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トップ > フォトなび [47] 冬ならではの光や造形を意識する

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  • 2021.12.01

[47] 冬ならではの光や造形を意識するEOS学園講師:平松佑介さん

冬は太陽が移動する高度が低いため、光が斜めから差し込み、被写体に立体的な陰影が現れます。そんな冬の光を生かして撮影をするのも、情緒あふれる作品を撮る一つの方法です。特に夜明け前や日没後の時間帯は光がやわらかく、被写体を美しく見せてくれます。

1枚目の写真は、早朝の椿の群生林で撮影した一枚です。冬を迎え、地面にぽつんと落ちた椿の花のはかなげな美しさを表現するために、光と影のコントラストを利用しました。地面の面積をあえて広くすることで黒い影を際立たせ、椿の鮮やかな赤をより印象的に捉えています。また、花を主役にすると、どうしても花を中心にしてアップで撮りがちですが、この椿のような可愛らしい花は、あえて端に小さくおさまるようにすると、より繊細さを表現できます。小さな被写体を目立たせるために、余分な要素をできるだけ省くのもポイントです。この場合は周囲の椿の木や道などが入らないよう意識しました。このように被写体だけを見るのではなく、全体を引いた視点から見て、構図を考えるようにしましょう。

  • 写真:地面に落ちた椿 ▲ 冬の朝は、1日の中でも最も斜めから光が差し込むため、影が大きく出やすい。地面に落ちた椿のはかない美しさを表現するために、あえて右端に小さく入れた
  • 写真:シダレザクラは冬も魅力的な被写体 ▲ 春に美しい花が咲くシダレザクラは、冬も魅力的な被写体になる。フレームに枝全体をおさめず、はみ出すようにすることで、四方に大きく広がる枝の迫力を表現した

また、冬は景色から色彩が減少し、それまで目に留まらなかったものが浮き出てきます。青々とした葉が落ちた後に見える面白い造形の枝に注目するのも、冬の撮影ならではの醍醐味ではないでしょうか。2枚目の写真は、シダレザクラを撮影したものです。くねくねと広がる枝の迫力を表現するため、しゃがんで木の根本あたりから空を見上げて撮影しました。曇り空のグレーがかったトーンを背景にすると、枝の造形をはっきりと浮かび上がらせることができます。曇りや雨、雪といった天気があまり良くないときの方が、普段見えないものに出合える場合があります。近所を散歩して、新しい被写体を見つけてみてください。

肉眼では見えない景色を視点を変えて撮影しよう

写真:水面に映る木々 朝7時くらいに撮影。冬のやわらかな光が水面に映る木々を美しく映し出している

レンズを通すと肉眼では見えない景色に出合える場合があります。左の写真は神社の境内を流れる川を撮影したもので、あえて水面に映り込んだ木々にピントを合わせました。ゆがんだ木々の周りで輝いているのは川に投げ込まれたお賽銭です。ピントが外れているので光の粒のようになり、幻想的な風景を作り上げています。

「楽しいフォトライフのためのEOS学園」
EOS学園は、多くの方に写真の楽しさを知ってもらい、表現の可能性を広げるための写真教室です。プロの写真家を講師に招き、講義と実習による講座を東京校、名古屋校、大阪校、オンラインにて開催。入門コースから上級者向けコースまで、レベルに合わせて多彩な講座をご用意しており、オンライン講座では場所を選ばず、実際に教室で教わっている感覚で学ぶことができます。最新の開講情報はキヤノンのホームページでご確認ください。(※一部講座を除く)

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