― プログラムはどのように組み上げていったのですか?
各機能やパーツに要求されるものを一つひとつ理解して、望んだ通りに動くようにプログラムしていくのが、ファームウエア担当の作業です。小手先の対策では、「imagePROGRAF PRO-1000」に対する要求に応えることはできないと思い、骨格部分から作り直す方針に決めました。最高の画質と高生産性の両立を目指す中で、将来的に今後のプリンター開発にも活かせる知見を多く得ることができました。
― コミュニケーションのあり方も見直したそうですが?
我々のセクションには、いろいろな部門から機能や性能の実現のために「あれがしたい」「こうしてほしい」と声がかかり、時に要求がぶつかることもあります。でも製品に求められるゴールを共有することで、開発チーム全体で同じ方向に進んでいくことができました。
― EOSとの連携にも力を入れられたそうですね?
例えば詳細な印刷設定を行うための「Print Studio Pro」は、EOSのRAW画像の閲覧、編集、現像を行う「Digital Photo Professional」とシームレスな連携が可能です。新機能である「コントラストリプロダクション」は、印刷時に起きる写真の鮮明さの低下を抑えるための機能です。EOSユーザーの方であれば、撮影データに発生する光学的なズレをレンズごとに最適な形で補正する「デジタルレンズオプティマイザ」を活用されていると思います。「コントラストリプロダクション」は、プリンターの特性を踏まえた上で画像の補正を行うので、カメラからプリンターという画像の入力から出力までのすべてを同じメーカーが提供していることのメリットを感じていただけるのではないかと思います。
― 「imagePROGRAF PRO-1000」にレッドラインを施された理由を教えてください。
「imagePROGRAF PRO-1000」のボディーには、キヤノンが持つ光学技術の粋を集めた高品位レンズ「Lシリーズ」の鏡筒に付けられているレッドラインが施されています。これは、最高の画質と高い生産性という命題に答えた印であり、EOS連携の証なのです。