当時のデジタルビデオカメラはまだまだセンサーサイズが小さく、フィルムカメラで撮った時のような浅い被写界深度を得ることができなかった。そこでDoFアダプターなどを駆使して、擬似的に浅い深度を作ったりすることで、いわゆるシネマ的な描写にチャレンジしていた。そんな中に登場したのがEOS 5D Mark IIの画期的な映像だったのだ。
その後、多くのプロがこの映像スタイルを追い求め、デジタル一眼レフカメラでできるなら、自分にも撮れる!と、ここから多くの映像クリエイターが誕生した。まさにデジタル一眼レフカメラによる映像革命が一気に進んだのである。
もちろんEOS 5D Mark IIが起こしたこの映像革命は、瞬く間に世界中のプロフェッショナルに広がり、元々映画系カメラマンの間でも愛用者が多かったEOSとEFレンズの普及もあって、ハリウッドを中心とした世界のフィルムメーカーが、キヤノンの映像描写とその技術へ着目。さらには世界中から多くのプロ目線の注文(!)が寄せられた。やがて、それは『シネマカメラ』という新たな一つのカメラ様式を生み出すことになる。