写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

グループミーティング Vol.1

第1回目の打ち合わせは、SHINES最終選考で入選した全8名と、町口覚氏が主宰するデザイン会社「マッチアンドカンパニー」、写真集の印刷・製本を行う「ジャパンクリエイト」、キヤノン銀座プロサポート部とで行いました。冒頭、入選した8名の皆さんに、それぞれの心意気を披露していただきました。「写真家として生きる、とは?」「写真集を作るにあたって」などを軸に、それぞれが自分の言葉で、SHINESに対する想いを語りました。

【8名が吐露した写真集への想い】

赤木氏 細かく説明をしたくないけど、示すような文章は入れたいと思っている。展示でサイズ感も含めて「見せるためにやったこと」を、今度は写真集でできたらなと思っている。

アバロス氏 写真集にしたいという気持ちで最初から撮っている。ダミーを何冊も作ってきた。フォッサマグナと自分の生活を結びつけるような部分でやっていきたい。

石井氏 これを足がかりにして、パリフォトなど海外の舞台で写真家として活躍したい。海外で通用できる本を作る。当然国内も。

上田氏 「記録をする」という写真の特性が好きなところ。あまり抽象的にならないようなものにしたい。実際に地球にはこういう場所があって、写真を通じて見ることによって、心が豊かになるものを作りたい。

北上氏 今回の話を聞いて、全然知らない世界に入ってきたような感覚。知らないことが沢山あった。世界が広がった。作りたいと思っていたものが、全く変わって、デビュー作のプレのような、そういう写真集にしてもいいかと。沖縄に帰ってもう少し考えたい。

嶋田氏 印刷のクオリティにすごくこだわったものにしたいと思っている。一枚一枚が成立するように撮影をしているので、ストーリーが生まれないようにしたい。そのためにどういう写真を入れていくか、というのをすごく考えている。

村井氏 ポートフォリオをそのまま再現したいというわけではなく、イラストとかデザインの本のような感じで作りたいと思っている。

藪口氏 初めて「死」を意識した金魚。少しずつ自分をなくしていった祖父。いつか辿り着く未知のその時をイメージし、自分の中で動いたものを写しとり、色情報に左右されない世界観を表現したいと考えモノクロで構成したい。

カメラの進化によって誰でも容易に「美しい」写真が撮れるようになった今、写真家には、技術やセンスよりも、「何を撮りたいのか」を明確に伝える能力が必要になりました。また「写真集」という表現手段を用いるにあたっては、さらに自分がどのような「写真集」にしたいかを考え、それを伝えられなければいけません。これまで「写真」の撮影やプリントだけに集中していた彼らは、「写真集」制作という新たな視点が必要となったことで戸惑い、悩み始めました。