
今年で創業132年を迎えるフルーツ専門店の老舗「新宿高野」。新宿本店の他、首都圏と主要都市の百貨店や駅ビルなどに34店舗を構える。同社では、各店舗の販促やディスプレーに使用する印刷物を内製化し、本部で一括制作してきた。今年2月には、キヤノンの新世代大判プリンター「PRO-2000」を導入。色の再現性、作業性が向上しただけでなく、「耐水ポスター合成紙」の採用で、新たな活用法にも挑戦中だ。

「新宿高野」は、明治18年の創業以来、ベテランのバイヤーが目利きして選んだ本当においしいフルーツを提供し続けてきた。昭和27年にはケーキの製造も開始し、生フルーツを使用したケーキの先駆者でもある。さらに、フルーツを生かしたスイーツや惣菜の販売も行うなど、フルーツのある生活を提案してきた。
旬を先取りしたフルーツや珍しいフルーツ、それらを使用したケーキやギフト用の菓子が並ぶフルーツ&スイーツ専門店。フルーツをふんだんに盛り込んだパフェやデザートを楽しめるフルーツパーラー。どの店舗も、感度の高い女性や価値あるものに敏感なお客で賑わう。
その店内で、商品をアピールしたり、より魅力的に演出するのが、販促物やビジュアル・プレゼンテーション(VP)ツールだ。
同社では、社内の印刷物、POP、プライスカード、VPツール、さらにWeb関連を含め、ほぼすべて社内で制作してきた。制作を担当するのは、フーズ営業部販売企画課の8人の制作スタッフだ。
同課サブマネージャーで、この道28年の狩野一美氏は、「社内で制作することで、さまざまな状況にスピーディーに対応でき、納得できるものを作れます」と、内製化の理由を話す。
柱回りや壁面の大判ポスター、ショーケース下部やケース内の装飾用のシートなどの大判印刷物の制作には、キヤノンの大型プリンターを使用してきた。「以前は他社製品を使用していましたが、メンテナンスに不安があり、10年ほど前に、確かな性能に加え、アフターフォローの体制が整っているキヤノン製に変えました」と狩野氏。
以来、リース契約満了に合わせて、新機種を導入してきた。今年の年初に契約満了した際も、他社製品と比較検討した結果、迷うことなくキヤノンから提案を受けた新世代大判プリンター「PRO-2000」を選んだ。
狩野氏が魅力を感じた機能のひとつは、2種類のロール紙を同時にセットできる、「2段ロールユニット」だ。フォト半光沢紙HGと厚口コート紙HGの2種類のロール紙を販促物によって使い分けており、従来機では頻繁にロール紙の交換作業が発生していた。「私以外、スタッフは女性で、重量のあるロール紙の交換は負担でした」と狩野氏。交換の際は作業中断のため全スタッフに声をかけるという手間もあった。
実際に導入してみて「ロール紙の交換頻度が減り、時間も労力も軽減しました」と女性スタッフ。
また、従来機と比較して、色の再現性に優れ、プリントスピードも速い。「フルーツは色が重要です。最初に出力した1枚を見て、色がきれいなことをスタッフ全員が実感。他部門のスタッフからも、『色がきれい』と言われました。プリントスピードも、もう印刷終わったの?というくらい早い」と狩野氏。



もうひとつ狩野氏が注目したのは、ラミネートなしで最長6カ月間、屋外や水滴が当たる場所で使用可能な耐水性、耐光性に優れた「耐水ポスター合成紙」にプリント出来ることだ。従来は厚手マット紙にラミネート加工して使用していた、冷蔵ケースのケーキの下に敷くシートにこの用紙を使用。「ラミネートすると色の見え方がイメージと変わったり、照明が反射するなどの問題がありましたが、この用紙はマット調で全く問題がない。耐水性も十分」と語る狩野氏は、冷気が当たる、オープン型のショーケース外側の装飾への使用も検討中だ。

屋外での使用に関しては、道路に面したガラスドアに掲示する定休日の案内に使用。企画部門のスタッフからは、1階の屋外にあるイベントスペースで開催する、地方のフルーツフェアなどの際の掲示物への使用にも適しているのではという声が上がっている。

