蛍石レンズやUDレンズ、スーパーUDレンズを開発することでレンズの宿命とも言える色収差を補正してきました。しかし、今までの技術では色収差が残ってしまう補正の難しいレンズがありました。そこで新たに開発したのがBRレンズです。BRレンズは、青色(短い波長域)の光を大きく屈折させる新開発のBR光学素子を採用した複合レンズ。青色の光の進路を制御し、凸レンズ、凹レンズを組み合せることにより、集光位置を限りなく一点にすることに成功。大口径レンズに出やすい色にじみ(軸上色収差)を高度に補正。絞り開放から高い描写性能を実現しています。
BRとは、Blue Spectrum Refractive Opticsの略。
人間の視覚に近い35mmの画角が好きで、ドキュメンタリーやスナップを撮ってきた。35mmという普通の画角で人の心を動かしたい。単焦点レンズはズームと違い、寄り引きは自分が動く。相手と向かい合い、自分の間合いで撮る。そこが単焦点の良さだと思う。
このレンズで撮影後、パソコンの画面で写真を確認したとき、色にじみのなさに驚いた。拡大して画面周辺部をチェックしたが、細部まで緻密な解像感は絞り開放時でも変わらなかった。
夜景撮影は、写らなくていいものを簡略化できるのがいい。だが、レンズが悪いと全体が甘くなり、シャープネスがビシッとしない。その点、この35mmは色収差がしっかり補正されているのだろう。シャドー部のディテールの描写力が極めて高く、照明に浮かぶ夜の建造物の質感まで、しっかり写し撮ることができた。
パンフォーカスは広角レンズの魅力のひとつだが、僕はこの35mmのF1.4という開放値にひかれる。明るいレンズは被写界深度が浅く、開放にすればするほどピントの合うポイントは狭くなるけれど、このレンズはピントの山が見やすく、狙ったところをシャープに描写できる。その上、ピントが合っているところから外れていく部分のボケ味がすごくきれいで、とても色っぽい。それもこのレンズの大きな魅力だと思う。