月が高く煌々と輝くさまを見つめること。冬の朝、しんしんとした空気を胸いっぱいに感じること。そういう、隠れてこぼれ落ちてしまうような事柄たちを愛おしく思う。目を見張るような才能も、鋭く新鮮な感性も、おそらく私は持ち合わせていないでしょう。しかし、そんな私の日々を、写真を、きちんと見つめてくれる人がいること。そして、敬愛する作家さんに評価していただけたことを心からうれしく思います。たくさんのありがとうを。
第55回キヤノンフォトコンテスト
アンダー30部門

アンダー30部門
ゴールド賞
『ひかりの水槽』
勝呂 亮伍(東京都)
勝呂 亮伍(東京都)

受賞者の声

講評:若い感性でとらえられたアンダー30部門ゴールド賞
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浅田アンダー30部門ゴールド賞の「ひかりの水槽」は、すごく若い感性を感じる作品でした。デジタルカメラが主流の中、フィルムカメラのよさを最大限に生かした作品になっていると思います。また、現代の空気感を感じる作品になっていて、すべて縦位置で揃えるなどセンスのよさを感じ、今後どういった作品を撮るのか楽しみです。
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かくたすごく世界観がまとまっていますよね。きっとバラバラの日に撮影していて、気が向いたら撮ったものをまとめていると思うのですが、すでに自分の作風が出来上がっているような印象を受けました。日常の中で散歩しながら目に止まったものを写し止めたような雰囲気も素敵だと思います。
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豊田すべて縦位置で揃えているのが面白いですよね。縦位置の写真は、普段の人間の目では見えない画角なので非日常感を演出するために私も使うのですが、その縦位置だけで作品をまとめたところに面白さを感じました。フィルムの質感も柔らかい光を表現するのに非常に合っていると思います。
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高橋縦位置を5枚並べるのはとても難しいと思うのですが、構成の妙でうまく統一感が出ていますね。それぞれ場面は違うけれど、ハイライトがリズムよく入っていて、その光に見る人が引きつけられるのだと思います。
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長倉正直にいうと、最初、個人的にはあまり選ばない作品という印象でした。その理由は、撮っているものがはっきりとないというか、花なら花とか明確な被写体がないように感じたのですが、でも、じっくりと見ていると、無意識に撮っているようで実はしっかりと意識していて、作者の撮りたいものがちゃんと写っているんですよね。
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古賀アンダー30部門は、フィルムを使っている人がたくさんいましたよね。今の息苦しい世の中で、いろいろ制限がある中でも自分はここにいるというか、自分の中には光や希望があるということを訴えているような切実な思いが伝わる作品で、フィルムにしか出せない作者の感情が詰まっているように感じます。
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長倉今の時代、オートフォーカスでシャープな写真が容易に撮れますが、その流れにあえて反逆するというか、カメラが合わせるピントではなく、自分でピントを合わせることで自分らしさが写っているようにも感じます。だから、作者が感じる光がこの作品から伝わってくるのでしょう。
シルバー賞
『gone feeling』
栗田 智秋(東京都)
栗田 智秋(東京都)

『初!「パッチャーン!」』
関野 滉一郎(神奈川県)
関野 滉一郎(神奈川県)

ブロンズ賞
『朝・屋上にて』
天田 憲壮(神奈川県)
天田 憲壮(神奈川県)

『±0』
曳地 正刀(福島県)
曳地 正刀(福島県)

『誰?』
河井 千晶(東京都)
河井 千晶(東京都)

佳作
『あたたかい鼓動』
YuMe(千葉県)
YuMe(千葉県)

『夏に囚われて』
岸 彩奈(愛知県)
岸 彩奈(愛知県)

『真夏の大作戦』
岳(GAKU)(東京都)
岳(GAKU)(東京都)

『見上げてみれば』
岩田 昊大(愛知県)
岩田 昊大(愛知県)

『羊の夢を見る』
イケヒロナリ(鹿児島県)
イケヒロナリ(鹿児島県)
