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その一日を永遠にする仕事。日本の新しい写真館

その一日を永遠にする仕事。

コマエ写場 広島県広島市

写真館に求められているのは、単に撮ることだけではない。人生のあらゆる節目を大切に残していく、そのためのサービスをいかにきめ細かくトータルに提供できるかが問われている。時代の流れを感じとりながら変わりつづけるコマエ写場の専務取締役・西尾滋氏とチーフフォトグラファーの廣子盛亮氏に話を伺った。

時流をとらえ、進化しつづける。

ニーズの変化を的確にとらえ、それを現場に迅速に反映する。1925年に創業したコマエ写場は、そうすることで成長してきた写真館だ。1978年には自社現像所を設立し、品質の安定化とコスト削減を両立。また、電子映像部を設けるなどデジタル商品にも広く対応。動画の部門ではEOSムービーを活用するとともに、CINEMA EOS C100も導入し、映像美にこだわった深みのあるウェディングムービーを提供している。「私たちは写真館であって写真家ではない。お客さまに喜んでいただいてこそ商品価値がある。そういう意味では、撮影はもとより、衣装でも美容でも接客でも、すべてにおいて満足いただくことが重要。お客さまのご要望に応えるために自分たちが変わっていく、それが写真館として勝ち残ることにもつながっていくと思います」と専務取締役の西尾滋氏は語る。

ウェディング専門のFOCUS ONE。

たとえば、子どもの写真はどんな表情をどう切りとるかという「感性」が大切だ。婚礼であれば、二人の想いを表現しながら絵にしていく「創造力」が求められるだろう。お客さまや撮影内容によって要求されることが異なってくる。だからコマエ写場では約50名のフォトグラファーの個性を見きわめ、一人ひとりが活き活きと輝ける部署へと配置している。その中で「フォーカスワン」というお店は、ウェディングフォト専門の写真館として立ち上げた特別なブランドだ。現在、広島店をはじめ、銀座店、横浜店を展開。スペシャリスト集団が生み出す創造性豊かな作品はお客さまから高い評価を得ているという。

写真そのものの力を大切に。
imagePRESS C1+でプリントしたアルバム。

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同社で人気のウェディングアルバムのひとつに、写真集のような前撮りアルバム(60頁)がある。「写真そのものの魅力で見せていきたい」という考えから、どの頁も写真は一枚と、レイアウトはシンプルだ。しかし、一枚一枚の撮影やレタッチ、そして全体の構成には徹底的にこだわっている。「ロケの際には、ふたりの何気ない仕草やちょっとした出来事もしっかり観察して撮影しておきます。いわば予定調和を崩すようなカットをあえて組み込むことで、何度見ても見飽きないようなアルバム、見るたびにふたりの想いが甦ってくるようなアルバムを目指しています」とフォトグラファーの廣子盛亮氏は語る。また、このアルバムは、キヤノンのプリンターimagePRESS C1+でプリントされている。「印画紙とは違う味わいも、このアルバムの魅力になっていると思います」と廣子氏。

大判プリンターimagePROGRAF W6400とiPF6200を導入。販促ポスターや大型タペストリー、ウェルカムボードの制作に活用。

大判プリンターimagePROGRAF W6400とiPF6200を導入。販促ポスターや大型タペストリー、ウェルカムボードの制作に活用。

撮影から、デザイン、製本まですべて自社で行うコマエ写場。七五三のアルバムラインナップも豊富だ。

撮影から、デザイン、製本まですべて自社で行うコマエ写場。
七五三のアルバムラインナップも豊富だ。

衣装と美容を提供できる。
そのメリットを活かした「結婚ゼロPHOTO」。

コマエ写場ではさまざまな販促企画を展開しているが、「結婚ゼロPHOTO」は、社内に衣装、ヘアメイクを有しているという強みをフルに活かしたキャンペーンだ。撮影料、衣装、ヘアメイク、着付け、小物一式を含んだプラン料金は0円、必要なのはプリント代だけというもの。「結婚式はしていないけれど、写真は残したい」という潜在需要を見込んで2012年からスタートしたこの企画は、すでに多くのお客さまにご利用いただいているそうだ。実際に展開し始めてわかったのは、結婚式をしない方だけでなく「式は挙げたけれど、和装の写真も残しておきたい」というニーズも多いということだ。「最近の結婚式の主流はやはりドレスなんですね。だから、式当日、和装は着なかったけれど、やっぱり日本人だから写真だけは残したいというお客さまも多いんです。式で着ると相当の衣装代と支度代がかかりますが、結婚ゼロPHOTOなら和装と洋装各2種、最大4着まで無料。気軽に撮れるところに魅力を感じていただいていると思います」と西尾氏は語る。同社ではこの結婚ゼロPHOTOを利用されるお客さまにロケーション撮影も積極的に提案、同社ならでは特徴としてアピールしているという。

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長い目でファンをつくっていく。「成長フォトプラン」。

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「成長フォトプラン」は、マタニティやお宮参りなどでご利用いただいた際の初回撮影料3,000円のみで、その後は10歳の誕生日まで撮影料はいつも無料というプランだ。「子どもの成長って早い。かわいい時期ほど目に見えて変わっていきますよね。赤ちゃんの頃から10歳まで成長の記録をこまめに残してほしい、そういう想いからこの企画を始めました。“ちょっとハイハイができるようになったので来ました”と気軽に来店される方もいますし、毎年誕生日にはきまって撮影に来られるお客さまもいます」と西尾氏。撮るたびにメリットを実感できる企画だから、リピート客の獲得や顧客づくりに貢献しているのだろう。

お客さまとの距離を縮める。「わが家のアイドル“絆”大写真展」。

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写真館に対するお客さまの一般的なイメージは随分変わってきているが、かつては「入りにくい」という声も多くあった。そうした印象を払拭するために同社が始めたのがこの写真展である。2013年の開催で23回と、恒例のイベント企画になっている。「最近ではこうした写真展企画が実施されるようになってきていますが、私たちが始めた頃は広島ではまだ少なかったものですから、非常に大盛況。一回の開催で1,000人ぐらいは撮っていましたね。もちろん、いまは以前に比べれば人数は減ってきていますが、お客さまと私たちの距離を縮めるのにとても役立つ企画だと思っています」と西尾氏。参加費用を1,000円と低く設定することで、さらに来店しやすくしているそうだ。また、この写真展では若手のフォトグラファーを積極的に起用しているという。「単に撮影の経験を積むということだけでなく、お客さまとふれあう機会を増やしたいからなんです。お客さまは、フォトグラファーやアシスタントがどんな雰囲気づくりをしているかもしっかり見ています。撮影の時間をどう楽しんでいただけるかは、ある意味、写真の出来よりも大事な要素ですから」と西尾氏。

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コマエ写場・比治山本店の受付。木目を活かしたインテリアで、落ち着いた雰囲気に仕上げられている。

コマエ写場・比治山本店の受付。木目を活かしたインテリアで、落ち着いた雰囲気に仕上げられている。

余裕のスペースを確保した1階のプレゼンルーム。こちらの空間も木目で上質にコーディネート。

余裕のスペースを確保した1階のプレゼンルーム。
こちらの空間も木目で上質にコーディネート。

2階に設けられたスタジオ。スタジオ撮影ではEOS-1D Mark Ⅱ、EOS-1D Mark Ⅲを。ロケーション撮影ではEOS 5D Mark Ⅲをメイン機として使用している。

2階に設けられたスタジオ。スタジオ撮影ではEOS-1D Mark Ⅱ、EOS-1D Mark Ⅲを。ロケーション撮影ではEOS 5D Mark Ⅲをメイン機として使用している。

写真は比治山本店。
写真:コマエ写場

コマエ写場
1925年、町の写真館として広島の地で創業。現在は、広島市を中心に数多くの写真館スタジオ、ホテルや結婚式場の写真室を展開している。