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町に、笑顔を咲かせよう。日本の新しい写真館

町に、笑顔を咲かせよう。

光陽スタジオ 福島県伊達市

「あそこに行くと、なんか面白いこと、嬉しいことがあるよね」。光陽スタジオは、お客さまにそう思ってもらえるような写真館をめざしている。楽しいから人が集まってくる。楽しいから撮影が思い出になる。自分たちらしい「楽しさ」で、地域の家族を幸せな気持ちにしたいと考える、代表の馬場裕隆氏に話を伺った。

写真館体験を、もっと楽しく。

「出来上がった写真がどんなに素敵なものであっても、撮るときの体験がつまらなかったら、お客さまの満足にはつながらない」それが馬場氏の持論だ。撮影はもちろん写真館で過ごしたすべての時間を楽しいと感じていただければ、お客さまのいい思い出になる。ここを選んでよかったと思っていただける。そのために馬場氏が大切にしているのが、お客さまとのコミュニケーションだ。「ひとつの例ですが、写真選びに来たお客さまがスタッフに子育ての相談をしていたりとか。そういう対話って、町の写真館だからできることじゃないですか。写真館とお客さまという関係を超えた、人間同士のふれあいを大事にしていきたいですね」。

写真と言葉で、家族の宝物をつくる。

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光陽スタジオのオリジナル・アルバム「絆アルバム」(写真下)は、毎年一枚ずつ撮り重ねていく家族写真と、両親から子どもたちへの手書きメッセージの対で構成されている。「その写真を撮ったとき、パパとママがどんな想いでいたのかを、写真と一緒に言葉で残してあげたら、それは子どもたちにとっても、家族みんなにとっても、かけがえのない宝物になると思ったんです」。人の想いやエピソードを記憶してくれる写真の力を、言葉がさらに倍増させてくれると、馬場氏は考えているのだ。また、この絆アルバムをつくっていると、自分たちの勉強になることもあるという。「メッセージは写真を撮った後にいただきますよね。それを読ませていただいて、『あ、こういう想いで写真を撮りにきてくださったんだな』と気づかされることがあるんです。それなら『もしかしたら、こんな撮り方もあったんじゃないか』と反省したりね」。家族の気持ちを表現するのが写真館の仕事だから、それを感じとる力も磨いていきたいと馬場氏は語る。

撮ること。それは、育むこと。

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子どもたちは、地域のかけがえのない財産。だから馬場氏は学校写真にも特別な想いで取り組んでいる。「子どもたちには、一人の大人として向き合あう。カメラマンだからといって、失礼なことを言われたら本気で怒るし、でも楽しむときは子ども以上に楽しむ。カメラマンを超えて、仲間としての関係を作ることで、子どもたちの自然な姿を撮れると思う。僕は親御さんが見られない姿を見ることができるわけですから、そういう姿を撮って見せてあげたいと思っています」と馬場氏。そうした姿勢から創られた学校アルバムは高く評価されている。光陽スタジオは、スクールアルバムコンテストでは2010年にアルバム大賞を受賞。2012年にもシナリオ部門の最優秀賞に輝いている。また、同店では8年前くらいから「ベスト・フレンズ」(写真右)という卒業写真のキャンペーンを実施している。「僕は小・中学校の頃、クラスで仲間はずれにされたことがあって。今、それを言うと意外だって言われるんですけどね(笑)。だから、一緒に過ごした仲間を卒業しても忘れないでほしいと思って、こんな企画を始めたんですよ」。スポーツ少年団の子どもたちが卒業するときには、親御さんもスタジオに集まってきて、撮影はとても賑やかになるそうだ。写真と寄せ書きを一枚に仕上げ、手頃な価格で提供している。「子どもたちに『君たち、友達は大事にしろよ』という僕からのメッセージを届けたいと思ってやっていることなので、採算は度外視です」。

ロケーション撮影で差別化を図る、「ラブリーキッズポスター展」。

同社では毎年4~6月に「ラブリーキッズポスター展」というキャンペーンを展開している。0歳から15歳のお子さんを対象にモデルを募集。屋外で撮影した写真をポスターにし、町内のスーパーや銀行などで展示会を実施。ポスターは展示会後にお客様にお渡しするというもの。参加費には撮影料、フレーム付A2ポスター代が含まれている。この企画のポイントはロケーション撮影にある。「スタジオ撮影が中心の他店との差別化を図っていきたい。そういう狙いもあって、ロケーション撮影で、自然の中でのびのびと遊ぶ姿を撮ることを基本とした企画にしたんです」と馬場氏。ロケーション撮影の効果だろう、実際、どのポスターにも子どもたちの生き生きとした表情が捉えられている。このポスター展を体験されたお客さまは、ほぼ100%七五三などにつながり、またご友人など新しいお客さまも紹介してくださるという。また、この企画はスタッフの撮影技術向上にも役立っているそうだ。「ロケの場合、子どもたちは自由に飛び回りますから。マニュアル通りにただシャッターを押せばいい、というわけにはいかない。勉強になっていると思います」。

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若い感性に応える、ガーデンスタジオ。

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同店は、 2008年にヨーロピアンスタイルのガーデンを備えたスタジオへとリニューアル。現在の店舗には全国各地の写真館を見学し教えていただいたノウハウが詰め込まれているという。「お客さまの若い感性に応えていくためには、僕ら自身も頭を柔らかくして、変わっていかなきゃいけない。そうでないと時代から置き去りにされてしまうという危機感があったんですね。だから、いろんな写真館に行っては聞いて、行っては聞いて。スタジオ設計の狙いや効果を教えていただきました」と馬場氏。小さな子どもたちを撮るうえでガーデンを設けた効果は大きいという。「いくら自然光が入るといっても室内のスタジオ環境にはやはり萎縮しちゃうお子さんがいます。でも、ガーデンに出ると全く違う表情を見せてくれるんですね。子どもが子どもに戻れる場所なんだと思います」。2011年の東日本大震災による被害で想定外の改装工事を強いられたが、その後も「いいと思ったことはすぐに取り入れる」という姿勢でスタジオを充実させている。この春には新たに授乳室を設けるとともに、バリアフリー化も進める予定だ。

年に一度の感謝のお祭り。光陽スタジオフェスティバル。

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お客さまとのふれあいを大切にする同社を象徴するイベントが、光陽スタジオフェスティバルだ。「数ある写真館の中からここを選んでくれた感謝の気持ちをお伝えすると同時に、写真館っていろいろ楽しいことをやっている場なんだと感じてほしい。そういう目的で、縁日風のイベントを行っているんです。店内ではスーパーボールすくいや輪投げ。駐車場には、焼きそば、かき氷、ポップコーンといった食のブースを用意して無料で楽しんでもらっています」と馬場氏。このイベントは例年8月に行っており、200人を超えるお客さまが来店されるそうだ。同時に七五三衣装展示会も開催して、七五三客の獲得にも役立てている。

写真セレクトスペース。写真選びの時は馬場氏曰く「お客さまは、基本、ほったらかし」だそうだ。「積極的な売り込みをすることでお客さまに嫌な想いをしてほしくないから自由に選んでいただいています。」

写真セレクトスペース。写真選びの時は馬場氏曰く「お客さまは、基本、ほったらかし」だそうだ。「積極的な売り込みをすることでお客さまに嫌な想いをしてほしくないから自由に選んでいただいています。」

白を基調とした店内。カラフルな小道具たちが楽しい雰囲気を演出している。

白を基調とした店内。カラフルな小道具たちが楽しい雰囲気を演出している。

「お客さまに楽しんでいただくためには、まずスタッフが喜んで楽しく働ける写真館でなければいけない」が馬場氏の考え方。

「お客さまに楽しんでいただくためには、まずスタッフが喜んで楽しく働ける写真館でなければいけない」が馬場氏の考え方。

写真:有限会社光陽スタジオ

有限会社光陽スタジオ
1962年に創業。1990年に現在地(伊達市保原町)に移転新築。2001年に馬場裕隆氏が2代目として代表取締役に就任。2008年、ガーデンスタジオを備えた店舗へとリニューアル。現在、社員、パートアルバイトを含め、8名のスタッフが活躍している。
URL:http://www.koyo-studio.com/
(光陽スタジオのサイトへ)