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トップ > シゴトの哲学 [Vol.8] 俳優 成田 凌さん
役者として歩み始めてから約3年。彗星のごとく現れた新たな才能に、熱い視線が注がれている。
役者になることを意識し始めたのは、美容師を目指して専門学校に通っていた時。バイト先でスカウトされ、人前に立つ仕事に興味を持つようになった。
「美容師として働く自分が想像できてしまって。だったら、まだ知らない世界に挑戦しようと思ったんです」
そしてファッション誌の専属モデルになり、1年後にはテレビドラマの主演としてデビューを果たす。
「演技はもちろん主演という責任の重さなど、何も分からなかったので、現場で体当たりで吸収しましたね」
その後も順調に話題作に出演し、キャリアを積んでいくが、周囲は百戦錬磨のスタッフばかり。自分の演技がどのように評価されているかが気になり、彼らと素直に打ち解けられない時期を過ごした。そんな中、日中韓合作映画『双生』の主演として抜擢され、約2カ月にわたり北京で撮影を行うことになる。
「主演として、そしてものづくりをする一員として、責任感を持って臨みました。スタッフは監督以外外国人だったので、日本で演じる時のように先入観がなかったせいか、自分から『大丈夫?』とか『頑張ろう!』とか、自然に声を掛けることができたんです。そのうちに親近感が生まれ、現場に良い空気感をつくれた気がしました」
「役者としての責任」を実感できたことが成長につながり、その後も積極的に多彩な役柄に挑んでいく。二枚目を演じることも多いが、ドラマ『コード・ブルー −ドクターヘリ緊急救命−』では、コンプレックスを抱くフェローが成長していく様を演じ、話題をさらった。
「ある作品でプロデューサーに、自分の演技が何点だったか聞かれたんです。内心は15点くらいでしたが70点と答えました。役者もスタッフも全力で取り組んでいる中で、自分が失敗したとは言えませんよね。とにかく自信を持たないとダメだと思っています」
うまくいかなかった日は、そのことを考えない。「めちゃめちゃメンタルが弱い」からこそ、ネガティブにならないように工夫している。
「一度マイナス思考になると、余計なことまで考えてへこんじゃうんで。いつも通り生活して、忘れているならその程度のことだったんだ、と割り切っています」
今は、何でも受け入れて、吸収する時期だという。
「これから先、芝居はもちろんどんなことでも、自分が何かをやりたいと思った時に、それを実現できるようになっていたい。だから今は、できることを一生懸命やる。たとえ得意じゃないと思った仕事でも、気付きを与えてくれますから。そうして実力を蓄えて、やりたいことだらけにできたら、幸せですよね」