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映画のように、きみを撮りたい。日本の新しい写真館

映画のように、きみを撮りたい。

スタジオ ノーブレム 愛知県名古屋市

東山公園に面した大通り。そこから一本入った閑静な住宅街に一見カフェと見紛うような外観の写真館、スタジオ ノーブレムがある。同店の新しさは、すべてに「上質」を追求した独自のコンセプトと「動画」の広がりを見据えた本格的な取り組みにある。動画撮影を前提に設計されたスタジオで、静止画と動画を融合させた撮影スタイルを実践しているのだ。店長でありフォトグラファーである伊藤太一氏とムービークリエイターの林浩司氏に話しを伺った。

目指したのは、「写真業界のスターバックス」

写真館の新しいあり方を模索するなかで、スタジオ ノーブレムがイメージしたのは「写真業界のスターバックス」である。つまり、手の届かない「高級」ではなく、気軽に味わえる「上質」なサービスを提供できれば、より幅広い層に受け入れられると考えたのだ。心に残る写真を撮ること。そのうえで、そこで過ごした楽しさや喜びがいつまでも余韻として残る。そんな写真館を目指している。

美しく、ドラマチックに。
映画のワンシーンのような作品を。

「上質」というコンセプトをお客さまにわかりやすく伝え、定着させていくために、同店では【映画のワンシーンを写真で表現する】という指針を立てている。「平板な記念写真ではなく、雰囲気のある写真を撮ってあげたいと考えています。だから、椅子やテーブルといった家具や小物を被写体との間に配置して、前ぼかしなどを多様化して立体的に表現しています。こういう撮影を行ううえで、EOS 5D Mark Ⅱは、ハイライトやシャドーのディテールがすごくきれいで、美しく立体感が出せるので重宝しています。レンズも、発色性がいいのはもちろん、開放にしていてもピントがシャープにくるのがいいですね」と伊藤氏は語る。

微妙な風合いにもこだわる。
映画のプロが造り込んだスタジオ。

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ゆったりとした時間の流れの中で、会話を楽しめる。そんなおしゃれなカフェをイメージして、同店はデザインされている。内外装の造り込みは、映画のセットを製作している会社に依頼。例えば壁面の塗装の微妙な風合いによっても、作品に映る空気感が異なってくるからだ。また、インテリアはカメラマンの目線で積極的に変えているそうだ。「写真を構成するうえでポイントがほしいと思ったらアイテムを加えたり。お客さまがいつ来ても新鮮なスタジオにしたいですね」と伊藤氏。

長いストロークを確保したスタジオ設計。静止画も動画も、ボケを活かした立体感のある表現ができるようになっている。

長いストロークを確保したスタジオ設計。静止画も動画も、ボケを活かした立体感のある表現ができるようになっている。

建物の構造上、天井が低くなっている場所にはミラースクリーンを貼ることで、上への広がりを演出。空間を最大限に活かした動画撮影を可能にしている。

建物の構造上、天井が低くなっている場所にはミラースクリーンを貼ることで、上への広がりを演出。空間を最大限に活かした動画撮影を可能にしている。

シックな雰囲気を醸し出すアンティークな小物。中央に見える扉の向こうにはストロボが内蔵されており、逆光で柔らかく包むような描写ができる。

シックな雰囲気を醸し出すアンティークな小物。中央に見える扉の向こうにはストロボが内蔵されており、逆光で柔らかく包むような描写ができる。

静と動をふたつの感性で。

スタジオ ノーブレムにとって「動画」は写真のプラスαではない。動画の可能性を見極めたうえで、写真と動画を同じ位置づけで捉えてスタジオを設計している。ストロークの長い空間を確保しているのは、構図にこだわりながら、ボケ味を活かした上質なムービーを撮影するためだ。撮影スタイルも新しい。それぞれ EOS 5D Mark Ⅱを手にしたフォトグラファーとムービークリエイター、そしてコーディネイターがひとつのチームとなって、自在に撮影を進めていく。写真館を利用した経験のあるお客さまも、こうした撮影体験を新鮮に感じられるそうだ。

SNSやブログをフルに活用。

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同店ではFacebookを中心にSNSやブログを連携させて活用することで、より多くの人に情報を発信できる仕組みを整えている。ウェブで作品を観て「こんな写真を撮ってくれる写真館を探していた」とわざわざ他県からお越しになるお客さまも増えているという。

お客さまのためにできることをスタッフみんなで話し学び考える。

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「余韻が残る写真館」となるためにスタジオ ノーブレムが大切 しているのは、お客さまに喜んでいただけることをスタッフが「自主的」に考え、取り組んでいくことである。例えば、珈琲ひとつとってもそうだ。豆のことを学習し、スタッフでテイスティングし、これぞと納得できたものだけをお客さまにお出ししているという。言葉遣い、香り、音、お飲み物など、ひとつひとつにこだわり、心配りを怠らない姿勢が、気持ちよくくつろげる同店ならではの雰囲気を生み出しているのだろう。

商品は全カット入りCDが基本。上質さにこだわったオプションとして、木の温もりを大切にしたナチュラルなフレーム(右)を用意している。

商品は全カット入りCDが基本。上質さにこだわったオプションとして、木の温もりを大切にしたナチュラルなフレーム(右)を用意している。

左から、店長でフォトグラファーの伊藤太一氏、代表取締役社長の西太一氏、ムービークリエイターの林浩司氏。

左から、店長でフォトグラファーの伊藤太一氏、代表取締役社長の西太一氏、ムービークリエイターの林浩司氏。

写真:Studio Noblem.M (スタジオ ノーブレム)

Studio Noblem.M (スタジオ ノーブレム)
スタジオ ノーブレム(愛知県名古屋市千種区)は平成23年11月にオープン。昭和2年創業という歴史を持つミカサ写真館が、新ブランドの写真館として立ち上げたものである。現在フォトグラファー2名、ムービークリエイター2名、コーディネイター1名という編成で、写真と動画を融合させた新しい形のサービスを提供している。