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トップ > シゴトの哲学 [Vol.15] スポーツキャスター 畠山 愛理さん

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  • シゴトの哲学
  • 2019.09.01

[Vol.15] 畠山 愛理さん(スポーツキャスター)

「選手」と「素人」、双方の視点を大切に、自分を見つめながら伝えています

写真:畠山愛理さん

日本の新体操界をけん引してきた、美の演技者。凛とした立ち姿からあふれる輝きに、圧倒される。

リボン競技に憧れて、小学1年生から新体操を始めた。6年生の時に全国大会で入賞したことから、オリンピックという目標を明確に抱くように。そして、15歳で山崎浩子氏が率いる新体操日本代表(フェアリージャパン)に選出。3日後には合宿への参加でロシアへ飛び、毎日8時間以上の練習をこなした。

「日本とは異なる環境の中で切磋琢磨しながら、練習し切ったと思えるまで表現を磨き続けたことが、それ以降、演技をする上での自信につながりました」

ロンドン2012オリンピックで団体7位入賞。気持ちはすぐに次の大会へと向かった。

「ロンドン2012大会後には、キャプテンを任されました。でもチームへの想いが強過ぎて、自分が見えなくなってしまい、気付けば周囲の選手たちも離れていってしまって……。そんな時、山崎先生が『相手は自分を映す鏡。相手に変化を求めず、まずは自分を見つめ直しなさい』と声を掛けてくれたんです」

自分からコミュニケーションを取ると、次第にチームメイトも心を開いてくれるようになり、団結力が深まった。そしてキャプテン交代後も、ムードメーカーとしてチームを支えた。

「チームをまとめるのはキャプテン。でも選手個々にも役割はあります。キャプテンを経験して、チーム内での立ち位置も考えられるようになりました」

スポーツキャスターをメーンに活動している今も、山崎氏からの言葉は宝物だ。

「自分を見失いがちな性格なので、山崎先生の『相手は自分を映す鏡』という言葉を常に思い出しています。それによって、伝える側として大切なことも見えてきました。取材では、元アスリートだから理解できる部分を見つけつつ、素人目線で感じたことも伝えています。アンカーとしても緊張感を持ち、スタッフの方々の準備を無駄にしないよう臨んでいます」

悩んだり失敗したりしたときは、現役時代から続けている"反省ノート"に書き込んでいるという。

「以前は、試合の結果を見れば自分の成長が分かったのですが、仕事になると選手時代ほど成長を感じることが難しいんです。だから今は、仕事の反省点をノートに書いて、同様の仕事の際にはそれを見返してから臨む。同じ失敗をしないというだけでも、小さな成長を実感できるようになりました」

キャスター業にとどまらず、モデルやタレントなどでも活躍する現在。これからも新体操のように、大好きなことを見つけて仕事にしていきたい――。そう語る瞳は清らかで、真っすぐ前を見つめていた。

畠山 愛理(はたけやま あいり)
1994年、東京都生まれ。ロンドン2012オリンピック団体7位、リオデジャネイロ2016オリンピックで団体8位入賞。2016年に現役引退後は、スポーツキャスターやモデルとして活躍。キヤノンの特設サイトでも記事を公開中。
https://global.canon/ja/event/2020/sport/special07/

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