現代社会のメンタル問題にメンタルの第一人者・見波利幸が鋭く切り込むメンタルコラム 第九回「若年層の不調『新型うつ』の職場での問題」

「新型うつ」の今

若年層の不調の問題は数年前には、かなりメディアでも取り上げられ、「新型うつ」などの言葉も浸透してきました。その当時は、何故、若年層の社員が簡単に不調になってしまうのかがわからず、何が起こっているのかという状況で興味を引いていましたが、今は「新型うつ」という病態があるという理解が進み一段落しているきらいがあります。
しかし、そのような病態を「新型うつ」と理解していても、どのような対応策が有効で、会社組織として、職場として具体的な対応をしているまでには至っていないのが現状です。
「新型うつ」は本人だけの問題ではなく、職場全体へ影響を及ぼすこともあります。具体的に見ていきましょう。

職場復帰しても戦力外になってしまう

「新型うつ」の特徴でもある、「抗うつ薬が効きにくい」ということは、従来型に比べ、薬では治りにくく、回復傾向も見えづらく、長期にわたりやすいということになります。主に2つの事例があります。

1.復帰を先延ばしする傾向
先ず、不調になり一旦は休職して、少し改善傾向がみられると復帰を検討していきますが、復帰日が近づくとまた状態が悪くなり、復帰日を延ばすということが行われます。さらにその延ばした復帰日が近づくと、また悪化してさらに伸ばすということが何度も繰り返されることもあります。
2.復帰するもののパフォーマンスが上がらない
一旦は復帰するものの、今までのパフォーマンスが得られずに、低成果のまま過ぎてしまうことが少なくありません。また、復帰したものの再休職になってしまう事例や休職にならずとも、突発的に休んだり、遅刻が目立つことも少なくありません。

上記の2つの事例から、シフトに組み入れられない、重要な仕事にアサインできないという問題が起こってきます。いわゆる、職場で戦力外になってしまうという問題です。

職場の士気が低下し、不満が増大する

戦力外になった社員が職場にいても、通常は代替要員は確保されず、現有メンバーでカバーしてやりくりしているのが実態です。すると職場のメンバーたちは、割を食った被害者的な意識が生じることもあります。するとメンバーたちの不満は上司に向いてしまうことが少なくありません。具体的に挙げてみましょう。

しかし、上司も診断書が出ている以上、「強く指導できない」、「どう対応したらいいのかわからない」といった理由から、放置されることになります。職場の部下たちは、上司のマネジメントのなさと映り、信頼関係が崩れてしまうことになりかねません。

本人が孤立し、悪化しやすく、長期化になりやすい

従来型のうつであれば自責感情がありますので、「こうなってしまったのは自分の責任」、「皆に迷惑をかけている」という意識でいますので、周りのメンバーも支援しやすくなります。 しかし、「新型うつ」の場合は、「こうなったのは上司に原因がある」、「他のメンバーがサポートしてくれなかったからこうなった」などの他罰的、他責感情があります。すると、周囲の人たちからすると自己中心的な人、社会的に未熟な性格と映ってしまい、サポートしてもらえず、孤立しやすくなります。
また、本人自身モラトリアム状態にいることがありますので、職業人としてのアイデンティティが確立できない人も多いのです。「仕事をやる意義、働きがいを感じない」、「自分の成長感を感じない」、「帰属意識が薄れる」、「会社に居る意味がなくなる」という気持ちが強まり、さらに自己肯定感の低下や将来に対して期待・希望が持てないということが起こってくることもあります。
この孤立化とアイデンティティが確立できないという2つの問題から、長期化しやすいということになります。

本コラムでは、新型うつが職場でどのような問題があるのかに触れてきました。さらにどのような対策が有効なのかまでを言及した書籍「新型うつな人々」が日経新聞出版社より出版されています。ご興味のある方は是非ご覧ください。

見波 利幸(みなみ としゆき)

一般社団法人日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事(http://www.j-mot.or.jp/一般社団法人 日本メンタルヘルス講師認定協会のサイトへ

外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期よりいち早く1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け。講演や研修のほか、カウンセリングや職場復帰支援、カウンセラー養成の実技指導、さらに海外でのメンタルヘルス活動など活動領域は多岐にわたる。さらにテレビや新聞などさまざまなメディアからも取材が多い。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任し、メンタルヘルス講師の育成に尽力している。

著書
  • 「究極のモチベーション」(清流出版)
  • 「心を折る上司」(KADOKAWA)
  • 「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「やめる勇気」(朝日新聞出版社)
  • 「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「劣化するシニア社員」(日本経済新聞出版社)
  • 「新型うつ」な人々(日本経済新聞出版社)
  • 「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種・II種・III種 重要ポイント&問題集」(JMAM)など多数

コンテンツ一覧

  1. 上司が壊す職場
  2. 働き方改革の一歩先行く「副業・兼業」への提言
  3. マネジメントの「パラダイムシフト」の勧め
  4. 究極のストレス耐性を作る
  5. 心が折れる職場
  6. 心を折る上司
  7. 究極のモチベーション
  8. 「劣化するシニア社員」にならないために
  9. 若年層の不調「新型うつ」の職場での問題
  10. 究極の睡眠
  11. ストレスを極限まで減らす
  12. 幸せ力を高める「ファンタジー・ブルー」の勧め

Appendix 書籍紹介

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