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トップ > フォトなび [44] 春の花を印象的に撮る
色彩豊かな春の花は魅力的な被写体です。しかしどの花も美しいからこそ、何を主役に撮影しようかと迷うこともあるでしょう。そんなときは、料理の盛り付けをイメージしてみましょう。例えばハンバーグを盛り付けるとき、器にどんと乗せるだけではおいしそうに見えません。ほどよい大きさのハンバーグに彩りよくニンジンなどを添え、器まで含めて全体でおいしく見えるように工夫するはずです。
花を撮影する場合も同じです。周囲の様子をよく見ずに大きく華やかな花だけを撮ろうとすると、記録写真のようになりがちです。作品全体から春を感じられ、飾りたくなるような印象的な写真にするには、背景にも意識を向けて、ボケの効果を狙ってみましょう。
背景を効果的にぼかすには、ポイントが二つあります。まず、500円玉くらいの大きさの、小ぶりな花を被写体にすること。そして、カメラから主役となる被写体までの距離は1m前後、背景は被写体までの距離の2倍にすることです。
▲ 普通に歩いているだけでは見つけられないほどの小さなチューリップ。
ひっそりと咲いている花ほど背景を生かすことができる。
被写体や背景との距離感をしっかりと覚えることが、上達への近道
1枚目の写真は、500円玉より少し大きい黄色のチューリップを主役にしました。後ろに見えるのはピンク色のチューリップ群です。多くの場合、黄色のチューリップより華やかなのでこちらを主役にしがちですが、視点を変えてピンク色のチューリップ群を背景にし、そこから1mくらいの場所を観察して小さなチューリップを見つけて撮影しました。
2枚目の写真も二つのポイントを押さえて撮影したものです。つくしだけでも春を感じることはできますが、黄色の花を背景にすることで、より春らしい色彩の一枚になりました。
被写体を見つけるのは"宝探し"のようなもので、キラッと光る宝は隠れた場所にあります。まずは背景を先に決め、被写体を探す方が見つけやすいかもしれません。1mの感覚を体で覚えるために、メジャーで実際に測ってみるのもお薦めです。
鉢植えを撮影する場合、土の部分が色合い的に邪魔になることがあります。そんなときに役立つのがハンカチ。レンズの目の前にハンカチを置いて撮影すると、印象的な前ボケを作ることができます。この写真は水色と青色のチェックのハンカチを使用しました。土を隠せるだけでなく、優しい雰囲気もプラスできます。