現代社会のメンタル問題にメンタルの第一人者・見波利幸が鋭く切り込むメンタルコラム 第八回「『劣化するシニア社員』にならないために」

役職定年・定年後再雇用契約に見られるモチベーション問題

私は、さまざまな企業でカウンセリングなどを行っておりますが、近年、「職場でのシニア社員の振る舞いがストレスになっている」という相談が多くなっています。
今までは、シニア社員本人のメンタルヘルス不調や相談が多かったのですが、徐々に、シニア社員の上司や職場のメンバーからの相談が多くなりつつあります。特に、改正高年齢者雇用安定法が施行されてからの相談は拍車がかかってきた感触があります。
周囲からの相談は、「モチベーションが低下し無気力に陥る」、「一人分の仕事がこなせず足を引っ張る」、「あと数年だからと無責任な言動をする」、「過去の経験や人脈、職位などを振りかざす」、「上司のマネジメントに口を出す」など勝手気ままな振る舞いに、職場を疲弊させている内容が多いのです。

職場で問題となっているシニア社員は6つのタイプが存在する

シニア社員の周囲からの相談において、詳しく話を聞いていく中でおおよそ6つのタイプがあることがわかりました。具体的にどのような特徴があるのか見ていきましょう。

1.嘆きタイプ
「給料が下がったから、モチベーションも下がっちゃうよね・・・」
「難しい仕事や新しい仕事は、この年ではちょっとね・・・」
このタイプの根底にある気持ちは、「今の自分の不遇を理解してほしい」というものです。定年延長や再雇用契約などにより、給料が下がり、役職がなくなる、仕事内容が変わる、職場が異動になるなど本来望んでいた環境ではなくなり、その処遇に納得できずに不満が募っているので、周囲にその状況を理解してほしい、共感してほしいという気持ちの現れです。
2.おんぶに抱っこタイプ
「自分で調べたり努力することなく、些細なことでも何度も聞いてくる」
「周囲の社員を自分の部下のように扱い、何でも頼んでしまう」
このタイプも意識は半分リタイアしています。今さら新しい知識を得てもうひと踏ん張り積極的に業務に関与していく姿勢がありません。その場しのぎでことを済ませたい気持ちの現れでしょう。また、以前管理職として部下に指示していた経験を持っている人は、新たな職場でも、それに近い言動をしてしまうことも少なくありません。
3.わが道を行くタイプ
「新しい仕事や難しい業務はやらない、単純作業や雑用は拒否する」
「周囲が困っても知らん振りする」
「仕事を好き嫌いで判断し、やりたい仕事だけ引き受ける」
このタイプは、困難な仕事や逆に簡単すぎる仕事を拒否する、働き方に関して注文をつけるなど、仕事に対する許容度が低いことが特徴です。自分の興味ある仕事だけをやりたがります。
4.ご隠居タイプ
「昔は良かった・・・、昔はもっと厳しかった・・・、などと昔を懐かしむ」
「雑談や無駄話、過去の業績の自慢などが多く、プライベートにも平気で踏み込む」
このタイプは、仕事や働き方に強いこだわりはありません。意識もほとんどリタイアしてしまっていますので、さらに会社に貢献したい気持ちはあまりありません。最大の関心事は「職場に世間話ができる仲間がいること、そのような環境があること」です。
5.無責任タイプ
「一度リタイアした身だから、いつ辞めてもいい」
「そんなに難しく考えないで、何とかなるんじゃない、取りあえずやってみれば・・・」
このタイプは、何事にも軽く受け流してしまう傾向があります。小手先の方法論に終始し、本質を見ようとしません。根底には、「自分は第一線を退いている」という意識があり、当事者意識が欠落しているから軽はずみな言動となって現れてしまいます。
6.勘違いやり過ぎタイプ
「若い社員は、俺が鍛え直してやる」
「今の年下の上司よりも、業務に精通している、経験が豊富だと思っている」
このタイプは、現役時代にバリバリ仕事をこなし自信を持っています。また、部下に厳しく指導するなどマネジメント経験が豊富な人が陥りやすいといえます。しかし、今の上司としては、メンツがつぶれたり、マネジメントまで口に出されては疎ましく思ってしまうこともあります。

いくつかのタイプを見てきましたが、実際には単独よりも複数のタイプが重なり合う複合型が多いという印象を持っています。
しかし、このようなタイプが存在していた場合でも、効果的な改善の方法はあります。多くの場合、単に給料が下がるからモチベーションも下がると思われがちですが、決してそればかりではありません。
「今までの専門性や経験が生かせる仕事内容ではなく、情熱が持てず価値のある、意味ある仕事と思えない」、「配属先の管理監督者から詳しい仕事内容や役割の説明を受けていない」などの共通点もあります。
この観点で新たな上司と会話を持つことで、問題が軽減することが少なくありません。

本コラムでは、問題となる6つのタイプを主にお紹介しましたが、さらにその背景要因や職場でできる具体的な改善方法などの観点でまとめた書籍「劣化するシニア社員」が日本経済新聞出版社より出版されています。ご興味のある方は是非ご覧ください。

見波 利幸(みなみ としゆき)

一般社団法人日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事(http://www.j-mot.or.jp/一般社団法人 日本メンタルヘルス講師認定協会のサイトへ

外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期よりいち早く1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け。講演や研修のほか、カウンセリングや職場復帰支援、カウンセラー養成の実技指導、さらに海外でのメンタルヘルス活動など活動領域は多岐にわたる。さらにテレビや新聞などさまざまなメディアからも取材が多い。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任し、メンタルヘルス講師の育成に尽力している。

著書
  • 「究極のモチベーション」(清流出版)
  • 「心を折る上司」(KADOKAWA)
  • 「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「やめる勇気」(朝日新聞出版社)
  • 「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「劣化するシニア社員」(日本経済新聞出版社)
  • 「新型うつ」な人々(日本経済新聞出版社)
  • 「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種・II種・III種 重要ポイント&問題集」(JMAM)など多数

コンテンツ一覧

  1. 上司が壊す職場
  2. 働き方改革の一歩先行く「副業・兼業」への提言
  3. マネジメントの「パラダイムシフト」の勧め
  4. 究極のストレス耐性を作る
  5. 心が折れる職場
  6. 心を折る上司
  7. 究極のモチベーション
  8. 「劣化するシニア社員」にならないために
  9. 若年層の不調「新型うつ」の職場での問題
  10. 究極の睡眠
  11. ストレスを極限まで減らす
  12. 幸せ力を高める「ファンタジー・ブルー」の勧め

Appendix 書籍紹介

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