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トップ > 大人のたしなみ [Vol.12] ウオーキングを楽しもう

社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第12回は、ウオーキングの魅力について、ヒップアップ・アーティストの松尾タカシさんに話を聞いた。

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  • 大人のたしなみ
  • 2021.12.01

[Vol.12] ウオーキングを楽しもう

在宅時間が長くなり運動不足を感じたら、気軽に始められ、多くのメリットがあるウオーキングがお薦めです。脂肪を燃焼させる有酸素運動のためダイエットに有効で、生活習慣病のリスク低下にも貢献します。また、下半身を中心に筋力を使うことで、加齢で衰える歩行能力も維持できます。さらには心肺機能が向上し、脳への血流量が増えて脳が活発に働くため、認知症予防やストレス緩和にもつながり、心にも好影響を与えるのです。近年は、歩行速度と寿命の関係にも注目が集まっており、海外の調査では歩行速度が速くなるにつれ、生存率が上がることも報告されています。

これらの効果を得るには「歩き方」がカギとなるのですが、日本人は猫背でひざを曲げて歩く人が多く、世界でも歩き方が下手だといわれています。これは、日本の歴史や生活環境が関わっているようです。例えば狩猟民族は走る生活に適応するため骨盤が前傾していますが、農耕民族といわれる日本人は骨盤が後傾しやすい構造です。そのため体を回旋しにくく足だけで歩くので、外国人からは奇妙な歩き方に見えるのです。さらに、日本人は座る時間が長い傾向がある上、近年ではスマートフォンの影響で下を向いている人も増え、若者でさえ姿勢も歩き方も不自然になりがちです。

間違った歩き方は体に負担をかけます。ウオーキングを行う際は「正しい歩き方の3原則」(下イラスト参照)を意識しましょう。ポイントは、①まっすぐ立つ、②重心を左右に移動させる、③体の回旋を使って歩く、というものです。この立体的な歩き方、すなわち「3Dウオーク」をマスターすれば、ダイナミックに、しなやかに、速く歩けるようになります。

正しい歩き方の3原則

間違った歩き方を続けていると、骨格がゆがみ、足やお尻の筋肉が衰え、ロコモティブシンドローム(運動器の障害のため、移動機能の低下をきたした状態)の原因に。正しい歩き方「3Dウオーク」の3原則を身に付け、100歳まで歩ける体に。

  • 図:まっすぐ立つ 原則1 まっすぐ立つ
    背筋を伸ばしてまっすぐ立つことが正しく歩く第一歩。ポイントは足裏の重心をくるぶしの少し前あたりに乗せ、頭のてっぺんを1cmほど持ち上げる感覚で立つこと。
  • 図:重心を左右に移動させる 原則2 重心を左右に移動させる
    歩くときに左右の重心移動をスムーズに。右足を地面に着地させて重心を乗せたら、次は左足を着地させて重心を右足から左足に移動させる。この動作を繰り返す。
  • 図:体の回旋を使って歩く 原則3 体の回旋を使って歩く
    上半身と下半身(骨盤)を回旋させて歩く。体の上下のツイスト動作で脚をスイングさせて歩くと歩幅が大きくなり、推進力がアップして前後への重心移動もスムーズになる。

「3Dウオーク」を身に付けるコツは、まず「まっすぐ立てる」ようになること。そのためには体を垂直に支え、骨盤を前傾させる役割を担うお尻の筋肉や腸骨筋といった「抗重力筋」を鍛えることが重要です。上イラスト「原則1」の片足を上げて立つポーズを、左右それぞれ毎日1分間キープするエクササイズを取り入れましょう。最初は壁に片手をついて体を支えながら行い、筋力がついてきたら手を離して行うと効果的です。

  • 画像:3Dが身に付くエクササイズ

    3Dが身に付くエクササイズ

    「トルネードウオーク」を毎日1分続けて、骨盤を回旋させる動きを体にしみこませよう。まず、まっすぐ立ち、両腕を肩の高さで重ね、足幅はこぶし1個分開ける。地面に対して垂直に立つ姿勢をキープしながら、上半身と下半身を大きくひねるように回旋させ、その勢いを利用しながら前に進む。
  • 画像:「ヒップリンちゃんねる」キャプチャ

    動画でコツをつかむ

    「3Dウオーク」のポイントなどを詳しく解説しているYouTube「ヒップリンちゃんねる」。「『歩き』のインテリジェンス」と題して歩行で意識すべきことから、100歳になってもグングン歩けるためのトレーニング、初心者のためのウオーキングシューズの選び方など、ウオーキングを正しく、楽しく行うためのノウハウが満載。

ウオーキングを実践するに当たり、1日の目標を設定することも大切なポイントです。できれば6000歩を目指しましょう。普段より早歩きをすると、10分間で約1000歩(1km)歩けます。初めから頑張って6000歩を歩く必要はなく、10分の歩行×6回などに分けても構いません。

モチベーションを高めるには、スマートウオッチやウオーキングアプリなどテクノロジーの力を借りるのも良いでしょう。日々の記録が簡単に残せる便利機能などでやる気に火がつきます。

悩みや問題がある場合でも、家で解決策を考えるより、歩きながら考える方が脳が活性化するので、答えが違ってくるはずです。心身の健康のために、まずは外に出て、気持ちよく歩くことから始めてみませんか。

※ 出典:JAMA. 305(1):50-8,2011

  • ウオーキング継続のポイント

    リスト:ウオーキング継続のポイント
  • 写真:スマートウオッチでモチベーションをアップ

    スマートウオッチでモチベーションをアップ

    ウオーキングを可視化し、やる気につなげよう。ガーミンの「vívomove 3」は健康管理に便利なスマートウオッチ。ウオーキング時にはスマートフォンとペアリングするコネクテッドGPSにより歩行を正確に追跡でき、距離や時間、消費カロリーなどを記録できる。
  • 写真:ランニングシューズをウオーキングシューズに

    ランニングシューズをウオーキングシューズに

    ウオーキングにはランニングシューズを使用すると歩きやすい。例えば「ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット 2」のように、ソールが厚くクッション性があり、ゆりかごのような形状だとかかとから爪先への足運びがスムーズに。選ぶ際は必ず試し履きを。
  • 写真:ウエアは機能にこだわる

    ウエアは機能にこだわる

    ウエア選びで重視したいのは機能性。特にボトムスは脚が動かしやすいようにストレッチ性があり、汗の吸収性と速乾性を兼ね備えたものがお薦め。ワコールの「CW-X スポーツタイツ ロング」は独自の段階着圧設計で、脚の動きをサポート。ライトなはき心地できつくなく動きやすい。
松尾タカシ さん
Progress Body代表。フィットネストレーナーとして培った知識を生かし、身体機能を活性化させながら姿勢矯正や身のこなしを美しく変える独自メソッド「Progress Body」を開発。プライベートおよびグループレッスンなどを行うほか、オリジナルの健康グッズの開発も手掛ける。著書に『きれいに歩けば長生きできる 世界標準3Dウォークの奇跡』(講談社)など

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