お客さまの声に応えて回収方法を充実

1本でも多くのトナーカートリッジを回収したい。そんな想いからキヤノンでは、お客さまのニーズにあわせた「専用集合回収箱による回収」、「納品時同時回収」「訪問回収サービス」などの回収方法を用意している。

写真:日本通運 鈴木氏、キヤノンマーケティングジャパン 岡田氏

写真:鈴木氏

鈴木勇(すずき・いさむ)日本通運株式会社 茨城ターミナル営業所 所長

使用済みカートリッジの納品時同時回収の立ち上げから現在まで、回収窓口の責任者としてキヤノンのリサイクルプログラムに携わっている。
所属組織と役職は、2010年6月当時。

写真:岡田氏

岡田直(おかだ・すなお)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 アフターマーケットビジネス企画部 カートリッジ商品企画課 課長

トナーカートリッジの販売/商品企画全般を担当。日本通運と連携し、回収システムの企画や立ち上げにも関わっている。所属組織と役職は、2010年6月当時。

日本通運株式会社との提携により、使用済みトナーカートリッジの回収を一本から行っている。トナーカートリッジの回収業務の委託を受けている日本通運株式会社茨城ターミナル営業所長の鈴木氏と、回収の仕組みづくりにも携わってきたキヤノンマーケティングジャパン株式会社 の岡田氏が回収の立ち上げ時の苦労と現状について語った。

回収のスタートは、専用集合回収箱の集荷

キヤノンでは、トナーカートリッジを回収するための専用の箱を用意している。使用済みのカートリッジを入れ、回収箱がいっぱいになったら箱と一緒に送付してあるラベル(着払い伝票)を貼って依頼する方法だ。回収サービスのスタートは、この専用集合回収箱を利用した回収からだった。

岡田:
日本のトナーカートリッジの回収が始まったのが1990年でした。当時は、キヤノンの販売店が使用済みトナーカートリッジをお客様から個々に回収し、回収箱がいっぱいになったら日本通運さんへ集荷の依頼をするという流れでした。つまり一般的な宅配便の集荷方法を利用したわけです。
鈴木:
私自身は、回収が始まった1990年からカートリッジの集荷に携わっています。その頃、日本にリサイクル拠点がなかったため、回収の窓口は、当時のリサイクル拠点の大連に輸送を行う神奈川の集荷ターミナルになっていました。私が所属する茨城の集荷ターミナルが全国の窓口になったのは、日本タイプライター株式会社 茨城県岩井事業所(現在のキヤノンエコロジーインダストリー株式会社)で仕分け作業を開始した1995年からだったと記憶しています。
写真:鈴木氏
写真:岡田氏
岡田:
集合箱ではなく一個から回収できるようになったのは、2003年にスタート した、納品時同時回収からです。トナーカートリッジの納品に行ったときに、使用済みのトナーカートリッジを持って帰るというサービスです。この時のサービスが1本から回収できるWebの仕組みの基礎となっています。

宅配便の常識を覆した「納品時同時回収」と「訪問回収サービス」

サービスを開始した当初、ドライバーにとっては「納品」は当たり前。しかし納品と引き換えに荷物を引き取るという感覚がなく、新しい試みに、現場のドライバーたちから戸惑いの声が上がった。

岡田:
納品時同時回収は、「トナーカートリッジを納品に来たときに持って帰ってほしい」という声をたくさんのお客さまから頂いたことがきっかけでスタートしました。
新しい取り組みでしたから、サービスを開始した当初は、鈴木さんをはじめ日本通運の皆さんにご尽力をいただきましたね。
鈴木:
宅配便は、通常1件1個というのが原則なんです。またドライバーにとっては、「納品する」とう意識はあっても、荷物を引き取ってくるという意識はありません。どのように現場のドライバーに引き取りを周知徹底させるかが大きな課題でした。
写真:鈴木氏
 
当時は、納品書の備考欄に『回収あり』とコメントされるだけでしたので、見落としはないか、回収の漏れはないか、きちんとドライバーは廻ったか、ということが気がかりでした。ですから、回収依頼を受けたすべての拠点にこちらから電話をして、回収されているかどうかすべて確認作業を行っていました。
 
回収を徹底するまではこうした苦労がありましたが、現在のWebによる「訪問回収サービス」はキヤノンのサイトから直接ドライバーに回収の指示がシステム的に行われるように進化しています。
岡田:
「納品時同時回収」の経験を活かして、2006年に開始した「訪問回収サービス」は、お客様がWebやFAXで申し込んでいただければ、1本から返送できるサービス。このサービスもお客さまの声に応えてスタートしたものです。
2006年に追加された訪問回収の仕組み

問題点を共有して画期的な仕組みを発案

「地球環境のために、より多くのお客さまに協力をいただきたい」。そんな想いから、キヤノンではトナーカートリッジの回収でかかる環境負荷の最小化を目指している。そこで重要になってくるのが配送の効率化である。回収の現場では、どのように配送の効率化を行っているのだろうか。

キヤノンカートリッジ回収専用箱
鈴木:
お客さまから回収したトナーカートリッジを1本1本そのまま営業拠点から私どもの茨城ターミナルに輸送するとなると、輸送単位の量が多くなってしまい環境負荷も大きくなってしまいます。そこで効率よく配送するために、当社で荷物を1つにまとめて、配送するという方法を採用しました。
岡田:
この方法は、日本通運さんから発案いただいた方法です。回収したトナーカートリッジを日本通運さんの手で集合箱にまとめて頂き、茨城のターミナルに配送するという方法を実施しています。これにより、日本全国のお客さまから1本から回収するという画期的な仕組みが構築できました。配送効率が上がるので環境負荷も減らすことができます
鈴木:
宅配業者にとっては、「集荷したものは、すぐ手放したい」というのが本音です。一定量を配送拠点でためてから発送することは、我われにとっても未経験でしたから新たな試みでした
岡田:
そうでしたね。新しい取り組みでしたからお互いに試行錯誤というところがありましたね。取り組みをスタートして半年は、毎週、鈴木さんたちと集まってお互いに情報を共有し、一つ一つ問題を解決してきました
 
当然、お客さまへの説明も行き届かなかったこともあったのですが、日本通運の皆さんが我々と情報を共有し真摯に対応して頂いたことで、お客さまにも環境にも優しい、このサービスの成功につながったと思います。
回収したトナーカートリッジを営業拠点で保管

「ゴミではない」を周知徹底

日本通運の拠点は当時、日本全国で800ヶ所以上、キヤノンの仕事に携わったドライバーは日本全国で数千人にも及ぶ。すべてのドライバーに回収を徹底させるためにどのような苦労があったのだろうか。

写真:岡田氏、鈴木氏
鈴木:
送り状がなくても、1個1個の荷物をそれぞれのドライバーが1つにまとめていきますので、この部分をいかにドライバーに周知していくかが、一番苦労した点ですね。イレギュラーな作業になるので徹底させるのが当時も難しかったですし、今も苦労している点です。
 
ドライバーに正しい知識がないと業務を遂行できませんから、マニュアルをつくって各都道府県の統括拠点で講習を行って理解を深めていきました。1人1人のドライバーに回収を徹底するのに約半年の時間がかかりましたね。
 

回収を始めた当初は、現場のドライバーから「これ、ゴミでしょ?」という声がたくさん上がってきました。

「資源になる」ということ、「キヤノンの取り組みに賛同したお客さまから大切な資源を一時お預かりしている」ということを現場に浸透させました。ゴミではなく、貴重な資源になるということでドライバーの意識も次第に変わり、回収に対する意識も変わってきました

 
現在は、1本からオフィスや自宅に回収に行く訪問回収を行っていますが、これがお客さまにとても喜ばれています。お客さまに「ありがとう」と声をかけられることで、「環境に貢献しているんだ」という意識もドライバーに芽生えていますね
岡田:
訪問回収をスタートした2006年頃は、プリンタも小型化され、SOHOなどのお客さまにも一気に広がり始めた時期でした。しかし、個人でお仕事をされているお客さまにまとめて送ってください、とお願いしてもなかなか理解されないという状況があって、残念ながら捨てられるケースも少なくなかったと思います。
 
訪問回収を開始してからは、1本から回収を行っていますので使用本数の少ないお客さまの協力も増えています。地球環境のために、使い捨てを1本でも減らしたい。そんな想いから訪問回収に取り組んでいます。
鈴木:
私たちの仕事は、お客さまに喜んでいただくことがとても重要だと思っています。「1本でも回収してくれる」と喜んでいただけることが、「また協力しよう」という意識の向上につながり、お客さまの協力の輪が広がっていくのだと思います。

連携をスムーズにする基幹システムの構築

システムイメージ

最初は、既存の宅配便の集合回収箱による回収サービスが、現在は、キヤノンのホームページから依頼をいただくと、その情報が日本通運のシステムにリンクしてドライバーの端末に直接、回収指示がいくという仕組みになっています。このシステムが、2社の連携をスムーズにしています。

地球環境のために、使い捨てのトナーカートリッジを1本でも減らしたい。1人でも多くのお客さまにご協力いただくために、お客さまの声に耳を傾け、お客さまのニーズや利便性にあわせた回収の仕組みを提供していく。これからも日本通運とキヤノンのチャレンジは進化し続けていくことだろう。

この業務は、2009年4月より日本通運株式会社から宅配便事業が分割されて誕生したJPエクスプレス株式会社によって運営されています。
また2010年7月以降は、郵便事業株式会社へ事業継承されます。