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  • 売れるモノには理由がある ヒットのピント
  • 2017.03.21

大切なのは、ユーモアかリズムか!? 成功するネーミングとは?
[Vol.1] ネーミング

言葉のリストを作り表現の幅を広げる


(Illustration:shoko terata)

では、ネーミングの担当者になったら、どのようにアイデアを生み出していけばいいのか。お勧めする基本的なネーミング手順は、①商品が何かを伝える。②そこに形容詞を加える。③自社製品の個性、特長をターゲットが好みそうな言葉で表現することである。商品が「プリン」なら、形容する「とろける」に、個性を出すために「天使」という言葉を加え、『③天使の②とろける①プリン』にするという具合だ。

最近、注目したのはUHA味覚糖の『グミガーム』というお菓子。耳にしただけで どんなお菓子かを想像させ、「ガーム」と伸ばしたことで、伸びる食感をうまく表現している。例えば、『とろけるプリン』の「とろける」は、「ろ」という音が舌にプリンをのせたときの感覚を呼び起こし、おいしさを喚起させた成功例だが、こうした音が見つけられないときは、『グミガーム』のように音引きを入れたり『チュッパチャプス』のように促音を入れて歯切れを良くしたりするのも方法だ。

語彙を増やし、表現の幅を広げるには、辞書を引く習慣をつけ、味、色、柔らかさ、速さなど、さまざまな言葉の言い換えをリストにしておくと便利である。そこから、商品のターゲットの好みに合致する音や表記を探せばいい。ヒット商品は案外地味な作業によって生まれることもある。

中央大学商学部教授
飯田朝子さん
1969年生まれ。東京女子大学、慶應大学大学院、東京大学大学院を経て、博士号取得。専門は言語学。東京スカイツリーの名称検討委員会メンバー。中央大学の市ヶ谷キャンパス「ミドルブリッジ」などのネーミングを手掛ける。著書に『ネーミングがモノを言う』(中央大学出版部)など
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    ネーミングで重要な要素は「音」と「表記」

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