現代社会のメンタル問題にメンタルの第一人者・見波利幸が鋭く切り込むメンタルコラム 第六回「心を折る上司」

部下の心が折れる原因の2 / 3は、上司に原因がある

私は、カウンセリングやコンサルテーションなどを通して、部下の心が折れる原因の2 / 3は、上司に原因があると思っています。その内の半分(全体の1 / 3)は、上司のキャラクターに問題があるもの。このことに関しては、「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)に詳述してあり、以前のコラムでも紹介しております。
今回は、上司の原因の残りの半分(全体の1 / 3)の問題。上司のマネジメントの低さの問題に言及したいと思います。

上司の人格や性格などのキャラクターに問題がなく、さらに部下本人自身にも問題がない場合は、かなりの確率で上司のマネジメントの低さがあります。そこには、かなり共通した事例があります。たとえば、「優先順位を考えろ」が口ぐせ。「何度言ってもわからない」とグチる。本コラムではこの2つを厳選してご紹介していきたいと思います。

「優先順位を考えろ」が口ぐせ

よく職場では、「優先順位を考えろ」というフレーズが飛び交います。しかし、部下は優先順位を考えずに仕事をはじめてしまう人はほとんどおりません。では何故仕事が滞ったり、決められた日程に間に合わなく事態が起こるのか。ほとんどが突発的な問題が起こるからです。その対応で本来業務が遅れたり、納期が守れないという事態が起こることが少なくありません。
それを「あれほど優先順位を考えろと言っただろう」と責めても、何度言い続けてもどうにもなりません。であるならば、「突発的な仕事や想定外のトラブルが起きた場合は、その時点で相談するように」と業務開始時に指示すべきです。実際に相談があれば、一緒にその時点で優先順位を考えることです。
逆に、そのような事態が起こっているにもかかわらず、ただ優先順位を守ってその事態に何も対応せず、放っておく部下の方がいいのでしょうか。上司の役割は、業務開始時にいつも同じような「優先順位を考えろ」と唱えるだけや、結果的に間に合わなくなりそうなときに「あれほど優先順位を考えろと言っただろう」と責めものではありません。それだけでは、その部下は何度も繰り返すことでしょう。

「何度言ってもわからない」とグチる

部下がミスなどをして、「何度言ってもわからない」と嘆いている上司は少なくありません。しかし、何度言ってもミスがなくならない(行動が変わらない)部下に、何故同じことを言い続けるのかと疑問が浮かびます。そのような表現で変わらないことが分かっているにも関わらず、対応を変える努力をしないマネジメントの方が、よほど問題のように映ります。
これは、部下の育成の問題です。言って変わらないのであれば、対応方法を変える必要があります。これは表現方法ではなく、対応方法です。
ケースにもよりますが、部下がミスをした一例を挙げてみます。

  1. ミスをお互いに確認。次にどうすれば防げるかを確認。
    また同じミスをした。
  2. 前に確認した方法で防げなかったのか、守る気持ちがなかったのか確認。
    また同じミスをした。
  3. 約束をさせる。
    また同じミスをした。
  4. 約束を破られた気持ちを伝える。

たとえば、このステージ4ではこのような気持ちを伝えます。
「私はあなたが約束を守ってくれると信じていた。それを破られて、とてもショックを受けて傷ついている。あなたは、私が大切にしている気持ちを踏みにじって平気ですか。私は、人が大切にしているものは、できるだけ大切にしていきたいと思って生きています」
ここまでほとんど叱責もありません。しかし、このステージ4でほとんどの方は涙を流されます。そして、次に同じ過ちを犯す人はほとんどいません。上司にあるのは誠実さです。誠実だからこそ部下は育つのだと思います。

本コラムでは、2つの事例をご紹介しましたが、数多くの事例を紹介した書籍「心を折る上司」がKADOKAWAより4月に発刊となりました。ご興味のある方は是非ご覧ください。

見波 利幸(みなみ としゆき)

一般社団法人日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事(http://www.j-mot.or.jp/一般社団法人 日本メンタルヘルス講師認定協会のサイトへ

外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期よりいち早く1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け。講演や研修のほか、カウンセリングや職場復帰支援、カウンセラー養成の実技指導、さらに海外でのメンタルヘルス活動など活動領域は多岐にわたる。さらにテレビや新聞などさまざまなメディアからも取材が多い。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任し、メンタルヘルス講師の育成に尽力している。

著書
  • 「究極のモチベーション」(清流出版)
  • 「心を折る上司」(KADOKAWA)
  • 「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「やめる勇気」(朝日新聞出版社)
  • 「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「劣化するシニア社員」(日本経済新聞出版社)
  • 「新型うつ」な人々(日本経済新聞出版社)
  • 「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種・II種・III種 重要ポイント&問題集」(JMAM)など多数

コンテンツ一覧

  1. 上司が壊す職場
  2. 働き方改革の一歩先行く「副業・兼業」への提言
  3. マネジメントの「パラダイムシフト」の勧め
  4. 究極のストレス耐性を作る
  5. 心が折れる職場
  6. 心を折る上司
  7. 究極のモチベーション
  8. 「劣化するシニア社員」にならないために
  9. 若年層の不調「新型うつ」の職場での問題
  10. 究極の睡眠
  11. ストレスを極限まで減らす
  12. 幸せ力を高める「ファンタジー・ブルー」の勧め

Appendix 書籍紹介

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