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トップ > フォトなび [44] 春の花を印象的に撮る

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  • 2021.03.01

[44] 春の花を印象的に撮るEOS学園講師:石井秀俊さん

色彩豊かな春の花は魅力的な被写体です。しかしどの花も美しいからこそ、何を主役に撮影しようかと迷うこともあるでしょう。そんなときは、料理の盛り付けをイメージしてみましょう。例えばハンバーグを盛り付けるとき、器にどんと乗せるだけではおいしそうに見えません。ほどよい大きさのハンバーグに彩りよくニンジンなどを添え、器まで含めて全体でおいしく見えるように工夫するはずです。

花を撮影する場合も同じです。周囲の様子をよく見ずに大きく華やかな花だけを撮ろうとすると、記録写真のようになりがちです。作品全体から春を感じられ、飾りたくなるような印象的な写真にするには、背景にも意識を向けて、ボケの効果を狙ってみましょう。

背景を効果的にぼかすには、ポイントが二つあります。まず、500円玉くらいの大きさの、小ぶりな花を被写体にすること。そして、カメラから主役となる被写体までの距離は1m前後、背景は被写体までの距離の2倍にすることです。

写真:背景を生かした小さなチューリップ

▲ 普通に歩いているだけでは見つけられないほどの小さなチューリップ。
ひっそりと咲いている花ほど背景を生かすことができる。
被写体や背景との距離感をしっかりと覚えることが、上達への近道

写真:つくしだけでも春を感じることはできますが、黄色の花を背景にすることで、より春らしい色彩の一枚に ▲ 「EOS Kiss M2」は自由に角度を調整できるバリアングル液晶モニターを搭載しており、ローアングルも撮影しやすい。高さ10cm程度のつくしを撮影するときにも被写体や構図を確認しやすく便利

1枚目の写真は、500円玉より少し大きい黄色のチューリップを主役にしました。後ろに見えるのはピンク色のチューリップ群です。多くの場合、黄色のチューリップより華やかなのでこちらを主役にしがちですが、視点を変えてピンク色のチューリップ群を背景にし、そこから1mくらいの場所を観察して小さなチューリップを見つけて撮影しました。

2枚目の写真も二つのポイントを押さえて撮影したものです。つくしだけでも春を感じることはできますが、黄色の花を背景にすることで、より春らしい色彩の一枚になりました。

被写体を見つけるのは"宝探し"のようなもので、キラッと光る宝は隠れた場所にあります。まずは背景を先に決め、被写体を探す方が見つけやすいかもしれません。1mの感覚を体で覚えるために、メジャーで実際に測ってみるのもお薦めです。

ハンカチを活用した前ボケで味わいのある一枚に

写真:ハンカチを活用した前ボケで味わいのある一枚 淡い色味のハンカチで強い色の部分を隠すと、写真全体が春らしく優しい雰囲気になる

鉢植えを撮影する場合、土の部分が色合い的に邪魔になることがあります。そんなときに役立つのがハンカチ。レンズの目の前にハンカチを置いて撮影すると、印象的な前ボケを作ることができます。この写真は水色と青色のチェックのハンカチを使用しました。土を隠せるだけでなく、優しい雰囲気もプラスできます。

「楽しいフォトライフのためのEOS学園」
EOS学園は、多くの方に写真の楽しさを知ってもらい、表現の可能性を広げるための写真教室です。プロの写真家を講師に招き、講義と実習による講座を東京校、名古屋校、大阪校で開催。入門コースから上級者向けコースまで、レベルに合わせて多彩な講座が選べます。風景、マクロ表現などのテーマ別講座なども同校で開講中です。(※一部講座を除く)
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