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実践的な教育による学生の造形力・提案力向上を目指し、フルカラーの3Dプリンターを導入学校法人安田学園 安田女子大学



業種:学校・教育 | 生徒規模:3,000~9,999名 | 成果:組織活性化・人材育成、社会貢献

安田女子大学は、創立以来、「柔(やさ)しく剛(つよ)く」を学園訓とする総合大学だ。家政学部では高度なデジタルスキルを身につけ、総合造形力や課題解決力を備えた人材育成のために「造形デザイン学科」を新設。企業の商品開発プロセスを体験できる「形状造形」のプロジェクトを設け、より実践的な教育に踏みだした。

そこで導入したツールがプロフェッショナル3Dプリンター・ProJet®x60シリーズだ。ベストの造形物が出力できる3Dプリンターを使って提案力、説得力を身につけてほしい。そんな教授陣の思いを受けた学生たちは、原爆ドームや旧浦上天主堂を再現する。高精度の石膏で、静かに、速く出力するツールは学生の造形力を養い、教育効果を高めている。

導入背景学生が新商品を提案する演習に3Dプリンターを

造形デザイン学科の演習は、学生に新しい商品やプロジェクトの提案を課す。その中心的役割を果たすのが3Dプリンターだ。学科長の山下明博教授は、「クオリティが高い造形物を出力したほうが、より説得力が増す。教育効果が高いと予想されます。そうした観点から3Dプリンターを導入しました」と語る。学生は企業のなかで行われる商品開発の手順を、3Dプリンターを使って何度も体験し、実践的な力を身につけている。

石膏は材料費も抑えられ、想像以上の効果がありました

石膏は肌触りもよく、質感がしっかりした材料です。不要な石膏は再利用が効きますし、材料費が抑えられます。ProJet®x60は密封した空間もいらないので非常にいいな、と思いました。加えて精度が高い。フルカラーで造形でき、大きなモノまでつくれます。想像以上の効果がありました。
(造形デザイン学科長・山下明博教授)

選定理由一般教室でフルカラーの高精度出力&手厚いサポート

3Dプリンターの選択には、いくつかの条件があった。最優先は「着色できて、質感がしっかりした造形物」を出力できること。山下教授は「学生の試作品が無着色で質感が不十分だと正しい評価ができない」と言う。機器は一般教室に設置するので「静かで空間を区切らない」ことも重要だ。さらに「高速で材料費がかからない」ことも条件に加わり、質感のいい石膏で出力するProJet®x60が浮上。最終的な決め手は、キヤノンの信頼感と充実したサポート体制だった。山下教授は「キヤノンの製品群は信頼感が高い。モデリング作業がスムーズにできるソフトウェアもある。サポート体制も万全」ですと語る。たとえば、石膏がつまり気味のとき、電話をしたらすぐにスタッフが飛んできた。原因は「私どもの油の差し方がちょっと悪かった」と山下教授。専門家にしかわからない点を、迅速、的確に助言してもらえるのでありがたいと言う。

導入後の成果原爆ドームと旧浦上天主堂の再現プロジェクト

造形デザイン学科の染岡慎一教授と学生たちは、現物が残っていない建造物の再現プロジェクトにProJet®x60を使った。まず、原爆ドームは、元の姿、広島県産業奨励館の3Dデータを作成し、さらに、3Dスキャナーを使用して原爆ドームの3Dデータも作成、被爆前後の3Dプリントモデルを完成させた。次にわずかな写真資料しかなかった旧浦上天主堂(長崎市)と被爆遺構のカラー 3Dデータを作成し、ProJet®x60でカラー 3Dプリントを行った。

染岡教授はProJet®x60を使えば「学生の発想の幅が広がる」と言う。プロジェクトをリードした田村早紀さん(3年生)は「写真を組み合わせながら、本物に近い形にしていくのが大変だったけど、案外スムーズにいって、楽しかった」と語る。原田彩加さん(3年生)は、3Dプリンターがもっと普及すれば「自分でコップやスマホのケースを作って、持っている人自身がクリエーターになればいい」と夢を膨らませる。

今後の展望予想外のレプリカ作成で大反響、分野を超えて広がる用途

3Dプリンターの用途は試作やデザイン確認ばかりではない。安田女子大学の文学部書道学科は中国の古代文字の研究も行っており、貴重な史料を数多く保存している。そのなかに今から1800年前の中国の建物の一部、文字を書いた銘板がある。書道学科では、国際シンポジウムこの銘板を持ち込もうとした。ところが銘板は重くて外に出せない。頭を悩ませている文学部教授を見た学生が「3Dプリンターがあるみたいです」と伝えた。「あっ、それ使ってみよう」と銘板のレプリカづくりにとりかかる。無事、石膏でレプリカが完成し、学会に持ち込んだ。すると……「大反響が起きたそうです。ですから、(用途は)従来の製品開発やエンジニアリングの分野以外でも、かなり広がる」と染岡教授は語る。山下教授は「デザインと造形を近づけて新しい教育の可能性が広がる」と期待している。

造形デザイン学科・染岡慎一教授

学校法人安田学園 安田女子大学

創立:1966年(昭和41年)

所在地:広島県広島市安佐南区安東6-13-1

※本記事は取材時(2015年5月)のものです



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