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トップ > シゴトの哲学 [Vol.25] シンガーソングライター milet(ミレイ)さん
クラシック好きな一面をもつmiletさん。小さいころからフルートに親しみ、後に映画音楽も学んだ。
「実はもともとは、歌をあまり意識したことはなかったんです。でもギターに出合ったことで、弾き語りをするようになりました。自分の好きなときに好きなテンポで歌えるのがいいな、って思ったんです」
その後、ある友人の言葉が人生を変えることになる。
「その友人は当時元気がなくて。でも私の歌を聴いてすごく感動してくれたんです。『miletちゃんの歌にはパワーがある。もやもやが晴れたよ』って。それまでも人前でフルートを演奏してきましたが、そんな言葉をかけられたことは一度もありませんでした」
この出来事がきっかけとなり、「歌」で勝負してみようと心に決めた。
「思い立ったら即行動しないと気がすまない性格なので、すぐに歌を録音して、レコード会社に送って。それがきっかけで、デビューすることになりました」
"歌手・milet"誕生に当たっては、自分の歌声を徹底的に研究し、音色を改造していったという。
「もともと私はストレートに発声するタイプ。でもそれじゃ聴く人の印象に残らないと思って、いろいろと試しながら自分だけの歌声を追求していきました」
結果たどりついたのは、芯がありつつもどこかふわりとした空気で包み込むような響き。それは不思議と、長年親しんできたフルートの音色によく似ていた。
「作詞作曲に関しても最初は試行錯誤でした。でも、自らのあらゆる感情を引き出しながら歌をつくっていくうち、自分の分身が増えていくような感覚に。徐々に曲づくりを楽しめるようになっていきました」
作詞では、決して譲れないルールがあるという。
「人を傷付ける言葉は選ばないということ。同じ言葉でも受け取る人の状況によって感じ方が全く違うので、全ての人に配慮できているか、常に意識しています」
全てが順風満帆かのように見えるmiletさんだが、デビュー当時は失敗の連続だったという。そこでライブのたびにつけるようになったのが、「反省ノート」だ。
「二度と思い出したくないようなミスでも、書き留めて見直すことで、進歩を少しずつ感じられるんです」
華やかなステージを支えるのは、ひたすらに地道な努力。しかしそれは、困難から逃げてばかりだった過去の自分への戒めであるとも語る。
「初めて本気でがんばろうと思えたのが、歌だったんです。自分を見つめながら曲をつくり、歌い、愛してもらうことで、やっと自分の輪郭が見えてきました。私って案外悪いやつじゃないじゃん、って(笑)。今後はさらにフィールドを広げつつ、聴いてくれる人がひとりでもいる限り、歌を届け続けたいと思っています」