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ムービーと写真で、市民を描く。フォトソリューションレポート

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林写真館 山口県周南市

地域の人々にとって必要とされる存在であり続けるために何をすべきか。老舗の写真館だからこそ、地域との関わりの重要さを認識し、新たな取り組みを積極的に行う林写真館。5代目の林義明氏に話を伺った。


人の魅力を伝えることが好きだと語る、代表取締役の林義明さん

歴史を守るのは「写真技術」。歴史を創るのは「挑戦」。

EOS R + RF24-105mm F4 L IS USM
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今回取材に伺った山口県周南市の林写真館は、創業が明治30年(1897年)という歴史ある写真館だ。3代目は、銀座のバー「ルパン」のカウンターで脚を組む作家・太宰治の肖像写真などで広く知られている林忠彦氏である。「私は東京工芸大学に通っていた当時、亡くなった祖父のネガを新しいスリーブに入れ替えるといった管理の手伝いをしていまして。そこで祖父の作品に数多く触れることできた。写真を学び始めた身としては恵まれていたと思いますね」そう語るのは12年前に林写真館を受け継いだ5代目の林義明氏。「長い歴史のなかで、それぞれの代がそれぞれにユニークな取り組みをして今に至っているわけですが、やはり生き残ってこれたのは地域からの信頼が大きいと思う。そして、その信頼を築いたのは紛れもなく “写真技術”です。営業写真における高い技術を保持し続ける、それが信頼を守ること、歴史を守ることなんです」。
老舗としての歴史を守る一方で、自分の時代における歴史を創るために、義明氏は新たなことに積極的にチャレンジする姿勢を大切にしている。「時代によって変わっていくニーズに応えるために、新しい発想で挑戦しなければ。その積み重ねが、後から見たときひとつの時代の歴史になっているのだと思います」。義明氏が今取り組む挑戦、それはEOS Rを駆使したケーブルテレビ番組の撮影だ。

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3代目・林忠彦氏の作品 左:太宰治 上:坂口安吾
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美しい動画を効率よく撮るために、EOS Rを導入。

EOS R + EF70-200mm F2.8L IS III USM
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林写真館では3年前から、地元のケーブルテレビ番組「フォトこと周南人」の企画・制作に携わっている。写真館として「動画」という新たな領域に挑戦するとともに、地域に貢献することをやってみたいという想いがあったからだ。「そこで、地域で活躍する市民の姿を伝える番組で、周南を活気づけたいと考えたわけなんです。月に1人ずつ紹介しています」と林氏は語る。
ムービーとポートレートで人物を紹介するのが、この番組の特徴。複数のカメラで行う撮影は、毎回、限られた時間のなかで慌ただしく進んでいく。林氏が課題として感じていたのが動画撮影時の操作性。「ゲストの表情を美しく浮き彫りにしたい。被写界深度の浅い状態で撮るわけですがピント合わせに苦労していました。これを解決してくれたのがEOS Rです。EOS Rはタッチパネルで簡単にピントを合わせることができる。カメラのさまざまな設定の変更もタッチパネルで行えるから便利。また、瞳AFもいいですね。インタビューの際に、ゲストがうなずいたり笑ったりして顔が動いても、ちゃんと追従してくれますから」。
林氏はEOS Rの画質も高く評価している。「ウエディングのスナップでもEOS Rを使っているのですが、このカメラは鮮やかさがいい。今までは現像のときに彩度を上げていたけれど、EOS Rはある程度設定したらオートでいける。画質がいいから、業務の効率も良くなりました」。

EOS R + EF70-200mm F2.8L IS III USM
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林写真館が制作に携わるケーブルテレビ番組「フォトこと周南人」(抜粋版)
映像提供:株式会社シティーケーブル周南
取材当日、林さんがEOS Rで撮影

届けたいのは、その時の「自分」を捉えた写真。

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さまざまな記念写真を撮影するなかで、林写真館が届けたいと考えているのは、お客さまが「今の自分らしい」と感じていただける写真だ。「この一枚(上記)は先日撮影したものです。撮影の途中にご家族がワンちゃんを連れてきたんですね。娘さんとワンちゃんが見つめ合った瞬間にシャッターを押したのですが、後からセレクトしたときにお母さまがこの写真を見て『この表情は娘らしい表情です!』といってとても喜んでくださったんです」と林氏。本人や家族の想いを残す記念写真だからこそ、その時のその人らしさを大切に表現したいと考えているのだ。
自然な表情を引き出しつつ、来店された家族全員に楽しんでいただくために、林写真館では参加型の撮影を行っているそうだ。「七五三だったら鞠でキャッチボールをしてもらったり、成人だったらレフ板や着物の振りをご両親にもっていただいたり。そうすると撮影後に『あー楽しかった!』と言っていただける。こちらもすごく達成感があります」。楽しい雰囲気をつくり、撮影体験を家族みんなの想い出にしてもらえるように心がけているのだ。

鏡面タイルのスタジオ。きらきらとした反射はお客さまにも評判がいい。
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人が集う場をつくる。街の賑わいが生まれる。

周南市立徳山駅前図書館で開催した「写真教室」の様子
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地域活性化のために、林写真館ではイベントにも注力している。そのひとつが「写真教室」。会場は、民間企業が運営を担うことで話題になった周南市立徳山駅前図書館。「この図書館のサポーター制度というのを利用して写真教室を始めました。いわゆる会議室ではなく、カフェも併設されたオープンな空間で行っています。スマホを使った初心者向けの教室は30代のママさん、一眼レフを用いた教室には60歳以上の年輩の方に好評です」と林さん。
もうひとつのイベントは、毎年10月末の週末に開催し、今年で5回目となる「ハロウィンカーニバル」だ。仮装練り歩きパレード、フリーマーケット、お菓子まき、大人のハロウィンナイトなど、子供から大人まで楽しめるイベントになっている。「町内の有志数名で、地域の子ども達が喜ぶようなことが何かできないか、というところからスタートしたんです。うちの店舗の園庭は街のコミュニティスペースとしての活用を想定して作ったものなので、会場としても使える。当初は30人くらい集まればというつもりで実施したのですが、200人も参加してくれて。それで翌年からは商店街の通りを歩行者天国にして行うようになり、昨年はなんと500人もの人が参加、非常に盛り上がりました」と林さん。写真館の営業に関わる行事ではないが、駅の近くの商店街に立地する店舗として、街の賑わいづくりに貢献するこうしたイベントを重視しているのだ。

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この時期は店頭もかわいいハロウィン仕様に
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林写真館

林写真館
1897年創業。代表の林義明氏は5代目。結婚式・成人式・七五三などの記念写真、証明写真やプロフィール写真の撮影の他、地元ケーブルテレビ番組の企画・撮影、写真を効果的に活用したWEB制作なども行っている。
URL:http://www.hayashi-photo.jp
(林写真館のサイトへ)