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トップ > 大人のたしなみ [Vol.16] サステナブル・クッキングを楽しもう
社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第16回は、サステナブル・クッキングの魅力について、料理家の佐々木 綾子さんに話を聞いた。
サステナブル・クッキングとは、地球環境に配慮しながら、人も豊かに生活し、持続可能な社会を実現できるよう、食の視点から考えていこうというものです。
とはいえ、私たちの日常に深く結び付いた食生活において、無理をしてストレスになるような取り組みでは長続きしません。そこで、「ウェルビーイング」という考え方、つまり心が楽しめるような食の在り方が大切になってきます。
以前からサステナブルな食生活を実践する人はいましたが、こうした人たちは世の中から健康愛好者的な捉え方をされていました。ところが、コロナ禍で潮目が変わりました。最近では自由で気楽に、楽しみながらサステナブル・クッキングを取り入れる人が増えています。
その魅力の一つは、これまで捨ててしまっていた部分を活用することで、食材の新たなおいしさを発見できるということです。非可食部分なら、香りとして生かす方法があります。例えば、ちょっと実が残っているりんごの芯や皮。お湯で煮立てると、きれいなピンク色になり、紅茶のティーバッグを入れれば人工香料ではない、天然のアップルティーが出来上がります。野菜の皮をキンピラにするのもよいでしょう。食感がいいので、皮を集めておけば、皮だけでつくれます。また、キノコの軸の部分をスリコギで叩くと、繊維が潰れて肉のような食感になります。挽肉に混ぜればヘルシーで、環境にも優しいハンバーグの出来上がりです。さらに物価の上昇やエネルギーの高騰で、光熱費も気になる時代です。そこで調理の際には、鍋やフライパンにふたをして余熱を利用するとエネルギー消費の抑制にもつながるのでお薦めです。余熱とは火を切っている状態です。料理の火加減には強火、中火、弱火、そして余熱の4段階があります。目玉焼きなどでも、最後にふたをして余熱をうまく使うと、とてもおいしく出来上がります。
また肉、魚、乳製品などの動物性食品を使わない、植物性の食材でつくられたプラントベースフードもお薦めです。これらも楽しみながら、無理なく活用するようにしましょう。例えば、料理の一ジャンルと考える方法があります。週の内で、朝は和食、昼は中華、夜はプラントベースを取り入れるといった日をつくっておくと続けやすいです。
なるべく地産地消の食品を取り入れることも大切です。近くで採れた食材は、おのずと旬のものを食べることになり、おいしい上に栄養価も高い。また、輸送エネルギーや輸送コストの低減により、環境へのメリットや購入価格を抑えることにもつながります。
そして最後に、後片付けの際にはできるだけ洗い物を少なくするように心掛けましょう。料理をするときに、洗い物を意識するだけでも変わります。洗剤も少なくてすみますし、オーガニックの洗剤を使用すると、環境にも肌にも優しい。まずは無理なく楽しみながら、サステナブル・クッキングを始めてみてはいかがでしょうか。