現代社会のメンタル問題にメンタルの第一人者・見波利幸が鋭く切り込むメンタルコラム 第五回「心が折れる職場」

「心が折れやすい職場」と「折れにくい職場」は存在するのか。

カウンセリングや企業研修のときなどに管理職の方々とお話しする中で、私は強く傾向があると感じています。
たとえば、メンタルヘルス不調者が多く出ている企業では「インフォーマルな飲み会がほとんどない」、「映画やドラマなどを見て涙を流す社員が少ない」、「ホウレンソウに厳格で、部下からの挨拶を待つ上司が多い」、「上司が部下との親睦よりも上役との付き合いが多い」・・・

インフォーマルな飲み会を例に、具体的に触れてみましょう。
会社内では、新年会や忘年会、歓送迎会など、少し行事色の強い飲み会もありますが、自然発生的に「ちょっと行こうか」的なインフォーマルの飲み会もあります。この自然発生的な飲み会がほとんどない職場では、メンタルヘルス不調者が多い印象があります。しかし、昨今の若者はプライベートを大事にしていたり、仕事が終わってまでも職場の人間と付き合いたいという若者が減ってきたりしている中、誘う側の上司もそう簡単には誘い辛くなっていることも事実でしょう。だからといって、インフォーマルな飲み会をただ増やせばいいというものではありません。
そこには大切なステップがあるのです。

雑談を意識してもほとんど意味はない

会社内でのコミュニケーションがそもそもできているのかということがとても重要です。特に業務に関わる指示や相談などにおいて、適切に対応できていなければ、意味はないのです。部下が困っていても知らん振りをしたり、部下から相談を受けても、直ぐに非難や叱責、批判の多い上司、話をほとんど聞かずに直ぐに「こうしろ」と指示を出す。このような上司に対して、業務以外で会話を持ちたいと思う人がどれほどいるでしょうか。

部下の心の底では、「話をほとんど聞いてもらえなかった」、「大変な状況を理解してもらえなかった」、「直ぐに助言を出して終わらせたがっている」などの感情を抱くことが多く、誘われたとしても、何かの口実をつけて回避したい気持ちが起こりやすいでしょう。まして、実際に飲み会に行って、いきなりプライベートの話をされても、心は開くことができません。このような関係では「自己開示」できないということです。いきなりプライベートのことを聞かれても、「そんなことはあなたと話したくない、話しを聞いてほしかったのは、あの相談のときだ」となるのです。

重要なのは日常の業務上の会話

会社内でのコミュニケーションが疎かになっているのに、いきなり飲み会でコミュニケーションを深めるようとしても意味はありません。先ずは業務上の会話を大切にすることが肝要なのです。その結果、インフォーマルの飲み会へとつながることになります。

私は、管理職向けのメンタルヘルス研修を行っておりますが、受講者から「やはり部下とのコミュニケーションが大事なので、飲みにケーションは必要でしょうか?」とよく質問されます。
あるいは、「最近の若い部下は誘ってもあまり行きたがらない。どうすればいいでしょうか」などと質問される上司の方も少なくありません。実際に、この数年間で100回くらいこのような質問を受けました。

「行かないよりは行った方がいいのではないでしょうか」などの適当な返答では、プロ研修講師としては、少し浅いと感じています。
私は現在、メンタルヘルス講師の育成を行っておりますが、講師を目指す人には、「飲み会は必須ではありません。それよりも日々の業務上のコミュニケーションを密にして、信頼関係を築く方がより重要だと思います。そのような関係ができれば、部下の方から『たまにはどうですか?』と誘われるようになります。上司としては、そのステップを大事にして頂きたいと思います」と回答するように伝えています。

今回のコラムでは、文量の制約があり、インフォーマルの飲み会のみを短くご紹介しましたが、そのような事例を豊富に紹介している新書が、日本経済新聞出版社から「心が折れる職場」というタイトルで出版されています。
本書は、メンタルヘルス研修や講師の問題点にも言及しています。高い評価で効果が現れる研修と散々な評価になってしまう研修と何が違うのか。これも決定的な違いが存在します。研修を企画する人事の方や経営層にも是非読んで頂きたい一冊です。

見波 利幸(みなみ としゆき)

一般社団法人日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事(http://www.j-mot.or.jp/一般社団法人 日本メンタルヘルス講師認定協会のサイトへ

外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期よりいち早く1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け。講演や研修のほか、カウンセリングや職場復帰支援、カウンセラー養成の実技指導、さらに海外でのメンタルヘルス活動など活動領域は多岐にわたる。さらにテレビや新聞などさまざまなメディアからも取材が多い。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任し、メンタルヘルス講師の育成に尽力している。

著書
  • 「究極のモチベーション」(清流出版)
  • 「心を折る上司」(KADOKAWA)
  • 「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「やめる勇気」(朝日新聞出版社)
  • 「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「劣化するシニア社員」(日本経済新聞出版社)
  • 「新型うつ」な人々(日本経済新聞出版社)
  • 「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種・II種・III種 重要ポイント&問題集」(JMAM)など多数

コンテンツ一覧

  1. 上司が壊す職場
  2. 働き方改革の一歩先行く「副業・兼業」への提言
  3. マネジメントの「パラダイムシフト」の勧め
  4. 究極のストレス耐性を作る
  5. 心が折れる職場
  6. 心を折る上司
  7. 究極のモチベーション
  8. 「劣化するシニア社員」にならないために
  9. 若年層の不調「新型うつ」の職場での問題
  10. 究極の睡眠
  11. ストレスを極限まで減らす
  12. 幸せ力を高める「ファンタジー・ブルー」の勧め

Appendix 書籍紹介

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