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トップ > 大人のたしなみ [Vol.6] ジャズを楽しもう

社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第6回は、ジャズの魅力について、ジャズ評論家の大須賀 進さんに話を聞いた。

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  • 大人のたしなみ
  • 2019.12.01

[Vol.6] ジャズを楽しもう

ジャズに興味を持ちつつも、「何を聴いたらいいか分からない」「難しそう」と感じている人は多いのではないでしょうか。それも無理はありません。長い歴史を持つジャズは時代とともに多様なジャンルに分かれ、さらには同じ曲でも演奏者によってテンポ、曲調、リズムまで違うのです。でも、一度味わえばクセになり、ハマってしまう魅力ある音楽。まずは、その歴史を紹介しましょう。

  • ジャズのジャンルと特徴を知ろう

    写真:ジャズのジャンルと特徴を知ろう
  • 写真:初めて聴くなら、この1曲

    初めて聴くなら、この1曲

    「聴いたことのある曲」を入り口にすると親しみやすい。有名女性歌手ヘレン・メリルのCD「ベスト・オブ・ヘレン・メリル」の「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」はきっと耳にしたことがあるはず。魅惑の歌声を堪能しよう。
  • 写真:小説でジャズを「読む」

    小説でジャズを「読む」

    小説からジャズにアクセスするのも面白いもの。お薦めは、高名なジャズ批評家のナット・ヘントフによる『ジャズ・カントリー』(晶文社)。トランペットとジャズが大好きな白人高校生が現実と向き合っていく青春小説だが、ジャズ入門書としても最適な好著。
  • 写真:実は身近にあったジャズ

    実は身近にあったジャズ

    昔から親しんできた音楽がジャズだったということも。人気アニメシリーズ「ルパン三世」の主題歌や劇中歌はジャズピアニストの大野雄二が作曲している。大野雄二トリオのCD『LUPIN THE THIRD 「JAZZ」』は、さらにジャズアレンジを加えたルパン・ジャズの決定盤。

ジャズの発祥は、1900年頃の米国の多様な人種が集まるニューオーリンズです。当時、酒場でBGMとしてピアノを弾いていた混血のクレオールが、西洋音楽とアフリカ系音楽をミックスしたことが始まりともいわれています。また、南北戦争の終結によって、トランペットなどの軍楽隊の楽器が安く出回り、アフリカ系の人々の手に渡ったことも要因といわれています。

1917年、第一次世界大戦参戦によりニューオーリンズの繁華街が閉鎖され、仕事にあぶれたミュージシャンはシカゴへと流れました。なぜなら、禁酒法の時代でしたが、暗黒街の帝王アル・カポネにより地下ではバーが営まれており、バンドの需要があったからです。一方、カンザスシティでも悪徳政治家トム・ペンダーガストの庇護のもと、ビッグバンド・ジャズが栄えました。

1930年代後半、禁酒法が解かれ、シカゴとカンザスシティの勢いが衰えると、ミュージシャンはニューヨークを目指しました。時代はビッグバンドによる「スウィング・ジャズ」の真っ盛り。ジャズは国民的音楽となり、以降ニューヨークはジャズの中心地として今日に至ります。また、西海岸のロサンゼルスにあるハリウッドでもジャズが盛んに。当時は「ハリウッド黄金期」といわれ、ミュージカルなど大掛かりなバンド編成の絶頂期。そのため多くのミュージシャンは、この地で安定した生活を営めるようになりました。

1940年以降、第二次世界大戦の影響もありビッグバンドが衰退する中、チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーによって生まれたのがアドリブ主体の「ビバップ」です。これによりジャズは芸術的音楽へと変貌していきました。

ジャズのピークは1950年代前後で、この年代にあらゆるビッグネームがひしめいています。中でもジャズの王道といえる10人の巨人(下表参照)の音楽を「聴いてみる」ことが、初心者がジャズを楽しむ入り口です。難しく考えず、ピンとくるミュージシャンがいれば扉は開いたも同然。その人の音楽から聴き始めましょう。

さらにCDを聴くだけでなく、ジャズライブに行くことでジャズとの距離が縮まります。演奏者はアドリブで持ち味を表現するので、その時、その場でしか聴くことができない演奏に出合えます。ライブに行く際には、演奏するミュージシャンについて少しでも予習をしておくと、より親近感を持つことができます。ライブ情報はインターネットで簡単に検索できます。自宅で、外で、ジャズに一歩近づいてみてはいかがでしょうか。

  • 写真: 押さえておきたい巨人10人 ジャズ界の「ティア1」

    押さえておきたい巨人10人 ジャズ界の「ティア1」

    今やジャズは多様化し、ロックやソウルがジャズと分類されることもあるが、誰もがジャズと認めるアーティストは限られている。例えるならラグビーの強豪国の階層「ティア1」。巨人たちの音楽から自分好みが見つかるはず。
  • 写真:ジャズクラブで迫力の演奏を間近に

    ジャズクラブで迫力の演奏を間近に

    おしゃれにジャズを楽しめるのがジャズクラブ。長年、ジャズファンを魅了し続けている「ブルーノート東京」では、世界のトップ・アーティストの生演奏を、おいしい料理やお酒とともに楽しめる。一人でもカップルでも友人同士でも、ジャズの醍醐味を味わう一夜が過ごせる。
    撮影:山路 ゆか
    http://www.bluenote.co.jp/jp/
  • 写真:全国各地で開催 開放的なジャズフェス

    全国各地で開催 開放的なジャズフェス

    全国各地で行われているジャズフェス。旅行と組み合わせて参加するのも楽しい。例えば「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」(例年9月開催・無料)は仙台市の定禅寺通りを中心に、街全体がライブ会場に。ご当地グルメの屋台もあり、お祭り気分でジャズを満喫できる。
  • 写真:ホテルで優雅に楽しむ恒例のジャズイベント

    ホテルで優雅に楽しむ恒例のジャズイベント

    「ホテルでジャズ三昧」という大人の楽しみ方ができるのが、帝国ホテルの「インペリアル ジャズ」(例年8月開催・有料)。さまざまなプログラムが繰り広げられる複数の会場は入退場自由。2019年はジャズ界の大御所、ベニー・ゴルソンも登場。
大須賀 進 さん
テナーサックス奏者としてライブハウスで活躍した経験と、ジャズ収集家としての視点と知識を生かし、ジャズの魅力を分かりやすく伝える。
ジャズに関する記事を多数執筆。All About「ジャズ」ガイド、ジャズネットマガジン編集長、シティリビング ジャズ講師、株式会社アップウェブ プロデューサー

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