医療を支えるICTが医療サービスの質を支え
新たな時代の医療インフラになる

日本の医療現場では、過疎化した地域での医療サービスの低下や、医師の絶対数の不足、診療科ごとの医師の偏りなど多くの課題があります。社会の少子高齢化が進む中、これらの課題解決はもちろん、医療の質の維持とさらなる向上のためにも、ICTをこれまで以上に積極的に活用することが求められています。

過疎化、医師の不足と偏在が課題

少子高齢化社会の到来などにより、日本の医療にはさまざまな課題が山積しています。都市部に人口が集中し過疎化する地域が増える中、医療機関へのアクセス手段が減り、安定した医療サービスを受けにくくなる地域が拡大していくことが予想されます。

その一方、医師は絶対数が不足しています。OECD※1の調査によると、日本は人口1000人当たりの臨床医数が2.3人で、オーストリア(同5.0人)、ノルウェー(同4.3人)、ドイツ(同4.1人)などを大きく下回っており、OECD加盟国の加重平均である2.8人にも及びません※2

地域ごとの医師数にも格差がある他、外科や循環器科など負担が重い診療科を選ぶ医師は減少傾向にあり、診療科ごとの偏りも指摘されています。

  • ※1
    Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構。自由な意見交換・情報交換を通じて、経済成長、貿易自由化、途上国支援に貢献することを目的とした国際機関。2018年12月現在の加盟国は36カ国
  • ※2
    出典:厚生労働省「第55回社会保障審議会医療部会」(2017年11月)

ICTで遠隔地での診療や診断支援が可能に

医師の偏在という課題に対し、解決策の1つとなるのが医師による遠隔地での診断支援です。例えば、日本は諸外国に比べてCTやMRIといった医療機器の導入率が高く、医療機関では数多くの医用画像が撮影されています。一方で、画像診断を専門とする医師が在籍していない医療機関は少なくありません。
そうした場合でも、例えば医用画像をクラウドに保存することで、遠隔地から専門医による画像の診断支援が可能になります。ICTを活用し、診療所と地域の拠点病院をつなぐことができれば、診療所で受診した人が必要に応じて拠点病院で検査を受けたり、検査結果を診療所と拠点病院で共有したりといったスムーズな連携が実現します。
例えばキヤノンマーケティングジャパンが提供する医用画像クラウドサービス「Medical Image Place」は、医用画像をクラウドに保管・閲覧ができる「医用画像システムサービス」の他、地域の診療所と拠点病院をつなぐ「地域連携サービス」など、医療現場のニーズに応えるさまざまな機能を備えています。

医療データは一元管理する時代へ

現在、医療機関や医療従事者向けに提供されているシステムやサービスは、将来的により幅広く活用される可能性もあります。例えば、医療データは現在のところ医療機関が保管していますが、検査結果など患者にフィードバックされる情報はこれから増加していくことが予想されます。
健康保険やマイナンバーなどの情報が活用されるようになれば、生まれたときから介護を受ける段階まで、個人の医療データを本人が1つのIDで一元管理できる時代もそう遠くないかもしれません。一元化された個人の医療情報は、複数の医療機関を受診したり、セカンドオピニオンを受けたりするシーンや、進学や転職などの際の情報共有など、幅広い活用が想定されます。
今後は、ICTをこれまで以上に積極的に活用して情報を管理・活用するインフラの整備を進めることが、医療の質の維持とさらなる向上のために求められていくでしょう。

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