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トップ > 大人のたしなみ [Vol.11] コーヒーを楽しもう

社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第11回は、コーヒーの魅力について、カフェを経営する堀内隆志さんに話を聞いた。

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  • 大人のたしなみ
  • 2021.09.01

[Vol.11] コーヒーを楽しもう

仕事中や食後など、さまざまな場面でコーヒーを飲む人は多いのではないでしょうか。香りや味を楽しめるだけでなく、気分転換したりホッとしたりといった効果が実感できるからでしょう。

コーヒーはエチオピアが発祥といわれ、中東、ヨーロッパ、世界へと広がっていきました。中でも17世紀に伝わったアメリカを中心に、3つの波と共に文化的変遷をたどりました。

アメリカに伝播してしばらくは上流階級の飲み物でしたが、19世紀に安価なコーヒーが大量生産、大量消費されるようになります。このファーストウェーブにより、コーヒーが大衆化しました。1970年代になるとシアトル発のコーヒーチェーン店がおいしさを追求。エスプレッソに注目し、ラテなどを提供し始め、世界中に"シアトル系カフェ"ブーム、いわゆるセカンドウェーブが起きました。そして2000年以降、豆の産地から加工方法まで品質にこだわったコーヒーを提供するサードウェーブが起こり、今も続いています。

時代と共にブームが変化してきたコーヒーですが、最近は自宅で楽しむ人が増えています。在宅時間が長くなり、自分でコーヒーを淹れてみてあらためて魅力に気付いた人も多いようです。例えば、ハンドドリップでコーヒーを淹れると、挽きたての豆ほど湯を注いだときにプクプクとふくらみ、その行為自体が癒やしにもなるのです。

自宅でコーヒーを淹れるとき、重要になるのが「豆選び」です。近年は高品質で特徴的な味わいを持ち、トレーサビリティ(追跡可能性)が明確なスペシャルティコーヒー(「豆の種類例」の表参照)がトレンドです。コーヒーの個性は、豆の産地や品種のほか、焙煎(ロースト) や、実から種子を取り出しコーヒーの原料となる生豆に精製する方法(「コーヒー豆の精製方法」の表参照)などによって形作られます。

  • 写真:RIVERS(リバーズ)のコーヒーグラインダー「グリット」

    コーヒー豆は挽きたてを

    おいしいコーヒーを淹れる条件は、直前に豆を挽くこと。最高の豆でも、挽いてから時間がたつと味や香りが失われる。RIVERS(リバーズ)のコーヒーグラインダー「グリット」はセラミック刃の独自の構造で、手動ながら労力いらず。豆のおいしさを安定して引き出せる。
  • 写真:普段飲みしたい、ふくよかな香りのコーヒー

    普段飲みしたい、ふくよかな香りのコーヒー

    デイリーユースにぴったりのお薦めのコーヒー豆は、「ブラジル・ミナス・ジェライス・サンタカタリーナ・ナチュラル・中深煎り」。ローストナッツのような風味があり、甘みがふんわりと口の中に広がる。誰からも好感を持たれる味わいで、毎日飲みたくなるおいしさ。
  • 豆の種類例

    表:豆の種類例
  • コーヒー豆の精製方法

    表:コーヒー豆の精製方法

焙煎とは、生豆に熱と圧力を加える工程のことで、加え方や時間によって焙煎の深さが決まります。焙煎の深さの度合いは、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」「極深煎り」に分類され、さらに8段階に分けられます(「知っておきたい焙煎度合い」の表参照)。焙煎が浅いと酸味が強く、深いと苦味が強くなり、同じ産地の豆でも精製方法や焙煎度合いが違うと味が変わります。こうした奥深さがコーヒーのおもしろさですが、初心者ならスペシャルティコーヒーを提供しているカフェや自家焙煎店などで好みの味を見つけるのが、豆選びの近道になるでしょう。

コーヒーは、コーヒーメーカーやサイフォンで淹れる方法もありますが、ペーパーフィルターを使用し、ハンドドリップで淹れる方法は比較的手軽で、淹れる醍醐味(だいごみ)も味わえます。用意する基本の道具は、ミル、ドリッパー、ペーパーフィルター、ドリップポット、コーヒーサーバーです。豆をきちんと計量し、最適な温度の湯で抽出量を計測しながら淹れるのがおいしく淹れるコツです。好みの味となるように、豆の挽き方や湯の温度を調整するなど、工夫をすれば楽しさも増します。知れば知るほど芳醇な世界が広がるコーヒーの世界に、一歩踏み出してみませんか。

  • 知っておきたい焙煎度合い

    表:知っておきたい焙煎度合い
  • 写真:自家焙煎のコーヒーを満喫

    自家焙煎のコーヒーを満喫

    コーヒーの新しい魅力を体感できるのが、鎌倉で長く愛されている「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」。注文を受けてから自家焙煎した豆を挽き、ハンドドリップで丁寧に淹れる一杯は至福の味わい。ブラジル音楽やネオソウルが流れる心地よい空間で、中煎りから深煎りまで常時15種類ほどのコーヒーが楽しめる。豆や道具の購入も可能。
  • 写真:焙煎の度合いによってドリッパーを使い分ける

    焙煎の度合いによってドリッパーを使い分ける

    ドリッパーの代表的な形状は、扇形と円すい形。豆の焙煎が浅めなら扇形、深めなら円すい形と使い分けると、豆のキャラクターを引き出せる。三洋産業のフラワードリッパー(円すい形)と扇形ドリッパーはいずれも高品質な有田焼で、見た目も使い心地も抜群。
  • 写真:ポットにこだわる

    ポットにこだわる

    コーヒーを淹れるとき、やかんで熱湯をドボドボ注ぐと渋みやえぐみが出る原因に。やかんから注ぎ口の細いドリップポットに移せば、ほどよく冷めたお湯を細く繊細に注ぐことができる。タカヒロの超極細口ポット「雫」は、初心者でも注ぐ湯量をコントロールしやすく、ドリップ上手に。
堀内隆志 さん
鎌倉の「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」のオーナー。カフェブームの草分け的存在であり、ブラジル音楽のアルバムプロデュースなども行う。自ら焙煎したコーヒー豆などをオンラインショップでも販売。FMヨコハマ(日曜日朝7:25~)「by the Sea COFFEE & MUSIC」でパーソナリティーを務める。著書に『コーヒーを楽しむ。』(主婦と生活社)など

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