市販の写真集に迫る高級感
今回「PhotoJewel S」でフォトブックを作成いただきました。
写真集を何冊も出されているGOTOさんにとって、フォトブックの魅力とはなんでしょう。
出版社を介して作る写真集と、インターネットで注文できるフォトブック、それぞれにメリットがあります。
私が写真集を作るときは「誰に見せたいか」というターゲットを設定して、作品のチョイス、並び方などを長時間かけて考えていきます。これは普段僕が撮影している作品に抽象的な写真が多く、見た瞬間「これは〇〇を撮ったんだね」と言いづらいこともあるからです。
一方フォトブックは短い時間で完成させることができるので、「写真集を作るぞ」と身構えなくても作業ができます。また、写真集を自費出版するのと比べて、1冊から注文できるので、ポートフォリオとして活用したり、少部数を知り合いにプレンゼントするなど、写真集とは違う使い方ができますね。
とはいえGOTOさんの作った「PhotoJewel S」の完成品は厚みも重みもあり、
市販の写真集に近い高級感がありますね。
はい、まず用紙の厚さに驚きました。裏打ちしたプリントのような厚みがあり、手触りも良い。新しく選べるようになったファインアート紙ということですが、これだけの仕上げをしてくれると、見る側に緊張感も生まれますね。手から伝わる感覚は大きいんです。これだけ重量と高級感があるフォトブックをプレゼントされたら嬉しいと思います。40ページというボリュームに、渡された人は作り手の本気度を感じることでしょう。
GOTO AKIさんが作ったフォトブック「EOS SCAPE」。ファインアート紙で計40ページ。表紙もしっかりした厚みがある。
表紙もハードカバーで、高級感のある仕上がりになっています。
ハードカバーにするのかソフトカバーにするのか、選ぶときの基準はなんでしょう。
作品によると思います。フワッとした花ならソフトカバーが合うかもしれませんし、都市風景や建築写真が表紙ならハードカバーの方が存在感を出せるかもしれません。今回、私はハードカバーを選びましたが、作品のテイストに合わせて選べばいいと思います。
プリント画質はいかがでしょう。
フォトブックを手にするまで一番気にしていたのが、黒い部分--シャドウの表現力です。結果、階調をしっかりと表現しつつも緊張感のある引き締まった黒になってくれました。正直もっと浅い表現になると思っていましたから、いい意味で驚きました。
色についても満足しています。今までの「PhotoJewel S」は光沢紙と半光沢紙しかなく、ツヤ感はあるのですがその分派手な表現になってしまうのが気がかりでした。今回、新たにマット調のファインアート紙が選択できるようになっています。普段からプリントする時はファインアート紙を使っているので、細かい描写なども違和感なく、見慣れた写真という感じがします。目に優しく、ずっと見ていられる感じですね。
PhotoJewel Sは最大60ページまで作れます。
今回40ページで制作いただきましたが、写真の順番や並びについて、何か意識されましたか?
これだけの大きさでページ数も相当あるので、同じような距離感や色の写真が続かないようにすることを意識しました。写真集やフォトブックの場合、最初から順番に見るのではなく、途中のページから無造作に見始めることはけっこうあるんですよね。フォトブック全体で1曲を構成するのではなく、短い曲が集まってアルバムになっているようなイメージです。新しいアプリはレイアウトの自由度も高くサクサク動くので、直感的に気に入らなかったら入れ替えたり外したりしました。
新メニューのレイフラット仕上げのおかげで、見開きでの写真の迫力も増しました。
写真は第一印象がずっと残るので、今回のフォトブックでも見開きの裁ち落とし写真を多く配置しました。ハイアマチュアの方に見てもらいたいという想定で作ったので、インパクトを与えられる写真を大きく配置しました。
写真集やフォトブックをパラパラとめくっていると、1枚の写真を見る滞留時間は1秒もありません。どんどん流し見されるのが常ですが、それでもできれば数秒見てもらいたい。それができるのは、見た瞬間に「うわっ」と思える写真なんです。
今回からメニューに加わった「レイフラット仕上げ」は、ページを完全にフラットで開ける。もちろんノドの部分で不自然な段差がみられない。
今回GOTOさんは、30cmスクエアというフォトブックのサイズを選ばれました。
写真の大きさは、見る人にどんな影響を与えるのでしょうか?
大きければというわけでもないように思えますが……
写真に限らず、絵画や本などにも「鑑賞距離」というものがあります。写真展でも写真集でも、もちろんフォトブックでも、鑑賞距離はものすごく重視しますね。大きな写真を遠くから見ていると迫力のある写真に感じても、近づきすぎると解像度が荒い部分に目がいってしまう。その逆も然りです。
本の場合、基本的に適正な鑑賞距離よりも近い30〜40cm程度の距離で観る人がほとんどなので、30cmサイズの写真は強い印象を与えがちです。ただ、その状態で大きくインパクトのある写真が続いてしまうと、見ている方は圧迫感を覚えて疲れてしまうんです。そのため、レイアウトする時には余白のあるページや写真を少し小さめに配置するページがあった方が良いでしょう。
見開きで大きく見せる写真と、余白を残すページに置く写真、選定のポイントはありますか?
「自分の目の動きを本の中でも再現する」ことを意識しています。僕は撮影の時は全身を目にしているような感覚で、落ち着きなくキョロキョロ動き回っているんですよ(笑)。右を見て、左を見て、少し呼吸を置く。フォトブックでは、右に余白を置き、左に余白を置き、その後に見開きの作品がドーンと出てきます。こういったリズムを作るのに余白は重要なんです。直前に見た写真の残像をリセットさせる役割もあります。
余白の大きさは自分で作りましたか?
今回はもともと「PhotoJewel S」に用意されているレイアウトパターンを利用しました。操作もかんたんでプレビューも素早く見れて、選ぶのに苦労はしませんでした。それも含めて、「PhotoJewel S」の操作性は非常にスムーズで満足です。一度慣れれば本当に簡単ですよ。逆に、簡単になんでもできるからこそ凝りすぎに注意です(笑)。ある程度まで進んだらプレビュー機能で確認するといいと思います。