現代社会のメンタル問題にメンタルの第一人者・見波利幸が鋭く切り込むメンタルコラム 第十回「究極の睡眠」

睡眠の問題を抱えている場合は、睡眠不足か不眠かを見極めよう

私はメンタルヘルス研修において、睡眠がちゃんととれているかどうかを質問することが多いのですが、睡眠がとれていると手が上がるのは、およそ半分程度です。あとの半分の方は、何らかの睡眠の問題を抱えているということになります。
そこで、気を付けて頂きたいのは、ただ漠然と睡眠時間が足りていないという捉え方にはならないこと。日常生活では、よく睡眠不足と不眠を混同して会話することがあります。しかし、この2つは明確な違いがあります。

ただ単に睡眠時間が足りていないのが睡眠不足です。睡眠時間さえあれば、十分な睡眠がとれる状態を指します。一方で不眠は、睡眠時間はあるのに、十分な睡眠がとれない状態を指します。これは、医学的な不眠症の可能性があります。
もちろん、この両方が現れている場合は、より深刻な状態といえるでしょう。まず、自分が睡眠不足か不眠か、さらにはその両方なのかを見極めることが大切です。

具体的な不眠と睡眠不足の把握の仕方

睡眠不足の根本的な解決は、基本的に業務的な負荷の軽減しかありません。早く家に帰って睡眠時間を作ること。不眠の場合は医学的なアプローチが必要なこともあります。先ずは、睡眠不足か不眠かを把握する必要があります。

不眠の見極め方
不眠を見極めるうえで、重要な3つがあります。次のうち1つでも週のうちに4日以上ある場合は注意を要します。
  • 1つ目は入眠困難。寝ようと思っても、30分や1時間なかなか寝付けない状態です。
  • 2つ目は中途覚醒。寝ている間に、何度か目が覚めてしまう。または途中で目が覚めると再び寝付けなくなってしまう。
  • 3つ目は早朝覚醒。通常起きる時間の2~3時間程度前に起きてしまい、それから入眠できなくなってしまう。
睡眠不足の把握の仕方
不眠ではなくて、次のどれか当てはまる場合は、睡眠不足の可能性があります。すべて当てはまるようであれば、深刻な睡眠不足の可能性もあります。
  • 起きた時に、スッキリ起きられない。もっと寝ていたい眠気がある。
  • 日中に眠気が起こる。特に午後2時頃に睡魔が襲ってくる。
  • 空き時間の短時間につい寝てしまうことがある。

睡眠に必要な2つは「時間」と「質」

睡眠時間が足りなければ、仕事への意欲の低下だけではなく、仕事への集中力の低下やミスの頻発、さらにはメンタルヘルス不調のリスクも高まってしまいます。ちなみにうつ病の人が睡眠障害を併発している割合は90%を超えているという調査結果もあります。
睡眠不足や不眠からうつ状態となり、本格的な睡眠障害となり、さらにうつ状態が悪化するというスパイラルに入ります。このスパイラルを断ち切るためにも、睡眠をしっかりとることが欠かせません。

質とは、深い睡眠が取れているか否か。睡眠段階は4段階あり、浅い睡眠(ノンレム睡眠段階1~2)と深い睡眠(ノンレム睡眠段階3~4)があります。深い睡眠が十分に取れない睡眠は、時間が足りていても質が悪いために睡眠不足と同様にダメージを受けてしまいます。
人は、先ず入眠をはじめると浅い睡眠から深い睡眠に入り、その後浅い睡眠となって、レム睡眠に移行します。このサイクルを一晩に4~5回繰り返して、覚醒となります。
通常最初のサイクルで、ノンレム睡眠段階4に至り、次のサイクルでノンレム睡眠段階3が得られるのが望ましいのですが、最初に3にとどまってしまうことで、その後も浅い睡眠となってしまい、質の伴わない睡眠となってしまいます。

深い睡眠段階を得るために必要なアプローチ

寝る前にできる限り副交感神経を高める
  • 家族との団らんを楽しむ。
  • TVを観たり、好きな曲を聴いたりしてくつろぐ。
  • うるっとくるドラマを観る。(涙を流した後に副交感神経が高まる)
  • 馬鹿笑いできるお笑いを観る。(笑った後に副交感神経が高まる)
  • お子さんとの触れ合いをする。ペットを可愛がる。
脳に刺激を与えない(交感神経を高めない)
  • 「今日は、あれができなかった」「明日は、あれもやらなければ」と考えない。
  • 直前の満腹や空腹を避け、3~4時間前にはカフェイン摂取はしない。
  • アルコールは睡眠を浅くしてしまう。さらにカフェインとアルコールは利尿作用があるので、トイレのために起きるなど中途覚醒につながってしまう。
  • 寝る直前は部屋を明るくしすぎない、ブルーライトを浴びないようにPCやスマホを操作しない。

本コラムでは、断片的なご紹介となりましたが、私はメンタルヘルス研修では必ず睡眠の重要性と、質の良い睡眠のとり方を時間をかけて説明しています。
睡眠の講義も含んだ「メンタルヘルス研修」にご興味のある方は、こちらもどうぞ。

見波 利幸(みなみ としゆき)

一般社団法人日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事(http://www.j-mot.or.jp/一般社団法人 日本メンタルヘルス講師認定協会のサイトへ

外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期よりいち早く1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け。講演や研修のほか、カウンセリングや職場復帰支援、カウンセラー養成の実技指導、さらに海外でのメンタルヘルス活動など活動領域は多岐にわたる。さらにテレビや新聞などさまざまなメディアからも取材が多い。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任し、メンタルヘルス講師の育成に尽力している。

著書
  • 「究極のモチベーション」(清流出版)
  • 「心を折る上司」(KADOKAWA)
  • 「上司が壊す職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「やめる勇気」(朝日新聞出版社)
  • 「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社)
  • 「劣化するシニア社員」(日本経済新聞出版社)
  • 「新型うつ」な人々(日本経済新聞出版社)
  • 「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種・II種・III種 重要ポイント&問題集」(JMAM)など多数

コンテンツ一覧

  1. 上司が壊す職場
  2. 働き方改革の一歩先行く「副業・兼業」への提言
  3. マネジメントの「パラダイムシフト」の勧め
  4. 究極のストレス耐性を作る
  5. 心が折れる職場
  6. 心を折る上司
  7. 究極のモチベーション
  8. 「劣化するシニア社員」にならないために
  9. 若年層の不調「新型うつ」の職場での問題
  10. 究極の睡眠
  11. ストレスを極限まで減らす
  12. 幸せ力を高める「ファンタジー・ブルー」の勧め

Appendix 書籍紹介

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