ichikara Lab

レポート3レポート3レポート3画像
Date:2020.11.17
若者の「ビジュアルライフ」写真に求めるものとは?

写真を撮ることが日常行為となっている若者たちですが、
撮った写真はその後どうしているのでしょうか?
第1回ワークショップでは若者の写真に対する意識、
写真を盛ることや映える写真について考えましたが、
第3回では保存した写真とどのように関わっているのかをレポートしました。

scroll

学生にはワークショップ前に課題に取り組んでもらい、その過程で気づいた撮影後の写真との関わりについてディスカッションしました! 学生にはワークショップ前に課題に取り組んでもらい、その過程で気づいた撮影後の写真との関わりについてディスカッションしました!
事前課題事前課題

①あなたはいつ、どんな風に、何を求めて写真を「見返し」ていますか? ②撮った写真や気に入った写真を、どのように「まとめ/管理」していますか? ③ゴミ箱フォルダをみてくださ​い。あなたが最近「消した」写真は何ですか? ④ミニフォトプリンターを自由につかってみて、どんなことを感じましたか?

写真を「見返す」こと

「感覚」や「つながり」を思い出し、前向きな力を得るために写真を見返す

自分の撮った写真を見返すことで“自分の感覚”を改めて確認することができたり、友達との写真を見返すことで“つながりや関係性”を実感することができる。そうした実感が自分を肯定し、勇気づける力になっている。

写真フォルダは自分が味わった「気持ちの一覧」

その時の感情を忘れずに残したいから写真を撮っている。写真を見返すことで、できごとや事実よりも、感情や感覚が蘇ることが大切。

写真を見返すのは「元気を出したい時」

写真フォルダを見るのは気分が落ちている時が多い。友達との楽しい写真を見て自分を励ましたり、頑張った過去を振り返って自分を肯定することができる。

写真フォルダは「SNS代わり」にも

手持無沙汰な時、SNSやYouTubeを見ている感覚で何も考えずに写真を見返すことも多い。 通信速度制限がかかっていることの多い月末は写真を見返す機会が増える。

・出かけたらその日の終わりに写真を見返して、友達や家族に送る。そこまで含めて“おでかけ”だと思う。
・写真が沢山あるため、落ち込んだ時にサッと見られるように「見返す用フォルダ」を作っているメンバーも。

写真を「管理する/削除する」こと

消すかどうかの線引きは「状況の記録」か「思い出の記録」か

日常的に沢山の写真を撮っているため、時折フォルダを整理する。そこには状況記録的に撮った写真と、記憶や気分がこもった思い出写真があり、状況記録は消す対象になりやすい。思い出写真は人が写っているものが多いが、移ろいやすい風景写真(空など)も入る。

写真フォルダは気づくと「スクショだらけ」

電車の乗り換え案内や調べ物などでスクリーンショットを撮ることも多いため、気がつくと膨大な枚数に。スマホ内の写真が1万枚を超えるという学生も少なくない。

写真の管理は「SNSの機能」を使って

スマホのカメラロールは「お気に入り」程度でシンプルに管理。Instagramのハイライト機能や保存欄のフォルダ分け、LINEのグループアルバムなどSNS上での管理は様々に行なっている。

「思い出の含有率」で残す写真を決める

SNS投稿を意識して撮影した写真は自然体でなく、後から消してしまう場合も多い。ただし、撮影時の試行錯誤のなかに思い出があれば残すことも。大切なのは、その写真に気持ちや思い出がどれだけ含有されているか。

・友達のキメ顔以外の写真を消す時、 “事故画(写りが悪い瞬間の写真)”と “自然体な写真”の境目は「関係性の実感」次第かも。 友達がどう思うかではなく、自分自身がその子への愛着を感じられる写真かどうかで決めている。

写真を「共有する」こと

周囲に「害」を与えない写真を選んで共有 周囲に「害」を与えない写真を選んで共有

撮った写真はLINEやAirDropで友達や家族ともどんどん共有。ただし、SNSに投稿する際には、自分らしいか、押しつけがましくないか、内輪ネタすぎないかなど、自分自身と友達、その写真を見る人の気持ちへ繊細に配慮する。

自分の世界観に「しっくり」くる写真か

SNSの投稿は、プロフィール欄に並んだ時に過去の写真と合わせてしっくりくるかの視点も含めてセレクト。お気に入りの写真でも世界観に合わないものは投稿までせず、カメラロールで見返すことにとどめる場合も。

自分たちの「自然」な感覚を大事にする

色味や情報量、伝え方など、SNSにシェア・共有する写真は「ガチャガチャしすぎない」ようにと意識している。 若者の間でVlogが流行っていることや、「加工された写真よりも“自然な写真”が好き」という感覚にも繋がる。

写真の「投稿権」を意識する

「みんなで写っている写真」は誰が撮ったのかはあまり関係なく、写っている人が誰でも自由に投稿して良い気がする。一方、風景のように「その人の視点や感性で撮られた写真」は、一緒に出かけた際の写真でも他人が投稿してはいけない感覚がある。

・ Instagramに写真を載せる時は、誰にでも分かるようにと意識しちゃう。そうすると、写真自体が量産化された気持ちになる。
・本アカウントは理想の自分に近づけた写真を投稿、サブアカウントはリアルな自分を投稿する。サブアカウントこそが本アカウントなのかもしれない。

写真を「印刷する」こと

スマートフォンの写真を手元でコンパクトに印刷できる、ミニフォトプリンター
「iNSPiC」と「SELPHY」を使って、写真を印刷してもらいました。

印刷することで愛着が湧く 印刷することで愛着が湧く

あえてアナログ(モノ)にすることで、その写真に写る被写体や撮った瞬間への愛着を感じた。印刷したら好きなことを再認識できて、周囲にその気持ちをアピールする機会にもなった。

印刷する体験が特別すぎて迷っちゃう 印刷する体験が特別すぎて迷っちゃう

写真を印刷するということが今までほとんどなかった。だからこそ、いざ印刷すると思うと重大な気がして、どんな写真を印刷したらいいか?など考えてしまった。

紙/手触りのあるものは日常に溶け込む力がある 紙/手触りのあるものは日常に溶け込む力がある

写真は自分を慰めたり力を与えてくれるけど、普段写真を見ているスマホはそれ自体が疲れやストレスの原因でもある。だから、印刷することで写真がデジタルではなくなって自分の部屋やモノに溶け込み、力をくれることに魅力を感じる。

今回のレポートで、若者の写真との関わり方が時代とともに変化し、写真が自分の存在意義を確かめるため、また他人とのコミュニケーションの中核として使われているように感じました。

写真を見返す行動が当たり前となっている若者たちですが、その程度は人それぞれで、共通して「写真に残しておくことへの安心感」が垣間見えた気がします。その背景として根本にあるのは、これまで以上に「不確かな“未来”」への不安な気持ち。だからこそ、「確かな“今”」を残しておくことに安心し、そこに若者は価値を感じているのではないでしょうか。

また、共有する写真は自分が納得でき、相手が不快に思わないものを選択するという意見も多くあり、より繊細なコミュニケーションを意識している世代なのかもしれません。
第1回 ワークショップ
開催日
2020年11月17日
テーマ
若者と「撮った後の写真」、その関わり方とは?
課題
①あなたはいつ、どんな風に、何を求めて写真を「見返し」ていますか?
②撮った写真や気に入った写真を、どのように「まとめ/管理」していますか?
③ゴミ箱フォルダをみてくださ​い。あなたが最近「消した」写真は何ですか?
④ミニフォトプリンターを自由につかってみて、どんなことを感じましたか?
形式
個別発表とグループディスカッション
開催場所
オンライン(ZOOM)
調査対象
大学生10名

ichikara Labへの

若年層向けのマーケティングや新規商品・サービスの開発を
共同で行うコラボレーション企業様や学校様を随時募集しています。

CONTACT
  • twitter
  • facebook
TOP