現代社会のメンタル問題にメンタルの第一人者・見波利幸が鋭く切り込むメンタルコラム 第二回「「働き方改革」の一歩先行く『副業・兼業』への提言」

現行の「副業・兼業」の考え方では、業績には寄与しない

これまでの日本企業は、正社員の副業・兼業を禁止しているケースが多かった。そこで「働き方改革」によって企業による縛りをなくして、柔軟に働けるように進めてほしいというもの。しかし、企業は自社が10割の成果で、自社に影響しない範囲でやっても構わないというレベルに留まるでしょう。
働き方改革の他の施策によって労働時間が減った分は、他の会社で働くことで収入の減少を補うというアルバイト感覚の「副業・兼業」では、メインの会社の業績にも何も寄与しないばかりか、他社で働くシナジー効果も全く得られないと思います。

「非常勤社員」の勧め

「自社に影響がない範囲」という、このような捉え方自体がそもそも時代遅れだと感じています。そこで、私が提言したいのが「副業」ではなく「複業」。メインの会社を複数持つ「複業社員」、「非常勤社員」。週の内4日だけ働くとか2日にするとかの柔軟な雇用契約をするもの。
例えば、2日半ずつの会社に2社勤務し、双方の給与を足せば従来の1社分になる働き方。しかし、実際には専門性の高い人やそれなりに成果がでれば、半分の出勤でも6割とか7割の給与という人も出てくるでしょう。その人は、2社にすることで1.2倍や1.5倍の所得も可能になる。中には2日、2日、1日など3社掛け持ちや日単位ではなく、月に何日などの雇用形態にするなどの柔軟性を持たせたいと思います。これを推進するためにも裁量労働制は大切な要素となります。
勿論、専門性や創造性を有しない定型業務などは、単純に労働時間の割合になるでしょうが、能力のあるこのような人材こそが、今後企業に求められる人材であるし、人材の流動化も加速する必要があるのではないでしょうか。
そのような有能な人材を確保する、あるいは育てるためにも、裁量労働制や在宅勤務なども合わせて本格的に導入することが重要であると考えます。

「市場価値」を高めることのメリット

新入社員で入社して一つの会社に40年勤めあげても、その会社内での限定された能力や専門性しか養われない。それは会社内価値であり市場価値ではない。複数の会社に勤務することで市場価値を高め、そもそも自分は何の専門性を高めたいのか、どのような業務に就くことで、どの会社で高められるのかを真剣に考えることになります。自分の専門性やキャリアに対して真正面から考え、主体的に高めようとする人材こそ増やすべきであると思います。
また、一社に固執すれば会社に対する依存は高まり、会社内価値を高めることしかできません。また、過酷な労働環境であってもただひたすら我慢するしか選択肢はなくなる。「一つの会社に縛られない」ことによる依存リスクの分散もメンタル的には大きな意義を持ちます。

最大の「シナジー効果」が得られる

最大のメリットは、複数の会社から得られる専門性によって、必ずシナジー効果が期待できることです。複数の専門性を高めることで、それぞれの知見が高まり、それらが統合され、より高い専門性へと進化を遂げるときに、新たなビジネスモデルを構築したり、新規ビジネスを作り出したりすることができるようになります。
一社で定例業務をただひたすらやっているだけは、決してそのような人材には育ちません。IT化やAIに定例業務はいずれとってかわります。今考えなくてはならないのは、どのような専門性を有している人材が自社で必要かを本気で考えることです。
社内価値だけしか高まっていない社員が業界の競合と戦えるのか、自社独自の教育体系や経験だけでそのような人材が育つのか、単に外部から探して入れ替えを進めるのか、何が実用的で効果があるのかを経営トップは重要な経営課題と認識すべき時代になっていると思います。

見波 利幸(みなみ としゆき)

一般社団法人日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事(http://www.j-mot.or.jp/一般社団法人 日本メンタルヘルス講師認定協会のサイトへ

外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期よりいち早く1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け。講演や研修のほか、カウンセリングや職場復帰支援、カウンセラー養成の実技指導、さらに海外でのメンタルヘルス活動など活動領域は多岐にわたる。さらにテレビや新聞などさまざまなメディアからも取材が多い。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任し、メンタルヘルス講師の育成に尽力している。

著書
  • 「究極のモチベーション」(清流出版)
  • 「心を折る上司」(KADOKAWA)
  • 「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「やめる勇気」(朝日新聞出版社)
  • 「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「劣化するシニア社員」(日本経済新聞出版社)
  • 「新型うつ」な人々(日本経済新聞出版社)
  • 「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種・II種・III種 重要ポイント&問題集」(JMAM)など多数

コンテンツ一覧

  1. 上司が壊す職場
  2. 働き方改革の一歩先行く「副業・兼業」への提言
  3. マネジメントの「パラダイムシフト」の勧め
  4. 究極のストレス耐性を作る
  5. 心が折れる職場
  6. 心を折る上司
  7. 究極のモチベーション
  8. 「劣化するシニア社員」にならないために
  9. 若年層の不調「新型うつ」の職場での問題
  10. 究極の睡眠
  11. ストレスを極限まで減らす
  12. 幸せ力を高める「ファンタジー・ブルー」の勧め

Appendix 書籍紹介

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