写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

個別ミーティング/
Photographer 嶋田篤人氏 Vol.3

3rd meeting

嶋田氏は自らに課した「First Book Awardを獲る」というチャレンジに対して悩み始めていました。今まで時間をかけて培ってきたプリントと写真集では、表現の手法が異なると感じたためです。

写真で表現することに関して「自分が表現したいのは写真集ではなく、プリントだ」と再度見つめ直し、このまま賞を狙うのであれば何が必要か、今まで以上に真剣に考え始めました。

そして今後の取り組み方を再考し、その答えを次回のミーティングで伝えることとなりました。

4th meeting

前回のミーティングを受けて、嶋田氏は、「プリント(写真)」と「写真集」は大きく異なり、写真集に対してはどうしてもアイデアが思い浮かばない、と考えました。結果、嶋田氏が出した答えは、SHINESでの写真集作成を辞退することでした。

「SHINESは写真を本気になって考えるきっかけを与えてくれた」と彼は言います。深く考えたからこそ、プリントを通して表現をしたほうが、写真家として成長できるという考えに至りました。

SHINESは「写真家として第一歩を踏み出したい方、また新たなチャレンジをしたい写真家」を募集しています。嶋田氏にとって、写真集作りは新たなチャレンジであり、結果的に今まで以上に写真を考えるきっかけとなりました。嶋田氏と出会えたことは、SHINESの成果です。キヤノンは彼の今後の活動に注目していきます。

【嶋田氏からの言葉】

去年の暮れ、SHINESに選出された。
ある望みは叶った。
去年の暮れ、ある不縁があった。
ある望みは叶わなかった。
しかし、叶えるということは何なのだろう。
叶えた先にも叶うことと叶わなかったことが幾重にも枝分かれしていく。
だから何かを叶えていく道筋は幾つもの叶わなかったことによっても支えられている。
そして今ここからその道を振り返ると、それがどんなに歪で不恰好でも一本の道となっている。
この先も道は続いていく。
私の叶えたいことと叶えられないこと。
その中にある私の主体性は何であるか。私は写真家としてどうあるのか。
SHINESに選出されたことは写真を撮り続け生きることと、本気で向き合うことのきっかけとなった。
とても有り難いことです。
結果的に写真集を作れなかったことも、またある不縁ですら一本の道を支える力に変えていきたい。
私にきっかけを与えてくれた人、私を支えてくれた全ての人に感謝します。
ありがとうございます。
写真で一歩ずつ道を歩み、夢を叶えていくことで応えていく所存です。
そしていつか、その中で写真集を作ることに再挑戦する時が訪れるかもしれません。
また、その時は訪れないかもしれません。
しかし、それがどんな形態であれ、私は写真を通して私ではない貴方に夢を見せたい。
そして貴方の夢を通して私の夢を広げたい。
それがどんな世界なのかを私はまだ知らない。
待っていてください。