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トップ > ヒットのピント [Vol.3] 購買心理 > P2
(Illustration:shoko terata)
スーパーやドラッグストアには必ずある買い物かごだが、実はこれも買う気スイッチを入れるためのツールになっている。かごがあれば"ついで買い"がしたくなるのが人の心理。実際、かごを持った場合は、75%の客が商品を購入するが、持たない場合は35%しか購入しないというデータもある。目的買いが中心の店でも、買い物かごは売り場に設置しておくべきだろう。
業種・業態によっては、販売員の力も買う気スイッチに影響する。特に電器量販店は、客の多くが販売員からの適切なアドバイスを求めて訪れるため、収穫がなければ客はスイッチを切りかねない。もっとも、最初からネットで購入するつもりの客もいる。だからこそ販売員には、他店やネットより多少高くても、「この人から買いたい」と思わせる営業力が求められる。客の希望を聞き取れるヒアリング力、的確に応えられる知識力、信頼関係を築けるコミュニケーション力は強み。その場で他店との価格比較まで容易にできてしまう時代にあって、最後の最後に心を動かすのは、人の力なのである。
販売促進の手法を考えるのは、心理学を学ぶのと同じ。値引きも手法のひとつだが、それに頼っていては、企業は互いの首を絞めるだけ。値引きの前の一手をどこで打つのか――。購買心理を読み取った施策が、今、求められている。