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時代をつくった業界イノベーション物語

広告や情報を提供してきたアナログの看板や案内版が、モニターなどの電子的な表示機器を使ったデジタルサイネージへと置き換えられている。
販売促進、エンターテインメントなど、さらなる拡大が期待されるサイネージの変遷を追った。

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  • 2017.09.01

[Vol.6] サイネージ

新たなテクノロジーと共に進化を続けるデジタルサイネージ

11年、アナログ放送が終了すると、モニターは地上波デジタル放送の規格に合わせて、縦横比が4対3から16対9へ。映像の高解像度化も進み、大型流通系や一般店舗がサイネージを販売促進に活用し始めた。

先進的だったのが、12年に新宿に誕生した「ユニクロ」と「ビックカメラ」の共同店舗「ビックロ」だ。正面入り口5カ所の柱壁両面側に、縦長122インチのLEDモニターを10面設置。赤と白を基調にした大画面で独自のコンテンツを送出し、時間によっては「TAX FREE」を中国語や韓国語でも表示して、通りを歩く外国人旅行者への誘導サインとしても活用している。

13年の開業時にグランフロント大阪は、「コンパスタッチ」と呼ばれるタッチパネル式施設案内看板を導入。スマートフォンのように上下にスクロールして店舗情報検索もできる。施設ごとに「いいね」ボタンもあり、押すと数字が表示される。スマートフォンとも連動し、来場者が専用アプリから送った口コミも見られる仕組みだ。

今日では街頭に多くの大型ビジョンが設置され、リニューアルも行われている。渋谷のスクランブル交差点にある「Q FRONT」の大型ビジョン「Q’S EYE」もその一つ。13年にHD画質になり、パソコンやスマートフォンを通じて双方のコミュニケーションも可能になった。同年には一般参加者が自分のスマートフォンを操作して大画面上に花火を打ち上げる"渋谷デジタル花火大会"を開催。7日間で8万6000発の花火が打ち上げられた。

デジタルサイネージが急速に広がった背景には、通信回線の向上やモニターの高解像度化、メディア環境の変化、導入コストの低廉化が進んだことなどがある。今後も4K、8Kやそれ以上の超高解像度は当たり前になり、ロケーションの幅は一層広がる。例えばビルの全壁面にモニターを導入すれば、巨大広告はもちろん、大都会に自然の景観を生み出すことも可能だ。新たなテクノロジーによるサイネージの進化を、今後も期待せずにはいられない。

  • 写真:「ビックロモニター」

    2012年
    「ビックロモニター」

    ユニクロとビックカメラの共同店舗「ビックロ」(新宿)に登場した店頭デジタルサイネージ。高輝度、高精細かつ薄型のLEDモニターを採用したり、インタラクティブな展開が可能なセンサー(カメラ)を搭載したりした。
  • 写真: グランフロント大阪「コンパスタッチ」

    2013年
    グランフロント大阪 「コンパスタッチ」

    スマートフォンを操作する要領で情報を取得できるタッチパネル式デジタルサイネージ端末を、館内に36台設置。手持ちのICカードを端末にかざしてユーザー登録を行うと、カスタマイズされた情報を取得できる。
  • 写真:渋谷Q FRONT「Q’S EYE」

    2013年
    渋谷Q FRONT「Q’S EYE」

    渋谷Q FRONTの大型ビジョン「Q’S EYE」は、2013年にフルリニューアル。HD画質になり、パソコン・スマートフォンと連携して送受信できるように。これを記念し、参加者が自分のスマートフォンを操作して大画面に花火を打ち上げる"渋谷デジタル花火大会"が開催された。

COLUMN

写真:観光地案内に用いられるデジタルサイネージ

駅や自治体庁舎などで見かける観光地案内にもデジタルサイネージが用いられている。LED、プラズマモニターや、音の出るタッチパネルも登場。公共性の高いロケーションに設置されることからブランディング効果などの期待度も高い(写真は東武日光駅)。

取材協力 : 一般社団法人 デジタルサイネージコンソーシアム

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