教育・カリキュラム創造力を鍛え人々に新たな視点を示すことができるクリエイター育成に全力を尽くしたい。~デジタルハリウッド東京本校
本科デジタルアーティスト専攻
主幹講師 会田大也氏~

デジタルハリウッド東京本校では、2019年4月よりデジタルアーティスト育成の選抜クラス「本科デジタルアーティスト専攻」を開講した。本専攻の主幹講師を務めるのはミュージアムエデュケーターの会田大也氏。少数精鋭で切磋琢磨できるクラス編成にてメディアアーティスト、インタラクティブアーティスト、映像アーティストなど多様な表現者の育成を目指す本専攻に、作品制作や表現の機材としてキヤノンのプロジェクターが使われた。

近年、映像表現は新しいテクノロジーやアートと融合し、映画の演出はもちろん、舞台でのパフォーマンスやインタラクティブなライブコミニケーションの演出へも大きな影響を与え、エンターテイメント業界で仕事をするデジタルアーティストの活躍の場は国境を飛び越え海外へも広がりを見せている。
そんな環境のなか、国内外を問わず活躍できるCGアーティストの育成が大切と考え「世界共通の感動と体験を創造するCGアーティスト」の輩出を目的に設置されたのが本専攻である。

クリエイティブ経験のあるメンバーで構成された少人数制の専攻であり、業界をリードする一流アーティストの講師陣からの指導と、メンバー内での切磋琢磨により世界を魅了する映像表現を追求するエキスパートコーストなっている。
今回主幹講師を担当される会田氏と受講生の方々にお話を伺った。

先生がどうするというよりも、受講生同士が刺激しあえるかどうかが重要

2019年新設の専攻クラスでしたが、本専攻に対する想いを伺えますでしょうか。

会田氏:近年、大規模な美術大学とは違う形でアートをやっている人が出てきている。それが現代の面白いところだと思います。世界的に活躍するアーティストを育成するには、従来の大規模な美術大学よりも、それ以外の方が濃密にできることが多いのでないかという気がしていました。私は美術大学出身なので40人以上など大人数で行う授業を経験してきましたが、それの限界を感じていた部分もあり、人を効率よく大量に育てることと、美術はそれほど相性がよくないのではないかと感じていました。多くても10人くらい。今回のカリキュラムは5・6人だったのでそれぞれの特性もよくわかり、やりやすい環境でした。

専攻を担当されていかがでしたか。

会田氏:思いのほかユニークな受講生達で、誰一人似たような人がいません。これがよくて私の信条としては、先生がどうするというよりも、受講生同士が刺激しあえるかどうかが重要なんです。終盤は授業らしい授業ではなく、それぞれの進捗確認を報告しあう形で進めてきましたが、周りの受講生が何をしているかを理解し、それに対して何かリアクションを返す。リアクションとはクリエイティブな活動で、報告を咀嚼してどう返すか、そういった解釈を行うことで自身の批評性が高まっていき、自分の作品への批評力も上がっていくことを重要ととらえ、そのような授業にしていました。私の授業という私の色が多く出ているのではなく、受講生に応じて全然違う授業を行うという受講生を主軸にしたクラスの方が面白いと思っています。

自分と全然違う人たちがいて毎回新鮮な気持ちで学習ができた

受講生の皆さまは、参加されていかがでしたか。

引田 祐樹氏:私は元々自分でプログラムの勉強をしようと思っていました。この授業にはそれ以外の部分を求めていて、他のメンバーと切磋琢磨するために入りました。自分が今まで関わってきている人たちは考え方などどこか自分に近しいメンバーが多いです。ここでは全然違う人たちがいて、毎回新鮮な気持ちで学習ができました。

ローラ・リー氏:私は去年美術系の大学を卒業し、働きながら本専攻を希望しました。会社はアート系ではないため、アーティスト同士が結びつける環境を探して本専攻に参加しました。大学の時にもプロジェクションマッピングをしたかったが、自分が求めるクオリティの機材を使うことができませんでした。ここでは自分が表現したかった作品を表現できる機材が用意されていて嬉しかったです。クラスメイトもとてもやさしく感謝してます。

引田 祐樹氏 作品
ローラ・リー氏 作品

プロジェクターを使った表現は、見るよりも体で感じる表現

授業の中でプロジェクターを使った感想をお聞かせください。

金沢 貴弥氏:私は普段PC上で作品を作り、それをSNSやパブリックの場に公開する表現を行ってきました。それがは今回スニーカーに映像を映すという表現を行いました。私が選んだスニーカーは一番売れないスニーカーだったんですが、その売れないスニーカーが映像の当て方ひとつで違うものに見せられたことは表現としてとてもよかったし、そのような勉強ができたことは卒業制作にもつながる良い手法の勉強になりました。

井口 隆佑氏:作品の製作はPCを使って行っていましたが、PCの画面を見ているときと、プロジェクターで映像を映してみたときとでは、作品に関する感想が全く違いました。床や壁への大画面投影で臨場感や没入感が違ったなどもありますが、画面ではなく実際に身体を使って体験できたように感じられて新鮮でした。

会田氏:今回アートコースでは、モニター枠内だけではなく、壁などを使った空間表現を行ってきたのでその点でプロジェクターは良かったです。作品は、必ずしもスクリーンに映すことだけではない。プロジェクターを使った表現の可能性を増やすことが学習できたと思います。

金沢 貴弥氏 作品
井口 隆佑氏 作品

プロジェクターはディスプレイと比較されることがよくあります。

会田氏:プロジェクターはフィジカリーだと思います。映像が体の一部になるイメージがあります。例えばカメラが三脚に置かれているカメラか、手持ちで動きながら撮っているものかで全く違う表現になります。同じように見る映像がモニターの枠の中にあるのか、映画館のようなスクリーンの中にあるのか、床や壁にあるのかで全然違う経験になります。ひとつの映像ではあるが、同じ映像でも表現方法は多種多様であり、体の一部として全然違う体験になると考えています。

キヤノンのプロジェクターを使われた感想はいかがでしょうか。

会田氏:キヤノンはまじめな会社というイメージがあります。信頼と実績という会社イメージで、作家にとっては信頼感は重要です。製品クオリティや画質に信頼がおけるブランドというイメージでした。
今回実際にキヤノン製プロジェクターを使ってみて、「たとえば、色味についてはここに癖があるから調整したほうがいいよ」ということがないのも良かった部分でした。機材にメーカーとしての色があると、作家の個性なのかブランドの個性なのか判断が難しくなります。私は、ニュートラルな機材に作家の色を付けて作品になると思っているので、独特の絵作りを追求するのではなく、作家がいることを前提にニュートラルな品質を目指している印象がキヤノンにはあります。主張しすぎてこないのでナチュラルに表現に向き合うことができます。

デジタルハリウッド東京本校 本科デジタルアーティスト専攻

主幹講師:会田大也/ミュージアムエデュケーター

  • 山口情報芸術センター[YCAM]にて、開館当初より教育普及担当としてオリジナルワークショップの開発や、教育普及プログラムのプロデュースを行う(2003~2013年)。
  • 担当ワークショップは第6回キッズデザイン賞大賞を受賞。
  • 担当企画展示「コロガルパビリオン」は第17回文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品受賞。
  • 2014年より東京大学大学院ソーシャルICTグローバル・クリエイティブ・リーダー[GCL] 育成プログラム特任助教。

受講生の皆さま

引田 祐樹氏
ローラ・リー氏
金沢 貴弥氏
井口 隆佑氏

本専攻で使われているプロジェクター

高画質LCOSパネルを搭載した短焦点モデル・WUX500ST

レンズ一体型の短焦点モデルでありながら高輝度5,000lmを実現。高画質を実現するLCOSパネルを内蔵し最大解像度WUXGAの美しい映像投写が可能。

かつ最大上方向75%のレンズシフト機能を搭載。

このハイレンズシフトと短焦点レンズにより、プロジェクター本体を目立たせず大画面投写が省スペースで可能なため、美術館や映像クリエイターから高い評価を受けてます。

また、画像の四隅まで高精度にピントを合わせる高いレンズ力で映像の隅々まで鮮明に投写することができます。