第54回キヤノンフォトコンテスト
募集部門・審査員紹介

榎並悦子

写真コンテストに応募するとき、勉強熱心なみなさんは過去の受賞作品を参考にされることも多々あるかと思います。結果、そのイメージに引っ張られ、気付かぬうちに似たような写真になってしまいがちです。ですが二匹目のドジョウはまずいません。撮影対象は何であれ「撮れた!」と感じるものがきっと作者にとってのベストショット。誰にでも撮れそうだけれど、撮れない一枚があるはずです。そして、大切なのはプリントの仕上げ。時にはトリミングも必要になるでしょう。自分の作品をよりよく見せるための一手間を惜しまずに、最高の状態で送り出してあげて下さいね。たくさんのご応募を心よりお待ちしています。

佐藤健寿

世間では写真発表の場がSNSへと移行して久しく、デジカメやスマホによって、かつてとは比べものにならないほどの「写真」が日々撮影される時代になりました。統計によれば、某写真SNSのアップロード数は1日1億枚に及ぶそうです。複雑な撮影技術はテクノロジーによって万人に開かれ、「正解」の撮影場所も「いいね」数から辿れてしまう時代。写真を撮ること、見せることの敷居はかつてないほど低くなりました。そんな大量写真消費時代にあってなお、人の心に残る写真とは、どういう写真でしょうか。撮影場所も撮影法も可視化された昨今、もはや「なにを撮るか」でも「どう撮るか」でもなく、「なぜ撮るのか」が最後に課された問いではないかと、私は思います。あなたが「なぜ」か、シャッターを押したその一枚を、楽しみにしています。

瀬戸正人

写真は、見た目の印象や見栄えではなく、中身が大事なのは当然のことですが、では、写真の中身とはいったい何でしょうか?そもそも写真を撮るというのも、みなさん自身にとってどういう意味があるのでしょうか?それをみなさんに問いかけながら、一緒に考える場になればと思っています。写真は、何となく撮っているように思えるのですが、そうではありません。撮るべきモノがあるのです。例えば、今撮らなければ消え失せてしまうかも知れない眼の前の現実、あるいは、ふっと心の内を過ぎる見えないけれど確実にそこにあるモノなど、みなさんそれぞれの想いが見たいものです。写真は、眼に見えるモノしか写せませんが、見たいのは眼に見えないけど、確実にそこにある何かです。ぜひ踏み込んで攻めてください。

長根広和

目の前に展開するハッとした瞬間に心動かされシャッターを切る。それが偶然であれ、事前に練り上げたイメージであっても写真の基本だと思います。その瞬間にその場所に自分が居るということが重要だと私は思っています。たとえ有名撮影地でお決まりの構図であっても、誰も見たことのないような瞬間があって、そこに自分一人しかいなければ、その写真は多くの人を感動させるでしょう。逆に、画像処理で現実離れしたイメージを創り上げることは、否定はしませんが、どれだけの人の心を動かせるかは限界があると思います。私自身も同じ撮影地へ何度も通い続けるのは、前回よりも今回、今回よりも次回とさらなる絶景を期待しているわけです。この地球上で繰り広げられるホンモノの風景に対し、人間の創造力なんてちっぽけなものであることは、現場で創造以上の風景に出合った瞬間に悟ることになります。あなただけが撮ったホンモノの瞬間を楽しみにしております。

前川貴行

長い歴史のあるキヤノンフォトコンテストですが、時代とともに写真も変化してきました。進化もしくは深化と言ってもよいかもしれませんが、機材の進歩によるところが多いと感じます。これまで撮れなかった瞬間が、比較的容易に撮れるようになったのは事実です。たとえば鳥のようにかなり動きの速い被写体でも、カメラ任せで驚くほどしっかりとピントのあった写真が撮れます。そんな時代だからこそ、取り組むテーマが大事になってきます。なにも大それたテーマを掲げる必要はありませんが、独自の視点で物事を捉えることが欠かせません。ピントや露出が的確で、美しい仕上がりのプリントであることは大前提となります。そこから先、いかに表現として見る者の心を響かせるか、そのような話になってきます。逆に言えば、カメラの性能が卓越した現代において、その部分だけに集中できるおかげで表現の幅は広がります。驚きと発見に満ちた作品を期待しています。