作家インタビュー

白鳥 真太郎

白鳥 真太郎

Shintaro Shiratori

第136回展「白鳥真太郎 広告写真館」

白鳥真太郎 広告写真館

写真1
ラフォーレ原宿(1990年撮影)

白鳥真太郎 広告写真館

46年間、広告カメラマンとして第一線で活躍してきた白鳥真太郎。アートやエンターテイメントの形態をまとった、広告という時代の記録を紹介する。

広告は時代を投影する映し鏡

広告写真を撮って46年。さまざまなジャンルの仕事をしてきましたが、振り返ると広告は時代を投影する映し鏡の役割を果たしてきたように思えます。広告が話題になり、買いたい衝動が生まれ、モノが動いた時代。広告写真は人の目を引きつけるインパクトが重要視されました。広告はアートディレクター、コピーライター、デザイナーなどが集まり、最強の表現を目指します。しかし、現場では天候や偶発的な出来事で撮影プランが変更されることもあり、カメラマンは状況を見極め、総合的な視点で撮影し、みんなの思いを具現化する。それが私の仕事であり、醍醐味なのは今も変わりません。

写真1はガス台に発煙筒を仕込み、煙を強力なダクトで吸い込んでいます。実はこの時、何気なくテスト撮影でタングステンの光源下でデイライト用のポラロイドフィルムを試してみたのです。すると、その色をアートディレクターが気に入り、フィルター、ライティングを急遽変更して撮影。

白鳥真太郎 広告写真館

写真2
味の素(2002年撮影)

写真2は白バックで撮る予定でしたが、跳躍用のトランポリンの黄色が男女の体に反射し、色調が美しかったので、黒バックに変更し撮影したものです。

写真3はロサンゼルスで撮影したシリーズ。100人のモデル、1日という制限時間、予定外の曇天という条件でした。カラーで撮り、後処理でモノクロに変換してコントラストをつけ、写真にインパクトを与えています。

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    写真3
    ラフォーレ原宿(1997年撮影)

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    写真4
    東日本旅客鉄道(2007年撮影)

白鳥真太郎 広告写真館

写真5
岩波書店(1998年撮影)

写真4は吉永小百合さん。まず制作部がプレロケハンをし、複数の候補地を用意。次に演出家とロケハンをし、撮影時の太陽の位置、光、気候などを綿密に確認。吉永さんに来てもらいようやく本番。1ヶ月以上、時間をかけています。

写真5は辞典の字が全部読めることが必須条件。そこで、室内をミニチュアで作り、大判カメラで撮影。人は別で撮影したのですが、粒子間が合うように、35㎜の一眼レフで撮り、合成しています。

写真6は最初、口紅の先に発煙筒を仕込んで撮ったのですが、煙がモヤモヤして迫力がない。そこで煙を絵にすることに変更。現場で描いてもらって撮影しました。

白鳥真太郎 広告写真館

写真6
西武百貨店(1988年撮影)

光の記憶が写真を深くする

仕事でもプライベートでも、光と形を意識しています。西日が射し込む壁に形のいい影が揺れていて、思わずハッとする。それは計算してつくられた光と影ではなく、自然に生まれた美しい瞬間。今のカメラは利口なのでどんな光の状態でも写し撮りますが、それはあくまでも平均値。大事なのは、自分の心で感じたのはどんな光だったのか、その影はどう形成されていたのか、しっかり記憶しておくことです。そうすることによって、例えば西日が射し込むシーンを撮るとき、少し露出を絞り、陰影を強調してみようとか、自分なりの表現が生まれ写真が深くなると思います。

今、インターネットの時代を迎え、大型ポスターの前で足を止め、写真の凄みを感じる機会は減っていますが、スマホやタブレットなどの小さな画面で見て感動する写真もあるはずです。サイズの大小を超え、人の心を引きつける写真とは何か。自分に問いかけつつ、今日も撮影を続けています。

白鳥 真太郎 「白鳥真太郎 広告写真館」

白鳥 真太郎 「白鳥真太郎 広告写真館」

2019.11.1 - 2019.12.16

展示情報

白鳥 真太郎

白鳥 真太郎(しらとり しんたろう)

千葉大学工学部写真工学科卒業、株式会社資生堂宣伝部写真部、株式会社博報堂写真部(現・株式会社博報堂プロダクツ)を経て、1989年に独立し白鳥写真事務所を設立。2008年より公益社団法人日本広告写真家協会(APA)会長。2018年 藍綬褒章受章。

[ 掲載記事について ]
こちらの記事はキヤノンフォトサークル月刊会報誌「CANON PHOTO CIRCLE」2019年12月号に掲載されたものです。

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