グランプリ

写真を愛するきもちを、まず何よりも、たたえたい。 第42回 キヤノンフォトコンテスト

グランプリ


里の暮らし
廣瀬美笑子(愛知県)

受賞者の声
廣瀬美笑子(愛知県)

 この夏、数人で新潟の松之山方面に出かけました。山間のあぜ道に咲くタチアオイが緑の田んぼに鮮やかに映え、心いやされる思いでした。
  山里は過疎化し、日本の先行きに不安を感じますが、そこで暮らす人々は、イキイキと元気に自分たちの暮らしを守っていました。その姿に勇気づけられ、感じるままにその暮らしを切りとりました。
  2、3年前から組写真の勉強をしてきましたが、ひとつの結果が出せたのかな、と喜んでいます。

講評: 5点の組写真で農村の日常を描いた「グランプリ」受賞作品

浅井コンテストではインパクトが強い1点ものの写真が目を引きがちです。しかしグランプリは5点の組写真による作品が受賞しました。
  何でもない農家の風景ですが、ここには農村の日々の移ろいが写し出されています。昨日も今日も変わらない、しかし時代は流れていく……朝起きてから夜寝るまでのふつうの農家の暮らしを切りとって見せています。それをドラマチックな場面ではなく、作者独特の静かな視点で表現しています。見る人に読みとる力がないと、見過ごされてしまうかもしれない、そんな写真なんですね。  各審査員が自分の好みを超え、議論を重ねてグランプリに推しました。この作品の良さを発見できたのは、今回のキヤノンフォトコンテストの「見識」といえるのではないでしょうか。


長倉写真の原点、基本がおさえられている作品だと思います。レンズの標準域に近い画角で撮っているのでしょう。自然な描写で、静かな何気ない日常をしっかり捉えています。広角や望遠で、見た目の驚きをねらった表現ではなく、作者の素直な視線で見つめた農村の風景が写し出されているんですね。
  伝えたいものをご自分のなかでかみしめて、自分の好きなレンズで、時間をかけてじっくりと被写体に向き合っている感じが伝わってきます。


吉野素直な表現で、ズームレンズの標準域を中心に使っていますが、ズーミングに頼らずご自分自身が寄ったり引いたりして撮っていることが何となくわかります。そうすることで各写真に変化を持たせながら、お互いを引き立て合う作品になっているのです。組写真としての構成力が見事な作品です。


榎並決して派手とはいえない被写体に 向き合い、5点の組写真で表現された、この作品が選ばれたのは、とても意義があることですね。何でもない日常を丹念に撮りながらも、作者が伝えたい思いをちゃんと表現できているのは素晴らしいと思います。


坪内じつに素朴なモチーフを丹念に追った落ち着きのある写真です。この農村を訪れファインダーをのぞいているとき、作者はここで暮らす人々と自分の気持ちが、ふっと一瞬シンクロする感覚をつかんでいたのではないでしょうか。見ていてとても気持ちの安らぐ作品です。


浅井組写真の応募がたくさんあったのですが、組写真とは何なのか、ちゃんと考えていない作品が多かったのは残念でした。なぜこれが3枚なのか、4枚で組む必要があるのか。ただ同じような写真がバリエーションとして並べられている作品が多かったのです。
  組写真で複数の写真を組む行為が、それは編集作業なのか、モンタージュなのか、イメージの累積、あるいは展開なのか。そういった作者の意図が明確に出ていない組写真は、コンテストでは評価されにくいでしょう。しかし、グランプリには優れた組写真の作品を選出することができました。


キヤノンフォトコンテスト

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