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トップ > 大人のたしなみ [Vol.6] ジャズを楽しもう
社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第6回は、ジャズの魅力について、ジャズ評論家の大須賀 進さんに話を聞いた。
ジャズに興味を持ちつつも、「何を聴いたらいいか分からない」「難しそう」と感じている人は多いのではないでしょうか。それも無理はありません。長い歴史を持つジャズは時代とともに多様なジャンルに分かれ、さらには同じ曲でも演奏者によってテンポ、曲調、リズムまで違うのです。でも、一度味わえばクセになり、ハマってしまう魅力ある音楽。まずは、その歴史を紹介しましょう。
ジャズの発祥は、1900年頃の米国の多様な人種が集まるニューオーリンズです。当時、酒場でBGMとしてピアノを弾いていた混血のクレオールが、西洋音楽とアフリカ系音楽をミックスしたことが始まりともいわれています。また、南北戦争の終結によって、トランペットなどの軍楽隊の楽器が安く出回り、アフリカ系の人々の手に渡ったことも要因といわれています。
1917年、第一次世界大戦参戦によりニューオーリンズの繁華街が閉鎖され、仕事にあぶれたミュージシャンはシカゴへと流れました。なぜなら、禁酒法の時代でしたが、暗黒街の帝王アル・カポネにより地下ではバーが営まれており、バンドの需要があったからです。一方、カンザスシティでも悪徳政治家トム・ペンダーガストの庇護のもと、ビッグバンド・ジャズが栄えました。
1930年代後半、禁酒法が解かれ、シカゴとカンザスシティの勢いが衰えると、ミュージシャンはニューヨークを目指しました。時代はビッグバンドによる「スウィング・ジャズ」の真っ盛り。ジャズは国民的音楽となり、以降ニューヨークはジャズの中心地として今日に至ります。また、西海岸のロサンゼルスにあるハリウッドでもジャズが盛んに。当時は「ハリウッド黄金期」といわれ、ミュージカルなど大掛かりなバンド編成の絶頂期。そのため多くのミュージシャンは、この地で安定した生活を営めるようになりました。
1940年以降、第二次世界大戦の影響もありビッグバンドが衰退する中、チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーによって生まれたのがアドリブ主体の「ビバップ」です。これによりジャズは芸術的音楽へと変貌していきました。
ジャズのピークは1950年代前後で、この年代にあらゆるビッグネームがひしめいています。中でもジャズの王道といえる10人の巨人(下表参照)の音楽を「聴いてみる」ことが、初心者がジャズを楽しむ入り口です。難しく考えず、ピンとくるミュージシャンがいれば扉は開いたも同然。その人の音楽から聴き始めましょう。
さらにCDを聴くだけでなく、ジャズライブに行くことでジャズとの距離が縮まります。演奏者はアドリブで持ち味を表現するので、その時、その場でしか聴くことができない演奏に出合えます。ライブに行く際には、演奏するミュージシャンについて少しでも予習をしておくと、より親近感を持つことができます。ライブ情報はインターネットで簡単に検索できます。自宅で、外で、ジャズに一歩近づいてみてはいかがでしょうか。