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トップ > 大人のたしなみ [Vol.11] コーヒーを楽しもう
社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第11回は、コーヒーの魅力について、カフェを経営する堀内隆志さんに話を聞いた。
仕事中や食後など、さまざまな場面でコーヒーを飲む人は多いのではないでしょうか。香りや味を楽しめるだけでなく、気分転換したりホッとしたりといった効果が実感できるからでしょう。
コーヒーはエチオピアが発祥といわれ、中東、ヨーロッパ、世界へと広がっていきました。中でも17世紀に伝わったアメリカを中心に、3つの波と共に文化的変遷をたどりました。
アメリカに伝播してしばらくは上流階級の飲み物でしたが、19世紀に安価なコーヒーが大量生産、大量消費されるようになります。このファーストウェーブにより、コーヒーが大衆化しました。1970年代になるとシアトル発のコーヒーチェーン店がおいしさを追求。エスプレッソに注目し、ラテなどを提供し始め、世界中に"シアトル系カフェ"ブーム、いわゆるセカンドウェーブが起きました。そして2000年以降、豆の産地から加工方法まで品質にこだわったコーヒーを提供するサードウェーブが起こり、今も続いています。
時代と共にブームが変化してきたコーヒーですが、最近は自宅で楽しむ人が増えています。在宅時間が長くなり、自分でコーヒーを淹れてみてあらためて魅力に気付いた人も多いようです。例えば、ハンドドリップでコーヒーを淹れると、挽きたての豆ほど湯を注いだときにプクプクとふくらみ、その行為自体が癒やしにもなるのです。
自宅でコーヒーを淹れるとき、重要になるのが「豆選び」です。近年は高品質で特徴的な味わいを持ち、トレーサビリティ(追跡可能性)が明確なスペシャルティコーヒー(「豆の種類例」の表参照)がトレンドです。コーヒーの個性は、豆の産地や品種のほか、焙煎(ロースト) や、実から種子を取り出しコーヒーの原料となる生豆に精製する方法(「コーヒー豆の精製方法」の表参照)などによって形作られます。
焙煎とは、生豆に熱と圧力を加える工程のことで、加え方や時間によって焙煎の深さが決まります。焙煎の深さの度合いは、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」「極深煎り」に分類され、さらに8段階に分けられます(「知っておきたい焙煎度合い」の表参照)。焙煎が浅いと酸味が強く、深いと苦味が強くなり、同じ産地の豆でも精製方法や焙煎度合いが違うと味が変わります。こうした奥深さがコーヒーのおもしろさですが、初心者ならスペシャルティコーヒーを提供しているカフェや自家焙煎店などで好みの味を見つけるのが、豆選びの近道になるでしょう。
コーヒーは、コーヒーメーカーやサイフォンで淹れる方法もありますが、ペーパーフィルターを使用し、ハンドドリップで淹れる方法は比較的手軽で、淹れる醍醐味(だいごみ)も味わえます。用意する基本の道具は、ミル、ドリッパー、ペーパーフィルター、ドリップポット、コーヒーサーバーです。豆をきちんと計量し、最適な温度の湯で抽出量を計測しながら淹れるのがおいしく淹れるコツです。好みの味となるように、豆の挽き方や湯の温度を調整するなど、工夫をすれば楽しさも増します。知れば知るほど芳醇な世界が広がるコーヒーの世界に、一歩踏み出してみませんか。