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トップ > 大人のたしなみ [Vol.9] DIYを楽しもう
社会人たるもの、たしなみがあってこそデキる大人と感じさせる。ビジネスシーンでも、さまざまな分野の豆知識があればコミュニケーションが深まり、より良い結果につながることもあるだろう。第9回は、DIYの魅力についてDIYアドバイザーの山田芳照さんに話を聞いた。
近年、日本でもブームになっているDIYですが、その発祥はイギリスといわれています。第2次世界大戦後、破壊されたロンドンの街を自分たちで復興しようと修復に取り組んだことが始まりとされています。DIYはそのときのスローガン「Do It Yourself」の略語です。専門業者に頼らず、自分でできることは自分でやるというDIYの精神は、国境を越えてアメリカに伝わり、趣味的なカルチャーへと変化していきました。やがて、ホームセンターの成長を背景に日本にも広がり、今ではすっかり定着しています。
DIYというと、以前はテーブルや棚といった家具を自作する「もの作り」のイメージでしたが、ここ数年は「空間づくり」が主流となっています。空間を好みのテイストで統一し、自分の世界観をつくり上げることができる。それがDIYの大きな魅力といえるでしょう。例えば、家具を個々に集めていたら、テイストや色味、高さなどがバラバラで統一感のない部屋になってしまったという経験がある人は少なくないでしょう。そんなときプロに任せずに、自分で色を変えたり、高さをそろえたりすれば、コストも抑えることができます。その分を材料費に投じることもできるので材料の質にこだわったり、既製品にはないオリジナリティーを演出したりすることも可能です。そして、何といっても自分で作る醍醐味(だいごみ)や完成させたときの達成感を味わうことができます。
メリットも多いDIYですが、初心者の場合、楽しく続けるための鍵となるのが、「最初の一歩で挫折しない」ことです。いきなり本棚を作るといった大掛かりなことは失敗しやすく、挫折しやすいものです。まずは、小物にペンキを塗る、組み立て家具を組み立ててみるなど、技術がなくても完成できるものから着手しましょう。
それがクリアできたら、次は「壁のペンキ塗り」がお薦め。室内用塗料なら壁紙の上からでも塗れますし、万が一失敗しても塗り直したり、その上に壁紙を張ったりとリカバリーが可能です。しかも、壁の周りを養生し、ローラーで塗るだけという比較的簡単な作業で、空間の印象がガラリと変わります。これが成功すれば、連鎖的に次も何かをリメークしたり、手作りしたりしたくなるでしょう。このようにステップアップしていくことが、DIYを楽しむコツといえます。
そしてもう一つのポイントが、DIYに欠かせない工具を正しく使えるようになることです。そのためには、ホームセンターなどの体験教室に参加し、実際に工具を使ってみるのも近道になります。
昨今のリモートワークの広がりとともに、自宅の空間を見直す人が増え、DIYニーズがさらに高まっています。インターネットには家具の作り方などの動画が多数アップされ、ホームセンターや専門店には使いやすい工具や材料が豊富にそろい、DIYに取り組みやすい環境ができています。ぜひ、これを機に自分好みの空間づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。