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写真マーケットを開拓するIT。フォトソリューションレポート

写真マーケットを開拓するIT。

株式会社ハピリィ 東京都千代田区

株式会社ハピリィは、子ども向け写真館のhappilyフォトスタジオ3店舗(表参道店、自由が丘店、横浜みなとみらい店)を運営。その一方で、インターネット写真販売サービス「フォトレコ」の活用・提供を通じて、写真館の新たなビジネスモデルを拡げようとしている。代表取締役・二口恵子氏に話を伺った。


「家族に永く大切にしてもらえる宝物をつくること。」
ハピリィを立ち上げた目的を語る二口氏。

まず、“ハピリィ”というブランドをつくる。

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happilyフォトスタジオの成り立ちは、いわゆる写真館のそれとは全く異なる。その母体はIT企業だ。ゲームソフトやアプリのように流行に左右されるものではなく、「家族」に永く愛され大切にされるコンテンツをつくりたい。そうした想いから「写真」というコンテンツに着目し、2013年に株式会社ハピリィを立ち上げた。まず最初に取り組んだのは“ハピリィ”というブランドを確立することだった。「我々はこの業界の経験があるわけでもない。新たなフォトビジネスを提案しようとしても説得力がないですよね。だからhappilyフォトスタジオという写真館をつくり、お客さまと向き合ってニーズをつかみながら確実に成果を出していく。そして、お客さまからハピリィなら安心と選んでいただけるブランドを構築しよう。まさにこの3年間はそのために全力で取り組んできました」と二口氏は語る。ブランディングの核となっているのは、表参道店、自由が丘店、そしてこの4月にオープンした横浜みなとみらい店という3つの店舗だ。立地は「誰もが行ってみたいと思うおしゃれな街」という観点から選択。店舗も単に撮影するための場ではなく「そこで過ごす時間のすべてを楽しめる場」として捉え、高感度な子育てママ層を意識した空間づくりを追求している。

一生の宝物を家族で共有する“フォトレコ”。

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happilyフォトスタジオでは、スタジオを拠点にファンづくりを行う一方、百貨店や人気のファッションブランドなど外部企業とコラボレーションしたイベント撮影会なども積極的に実施している。こうした店舗以外での撮影をビジネスとして成立させているのが、グループのIT企業とともに開発したインターネット写真販売サービス「フォトレコ」だ。撮影した写真をインターネット上に掲載、イベントの参加者のみが当日の写真を閲覧・購入できるシステム。さらにお客さまは自分の「マイページ」に、スタジオで撮った写真やイベント撮影会の写真を保存し、家族や親しい人とスマートフォンなどで手軽に共有できるようになっている。このサービスをイベント撮影会やストリートスナップなどで活用し、同社はスタジオ撮影以外の業績を短期間で大きく伸ばしている。さらに、この「フォトレコ」というシステムを外部に提供。従来の来店型撮影に頼ることなく、自由にフィールドを拡げることができる新しいビジネスモデルを全国のカメラマンや写真館へ広く伝えていこうとしている。

一つひとつの撮影ルームを、商品に。

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happilyフォトスタジオならではの特長のひとつに、個性的な撮影ルームがある。表参道店の4部屋、自由が丘店の6部屋、そして新たにオープンした横浜みなとみらい店の4部屋を加えて、現在計14の撮影ルームを用意。それらの撮影ルームは、それぞれ異なるテーマに基づいたインテリアデザインが施されている。一回の撮影で利用できるのは一部屋、お客さまは好きな部屋を選んで予約するというスタイルだ。「お客さまにすべての撮影ルームを体験していただきたい、という想いでつくっています。実際、お客さまのなかには“毎回ちがう部屋で撮影して、すべての撮影ルームを制覇したい”という方もいらっしゃいます。また、稀なケースですが、ひとつのお部屋をすごく気に入っていただいて“今回で8回目ですが、いつも同じ部屋で撮っています”という方もいらっしゃいます」と二口氏。アンティークな家具を巧みに配し、子育てママ層の感性に響く空間に仕上げることで、一つひとつの撮影ルームが商品といえるほど魅力的なものにしている。ただ、これらの撮影ルームは空間に余裕があるわけではない。狭いスペースのなかで、子ども達の表情を引き立てながら、空間の雰囲気も表現していくうえで、EOS 5D Mark IIIと広角ズームレンズが貢献しているという。

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オリジナリティで心を動かす動画。

happilyフォトスタジオで、最も人気が高いのはメモリアルムービーがセットされたプランだ。「お客さまも、うちはムービーを撮れるスタジオだと思っていただいているみたいですね。約7割弱のお客さまが、動画入りのプランを選ばれます」と二口氏は語る。メモリアルムービーに対するニーズが高いからこそ、同社はクオリティの向上と内容の差別化に取り組んでいる。まず、映画のような美しい映像を求め、横浜みなとみらい店ではキヤノンの業務用デジタルビデオカメラXA25とEOS 7D Mark IIのEOSムービーを活用。また音楽もオリジナリティを追求している。「皆さんフリーの音源を使用するため、どうしても同じ雰囲気の映像になってしまいます。ムービーにとって音楽は重要ですよね。だからネームバリューのある方にオリジナルの楽曲をつくっていただき、圧倒的な差別化を図ろうと考えました。縁があって河村隆一さんに音楽プロデューサーをお願いしています」と二口氏。河村隆一氏が手がけたオリジナルソングと、河村隆一氏の存在は、ムービーの差別化のみでなく、同社のブランディングにも貢献しているといえる。

写真:株式会社ハピリィ

株式会社ハピリィ
2013年設立。現在、happilyフォトスタジオ表参道店、自由が丘店、横浜みなとみらい店の3店舗を展開。欧米のアンティーク家具を用いたおしゃれな撮影ルームや、家族でくつろげるコミュニティスペースなどが、お客さまから高く支持されている。
URL:https://www.happilyphoto.jp/
(株式会社ハピリィのサイトへ)