スポーツ写真は、競技によってだけでなく場面によってAFの設定は、がらりと変わります。ボクシングを撮るときも、僕にとって最適な設定というのがあります。試合中、入場シーン、控え室。すべて違いますよ。
ボクシングは次の瞬間、何が起こっているか予測のできない競技です。開始直後にパンチがヒットして、ノックアウト決着ということもありますから。最期にご紹介するクロスカウンターのシーンを捉えた写真も、「クロスカウンターが来る」と思った瞬間にシャッターを押していたら、もう遅い。選手の癖とか試合の流れを見ながら、自分の経験と勘を頼りに“その瞬間”の直前からシャッターを切り始めます。
ボクシングの試合では、主に領域拡大(上下左右)AFを使います。秒速約10コマ連写の高速連続撮影モードで、2〜3コマずつシャッターを切ります。ひたすらシャッターを切るより、絶えずAFを繰り返す方が僕には合っているんですよ。
もちろん、すべてAIサーボAF。ボクシングの試合では、Case3を使います。被写体を“掴む強さ”が、僕に合っている気がします。
また僕はシャッターボタンでAFはしません。AF-ONボタンに親指AFを割り当てています。AFと、シャッターを押すタイミングは別々にしたいんですよ。特に動き続ける被写体の場合、親指はAFだけに集中させて、あとは人差し指でシャッターを押すだけにした方が撮影に集中できます。
練習に集中する選手を撮る時、静音連続撮影モードが活躍する。
フリッカーレス撮影は、屋内撮影では非常に有効です。
このカメラを使っていて便利だと思うのが、静音連続撮影モードです。ボクシングでは広角レンズを使うことが多いので、比較的選手に近づいて撮影します。練習中など、選手の集中力を乱したくありませんから、静音で連写できる機能は本当に助かっています。
それと、フリッカーレス撮影は、屋内撮影では非常に有効です。1/1000秒以上で連写することがほとんどなので、この機能がなかった頃は露出のムラはありました。かなりの精度でフリッカーを検知してくれますね。
CF/SDは同一書き込みを使っています。SDカードの方はバックアップですね。仕事の内容にもよりますが、撮ってすぐに送らないといけないときはJPEG。作品寄りのときはRAWにします。RAW+JPEGは使いません。
仕事には、EOS-1D Xを2台と、EOS 7D MarkⅡの3台体制で常に臨んでいます。このカメラを使ってみて、ようやく仕事で使えるAPS-C機が登場したなと確信しました。AFの精度も申し分ないし、画質も良い。かなりの高感度でもノイズが気にならないので、室内でシャッター速度1/2000秒前後が使えるのは魅力です。視野率約100%で視界も広いし、ストレスがありません。
それにEOS-1D Xに比べて軽量なので、長時間の撮影でも負担が少ない。バッテリーグリップをつけても重いと思いませんね。
広い視界でさまざまな情報も
表示することができる。
[被写体追従特性][速度変化に対する追従性][測距点乗り移り特性]という3つのパラメーターの設定を組み合わせた、6種類のプリセットを選択可能。シーンに応じて簡単に設定を使い分けることができます。
パラメーターの初期設定
パラメーターの初期設定
パラメーターの初期設定
パラメーターの初期設定
パラメーターの初期設定
パラメーターの初期設定
※スポット1点AF(任意選択)と1点AF(任意選択)時は「測距点乗り移り特性」が無効になります。