カテゴリーを選択
トップ > フォトなび [31] 「光」と「影」を意識してスナップ撮影をする
今回は、「光」と「影」のバランスや、それらの形そのものに意識を向けて、ひと味違う写真を撮影する方法を紹介します。
旅先で美しい景色や物を見かけると、隅々まで光の当たった明るい写真を撮りたくなるものです。これは、被写体の正面に対して真っすぐ光が当たる「順光」という状態です。被写体の色や形がはっきり出るため、カラフルな店先や色鮮やかな料理などをストレートに表現するのに適しています。
しかし、少し見方を変えると旅先には華やかな場所とは違う、「隠れ撮影スポット」がたくさんあることに気付きます。例えば、お手本写真の格子戸とのれんの風景(1枚目)に光が差すのは斜め方向から。凹凸のある格子戸やのれんに木漏れ日がきらめくような形を作っています。また、順光で撮影された風景(2枚目)では、路地を挟んで反対側にある建物の軒先の影が格子戸にくっきりと投影され、直線の美しさや立体感を際立たせています。2作品とも被写体自体に派手さはありませんが、光と影をうまく捉えつつ、余分なものを切り捨てることで美しい作品に。さらに被写体に正対して撮ることで、格子戸の直線が生む緊張感と光と影の織りなす不規則な形が同居する、印象深い写真になりました。
▲ 逆光で和室を撮影。撮影範囲の外にある開口部から畳に降り注ぐ光と、手前の台との明暗差が目を引く1枚
一方、和室を撮影したお手本写真(3枚目)では、奥から手前に向かって差す「逆光」を利用。手前にあえて台を入れることで、撮影範囲の外にある開口部から畳に降り注ぐ光が、最も暗い影の部分と隣接し、ドラマチックな雰囲気の1枚に。光と影のバランスが自分のイメージに近づくよう、いろいろな構図を試してみるのがおすすめです。
撮影のコツは、光より影の比率を多めにし、「スポットライト効果」を強めること。カメラ任せにすると明るく写りがちなので、撮影モードを「P(プログラム)」にし、露出を「マイナス1〜2」に補正してトーンを落とします。写っているものが何か分かるよう、最低限の情報を写し込むギリギリの位置まで寄ることも大切です。難しく感じるかもしれませんが、たくさん撮影して感覚を養いましょう。建物が密集し、光と影が織りなす面白い造形を見つけやすい近所の社寺などが練習には最適です。このテクニックを身に付けて街を歩くと、撮影対象が広がり、写真がさらに楽しくなります。