医療編
4K映像で、執刀医の視界をリアルに再現・共有

医療分野では、4K対応内視鏡の導入や、4K術野・術場カメラによる手術撮影の実施など、高精細映像技術の活用が広がっている。執刀医の視界を忠実に映しきる手術映像は、リアルタイムに医療スタッフに共有され、円滑な手術進行などに役立てられている。また、院内カンファレンスや医学学会での利用価値も高く、高度な知識・技術の共有、医師・研究員の育成を支える重要な資産と位置付けられている。
本稿で紹介するキヤノンのリアル4Kプロジェクターは、パネル自体が4K規格の画素を持ち、いわゆる「4K相当」のプロジェクターとは一線を画す。その高精細かつ色再現に優れた映像は、画質にシビアな医療機関からも高く評価されている。
※ キヤノンのリアル4Kプロジェクターは、医用画像表示モニターではないため、読影や診断には使用できません。
導入前の課題モニターの画面サイズ&高額コストが、大きなネックに
A病院では、手術室内の映像を別室にいる医療スタッフが共有できる4Kライブストリーム配信システムの構築を進めていた。しかし、所有しているプロジェクターでは解像度や色再現性が低く、映像から得たい情報を把握できない。そこで4K対応医用モニターの導入を検討したが、担当者は「大人数で視聴できるサイズとなると、コストが高くて……」という。また、記録映像を院内カンファレンスや医学学会で活用することまで考慮すると「大型モニターは重くて、人手を掛けても運びにくいし、視聴場所が限られる」と頭を悩ませていた。


導入の効果手術の細部、血液・組織の色を、リアルに映しきる

高精細投写に効果的
4K映像の解像度を損なわないこと。色が変化せず忠実に表示できること。そして、必要に応じて手軽に視聴場所を変えられること。それらの要望を満たしたのが、キヤノンのリアル4Kプロジェクター「4K501ST」だ。
4K501STの導入により、医用モニターよりも大画面で、解像度を妥協することなく4Kライブストリーム配信される手術映像を表示することが可能になった。今までのフルHDモニターでは「見えなかったものまで、くっきり映る」と医療スタッフは画質の良さに納得のようだ。
この高精細画質を支える技術のひとつが、4K501STに3枚搭載された4,096×2,400画素の「リアル4K LCOS(エルコス)パネル」である。一般的に4Kプロジェクターは「リアル4K」と「4K相当」に大別される。リアル4Kは、パネル自体が4K規格の画素を持つため、緻密で鮮明な映像を投写できる。一方で4K相当は、解像度の小さなパネルで、画像処理を加えて疑似的な4K映像を投写する。リアル4Kを実現した4K501STは、4Kカメラの解像度を損なうことなく忠実に再現できるのだ。「映像に、奥行き感や臨場感があり、まるで実物を見ているよう」、「細い血管や神経、組織の起伏、手術器具の動き・位置関係なども把握しやすい」と若手医師の知識・手技の習得、経験値の蓄積にも役立ちそうだ。
解像感に加えて、「映像に、今までのプロジェクターのような格子感がほとんどなく、クリアでなめらかだ」と医療スタッフに好評のようだ。これは、光源ランプの光を遮断する部分が極めて少ない高解像度反射型液晶LCOS※(エルコス)パネルならではの特長。さらに、階調表現がなめらかな点も大きなメリットで、医師からは「フィルムに近い」と、微かな陰影や濃淡差の再現力を評価されている。
さらに、正確な色が表示できるようになったことは極めて大きな効果だ。非常に広い色域をカバーする4K501STは、血液や臓器など赤の微妙な違い、術野の奥など暗部の色の違いまで忠実に再現できる。今までのフルHDモニターではわからなかった組織の状態や境界部分なども把握しやすくなったという。
※LCOS=Liquid Crystal on Siliconの略
導入のポイント院内だけでなく、医学学会にも持ち運びやすいコンパクトサイズ

持ち運びに便利
キヤノンのリアル4K プロジェクターは現在3モデルがラインアップされているが、その中から担当者は、最も小型・軽量な4K501STを選定した。臨場感あふれる映像品質に加え、「全国各地で行われる医学学会にも、持ち込みやすいコンパクトさが決め手になった」という。
4K501STは世界最小※サイズで、重さはわずか18kg。リアル4K プロジェクターの画期的な軽量化を実現した。モニターなら85インチでも50kgはゆうに超えるが、4K501STなら画面サイズを妥協せずに手軽に持ち運ぶことができ、見たい場所で高精細4K映像を見られるのだ。
※ランプ光源を搭載した4K解像度以上5000lmクラスのプロジェクターにおいて。2016年11月8日現在。(キヤノン調べ)
設置自由度の高さも、持ち込み利用に適しているポイントだ。4K501STには、リアル4Kのために新開発した広角ズームレンズを搭載。100インチのスクリーンに最短2.2mの近距離から投写できる。省スペースで手軽に設置できるから、「初めて行く会場でも安心して持参できる」。さらに、F2.6と被写界深度が極めて深いため、四隅まで歪みなくピントが合い、大画面の全域に緻密なリアル4K映像を表示できる。「手術中の患部の状態だけでなく、医師の手元まで鮮明に映り、その場にいるような感覚が伝わる」と、その映像品質は高く評価されているようだ。
近年ますますインテリジェント化が進む手術室の映像ソリューションと連携し、4Kライブストリーム配信を実現する「キヤノンのリアル4Kプロジェクター」。高精細映像を大画面に映しだし、医療スタッフ間の情報共有や連携強化を支えるほか、患者・家族へオープンに手術映像を提供して、説明に対する理解度や信頼性を深めることにも役立てられる。さらに、色を忠実に、ディテールを鮮明に再現するその映像品質は、院内カンファレンスや医学学会での記録映像投写にも最適で、正確な知識・技術の習得、経験値の蓄積を望む医師・研究員の強い味方になるだろう。
トピック用途にあわせて選べる、全3モデルをラインアップ
キヤノンのリアル4Kプロジェクターは「4K501ST」のほか、高速起動&長寿命を実現するレーザー光源システム搭載の2モデルをラインアップ。標準ズームレンズモデル「4K600Z」、広角ズームレンズモデル「4K600STZ」を用途に合せて選択可能です。