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営業改革BtoB営業にDX推進が必要な背景と取り巻く環境とは?

働き方改革から
デジタルトランスフォーメーション(DX)へ

現在、企業はデジタル時代への対応が喫緊の課題となっています。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」にある「2025年の崖」も迫るなか、改めてDX推進が必要な背景に迫ります。今回は、特にBtoB営業、法人営業のデジタル化にフォーカス。

BtoB企業のマーケティングコンサルタントとして活躍する 垣内 良太氏(ワンマーケティング株式会社 代表取締役)に計5回にわたり、BtoB営業のDX推進について語っていただきました。第1回目のテーマは、「企業を取り巻く環境」と「DX推進が必要な背景」です。

企業が抱えている課題を改めて、垣内氏にお聞きしました。

まず現状の日本企業、特にBtoB営業が抱える課題や、環境についてお聞きしたいと思います。

垣内氏(以下、敬称略)「BtoB営業を取り巻く環境にはいろいろな要因があります。どこの会社の法人営業にも共通しているがパレートの法則(20:80の法則)です。営業部があって、商材やサービスがあって、それが限りなくECのような商流でなければ、20:80の法則が当てはまってくるのではないか、と考えています」

顧客の上位20パーセントの売上が全体売上の80パーセントを占めているということですね。

垣内「あるいは営業部の上位20パーセントのメンバーが売上の80パーセントを占めるとか。サービスも同様です。特定のサービスの20パーセントが会社売上の80パーセントを占めている、などもありますね。顧客視点でも商材視点でも社内視点でも、20:80の法則は存在します。特に今回は顧客にフォーカスしてお話をしたい。」

事業ポートフォリオとして、20:80の法則が成り立っていると、ひとつの顧客から契約を切られた場合などのリスクが大きくなりますね。

垣内「とはいえ、大体の企業はこの比率になってしまいます。じゃあ、どうすべきか?そこを回避するために、残りの80パーセントの顧客の売上をいかに伸ばしていくかっていうポイントと、新規顧客を獲得して、上位の20パーセントに入るように営業活動をしていかないといけない。これは、どこの会社にでもある課題ですね」

既存顧客の関係性維持あるいは向上と新規開拓の2点が重要だということですね。

垣内「たとえマーケットが縮小してる国内においても、やっぱりそこはやっていかないといけない。業績を維持するためには、最低でも20:80という均衡を維持しながらも、新しいところを開拓していかないといけない。その一方で、労働人口の減少に直面しているのが現在の日本だと言えます」

労働人口減少と営業活動のブラックボックス化

労働人口の減少を見越して、多くの企業が働き方改革で生産性を向上させる取り組みをしています。

垣内「そういう環境下で、かつてのように営業の人数で人海戦術をするのか?もちろん、そういう時代ではないです。効率も非常に悪い。お客さんも同様です。買い手もいちいち営業パーソンに会う時間が確保できにくくなっている。さらに言うと、商談になる前に自社の課題は絞り込んでますし、ある程度まで導入するサービスも絞っている」

以前は情報が少なかったですが、現在はインターネットを活用すれば、サービスやその評判もすぐに把握できます。

垣内「以前は情報が少ないから、営業パーソンに直接会ったり、他社から紹介をいただいたりというケースが多くありました。でも、今やもはやそういう時代じゃありません。デジタルを活用して情報収集をしている方がほとんどです。買い手も、売り手も基本的には人的リソースがない。無いない尽くしのなかで、人と人との接点というのは、当然ながら少なくなっていきます」

労働力も少ないなかで、効率の良い営業手法が必要になります。人の接点が減るなかで、必要なのはデジタルでの接点でしょうか?

垣内「BtoB営業では、最終的にはやはり人が介在するケースはまだまだ残ると思います。課題解決のヒアリング、いわゆるソリューションという観点では、人の重要性、営業の重要性は残る。ただコミュニケーションのタッチポイントは少なくなるのは事実。いかにその接点を人に依存せずに、デジタルを活用してやっていくかというところが、ポイントになってきます」

営業活動のブラックボックス化とは?

現状のもうひとつの課題として、垣内氏は、「営業活動のブラックボックス化」を挙げられています。

垣内「現場での営業パーソンの個人裁量に委ねられている部分が多いため、多くの企業があらゆる観点でブラックボックス化しているのではないでしょうか。営業ノウハウもそうだし、プロセス、営業資料、案件もそうですね。案件は確実にブラックボックスです。失注した案件がなかったものになっているってケースが結構ある(笑)」

失敗事例は特に共有されにくい傾向にあります。

垣内「人事評価制度にも問題があります。つまりプロセスが評価されない。結果やっぱり数字、売上の定量評価しかない。プロセスではなく数字にフォーカスする。もちろんそれはすごく重要ですが、プロセスを定性的、定量的に評価する概念もありません」

プロセスを評価しないと、どのような弊害がありますか?

垣内「最終的な結果や数字は見るけれども、そこまでに行き着くKPIもそうですし、プロセスを定性的に評価するカルチャーが根付いていないと、PDCAという概念がうまれてこない。つまり課題の分析と改善が行われていない。また属人化が進んでいきます。これが現状の企業を取り巻く環境の致命的な部分です。これはもう待ったなし、です。本当に営業こそアナログの塊みたいな状態なので。ここにメスを入れないといけません」

デジタル化には長期的な視点が必要。だからこそ導入は早い方がいい

最終的に人は介在するけれど、営業プロセスはほぼデジタルになっていく。すでに多くの企業はDXをどんどん推進しているわけですよね。

垣内「早く気づいた企業はやっぱりデジタル化が早いですし、それに合わせてやっぱり組織体制も変えていますね。BtoB営業に関しては、デジタル化の重要性にいかに早く気づくか、という1点です。それはもう組織の上から下まで、特に上の人ですね。デジタルを理解しないといけない」

企業がデジタルを導入できない、推進できない原因として多いのはなんでしょうか?

垣内「トップの意識じゃないでしょうか。トップの意識が変わらない限りは、現場も追随しません。経営層がセールスフォースだ、CRMだと言っても、言葉だけで終わっているようなケースが非常に多いのです。概念や活用法を理解していない。経営層が知る必要はない、というご意見もあるかもしれないですけど、知る努力は必要。ミドル層も重要です。CRMという言葉だけが先行して、実際はExcelで顧客管理をしているとか」

とは言え、理解したうえでの、導入となるとどうしても時間がかかります。

垣内「もちろん時間はかかります。デジタル導入後も本来の効果を発揮するまでにある程度の時間が必要です。デジタル導入後、人材育成と、システムの理解・浸透、デジタルデータを蓄積して、継承していかなくちゃいけない。そのため、とにかくいち早く取り組み、良くも悪くも続けることが重要なポイントになるのです」

ツールの導入は別にすぐできますけど、社内での浸透や使いこなせるまでに時間がかかるということですね。

垣内「デジタル化のメリットは、データが蓄積してこないと享受できません。データを蓄積していっても、SFA、CRM、MAが一元化されていないと大変なことになります。営業部やマーケティング部が別々のデジタルツールを導入してしまい、部分最適になっている。それを“システムのサイロ化”と呼んでいます。DXの推進をしているという企業でも、システムを一元化して、活用できているところはまだ少ない印象です」

ありがとうございます。今回は、BtoB営業にDXが必要な理由とその課題についてお聞きしました。次回は、システムのサイロ化も含め、より深く法人営業部の課題をお聞きします。

垣内 良太

ワンマーケティング株式会社 代表取締役

  • 2002年より大阪にある実父が起業した印刷会社に入社。印刷をベースに展示会やWEBなど販促支援に従事。
  • 2010年より、BtoB企業にもマーケティングの重要性を感じ、BtoB企業に特化したマーケティングサービスの提供を開始。
  • 2018年1月に同社の代表取締役に就任。BtoB企業の顧客創造に貢献するためのマーケティングコンサルタントとして西へ東へ奔走中。

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