて考えられませんでした」

しばらくはモデルの仕事に専念していたが、自分の気持ちに"隙間"ができるようになったという。

「仕事に対する考え方など、ちょうど自分の中で変化が生じていたころ、映画『タイムレスメロディ』の出演オファーをいただきました。初めは悩みましたが監督とお会いしお話をしたところ、『そのままの市川さんで参加してもらいたい』と言ってくださって。怖いけど、挑戦してみようと思いました」

こうして足を踏み入れた初めての映画の制作現場は、想像以上に楽しいものだった。

「最初は"個"の集まりだったのが、"チーム"になっていく過程がすごくうれしかった。あんなに怖がっていたのに、また映画に参加したいと思ったんです」

次作映画『とらばいゆ』では、自ら望んで出演を決めた。演技の楽しさを初めて感じ、芝居を続ける原動力にもなった。ただ、役者としてキャリアを積んだ今でも、新しい作品に挑戦する前には"怖さ"を感じるという。

「若いころはただ怖いという思いだけがありましたが、あるときこの怖さは恐怖ではなく、挑戦したいからこそ感じる気持ちなのだと気が付きました。怖いときほど、やってみると楽しい。参加を決めたら、自分の中では自然と作品への愛情も育ち始めます」

モデルとしても役者としても、根底にあるのは「人とものをつくるのが好き」だということ。

「どんな仕事でも大切なのは、やっぱり人。自分が感じていることに正直に、人とのコミュニケーションを重ねながら、ものをつくる喜びを感じていきたいですね」

市川 実日子(いちかわ みかこ)
1978年、東京都生まれ。10代よりモデルとして活躍。映画『タイムレスメロディ』(2000年)で長編映画デビュー。初の主演映画『blue』(03年)では、モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。『シン・ゴジラ』(16年)では、毎日映画コンクール女優助演賞、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得するなど、受賞歴多数。NHK 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(21年)など、映画やテレビなどで幅広く活躍中。2022年4月から、キヤノンマーケティングジャパンのCMに出演。

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