全体講評

見つけたものはなんですか?第43回キヤノンフォトコンテスト

全体講評

今年で43回目を迎えたキヤノンフォトコンテスト。1万点を超える応募作品の頂点に輝いたグランプリ作品をはじめ、準グランプリや各部門大賞に選ばれた作品について、審査員の先生方に講評いただきました。

表面だけをとらえるのではなく、写真家の感情も写し出す

安珠今回の応募作品を見て感じたことですが、似ている作品がたくさんありました。きっと面白いと思うものは、撮る人それぞれで違うはずなのに、みんな同じような作品を撮ってしまう。もっと自分の個性を磨いて、オリジナリティのある作品を撮った方がいいと思いました。

石橋お手本を追いかけるように撮っている人たちが多いですよね。同じ被写体のものが何枚もあって、みんな同じ人の作品かと思ったのですが、実は全部違う人だった(笑)。

安珠同じ被写体でも構わないですが、それにプラスアルファの何かが欲しい。たとえば、特別なハプニングとか特別な背景とか、自分にしか撮れないものを撮るためにもう少し踏み込まないとダメですね。

熊切見方がパターン化しているんですよ。写真は、未来でも過去でもなく、今しか写らないものですから、今の時代や社会、人間を写した作品をもう少し見たかった。今の時代に生きて、何に感動したとか、何に心を動かされたかとか。そういう自分の目で見つけた身近なテーマを撮って欲しいと感じました。

水谷私の場合は、どうしてもプリントの悪さが気になりました。今はデジタル時代になって、写真を撮ることは割と簡単にできて、きちんと選ぶこともできている。なのに、最後の仕上げのプリントが残念という作品が何点もありました。

ハービー私が気になったのは、部門を間違えて応募された方がいたことかな。ネイチャー部門なのに電車の作品があったり。ほかの部門なら残る可能性もある作品なのに、部門が違ったために落ちたものが何枚かあって、非常にもったいなかった。

水谷技術的には、どの作品も素晴らしいのですが、最後の詰めが甘い作品が結構ありましたよね。

熊切ただ、上位には行かなかったけれど、面白い作品もたくさんありましたよ。とぼけたというか、上質のユーモアやウィットにとんだ作品があって、心に余裕を持って撮影を楽しんでいる人も多いと思いました。それと、見た目だけではなく、そこから感じる精神的なものを表現している作品もありましたね。

ハービー風景写真でも、ただ被写体を写すだけではなく、それを一生懸命に撮ろうとしている作者の感情が感じるような作品ですよね。

石橋私が撮るときに意識していることは、その場の環境描写というか、たとえば風が吹いていれば、風が感じられるような作品にしたいと思いますし、朝だったら、朝の冷たい空気感が画面に入り込むような作品を常に撮ろうと思っているんです。

安珠形ではなく、五感に訴えかけられる作品ということですよね。

ハービーやっぱり表面だけの、形だけのきれいさを撮っている作品は落ちてしまいます。そこに、プラスアルファの何か、それこそ空気感だったり、人物写真なら人格だったり、掘り下げたものが写っていないと選ばれにくいんですよね。

水谷グランプリ作品は、作者の感情が前面に出ていました。それが、強烈なインパクトを与えたのです。やっぱり、コンテストなら目立たなければ意味がないので、あれくらい自己主張を強くやらないとダメなのでしょう。今回は、そのことをあらためて教えられたような気がします。


キヤノンフォトコンテスト

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